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太陽の光が燦々と降り注ぐシュヴァルの田園地帯の一画で、クワに寄りかかる農家の若者と、装備を固めた男がなにやら話し込んでいた。

 

「―――とすると、大丈夫だということか?」

男がそう聞くと、農家の若者は顎を擦りながら頷いた。

「んー・・・、まぁ問題ないと思うぜ?ただ、あそこの道は森トカゲの縄張りに引っかかるから注意するに越したことは―――」

 

「おおい、ラッカ!そろそろいくべー!」

「あいよー親父!・・・そんじゃあ俺はもう行くから、あんたも気をつけて行きなよ」

そう言って農家の若者ラッカと男は手を振りながら別れ、ラッカは父親のゴルの元へと合流した。

 

 

「ラッカ、おめぇと一緒にしゃべってたのは一体誰だべ?」

数時間後、仕事を終えて家への帰り道を進みながら、ゴルはラッカに聞いた。

「シュヴァルツヴァルトに用事がある支援士だってよ。なんか森の様子とか色々聞かれた」

「ほー、最近はあんな若いモンも支援士なんてやってるのか。時代も変わったもんだなー」

そう顎を撫でながらしみじみと言うゴルに、ラッカは一言。

「親父、老けこむのはまだ早いぜ?」

「おーおー、わかっとるわかっとる。若いモンにはまだ負けねーべ。当然おめぇにもな。ラッカ」

笑いながら言ったゴルの言葉に、ラッカは少し面白くなさそうに口を尖らせた。

「ちぇっ、言ってろぃ。そんな事言ってるとすーぐに追い抜いちまうぞ」

「はっはっは。まーだまだ。おめぇが俺を抜くのは、あと10年は早いべ!」

 

なんだとぉ!という子供の声と、親の笑い声が重なり合う。

そうして、2人は家への帰路へ着いた。

 

 

その日の夜、夕食も終わり、食卓で食後のお茶を飲んでいた時に、ふと思い出したようにラッカが口を開いた。

「ああ、そうだ親父、また明日仕事休んでいいか?」

「ん?それは別にいいが、まーたおめぇ森に行くつもりか?」

「おう」

「別にいいがなぁ、最近は奥の方にいた森の連中が近くまで来ることもあるっちゅう噂もあるからなぁ、あんま無茶はするんじゃねーべ?」

「あっはっはっは。それなら大丈夫だろ!なんてったって俺は親父の子供だからな!親父だって昔はお袋をゲットするために色々と無茶したんだろ?」

ラッカの言葉に、今度は横から話を聞いていた母親のロタが口をはさんだ。

「そうだねぇ、それでシュヴァルツヴァルトに果物を取りに行って大怪我をして帰って来たんだから、世話がないねぇ」

「おいおい、その話は内緒だって言ったはずだべ?」

 

焦ってロタを止めようとするゴルを見ながら、ラッカはニヤニヤと笑う。

「へーえ?俺が親父から自慢げに教えられた話とはちょっと違うなぁ。・・・親父?」

ラッカからの問いかけに、ゴルは誤魔化すように口笛を吹いてから、そそくさと立ちあがった。

「さ・・・さぁもう寝るべ。ラッカ。おめぇ明日は早いんだろう?」

「ん?ああ、そうだけどよ。・・・それより、さっきの話の続きがまだなんだけどなぁ・・・?」

「さーあ、明日もがんばるべ!それじゃあお休み!」

ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべて問い詰めるラッカに、ゴルは笑いながら逃げるように寝室へと入って行った。

 

「ちぇー、親父逃げやがったな」

そう言いながらラッカは残っていたお茶をぐいっと飲み干し、席を立った。

「それじゃあお袋。俺も明日早いから寝るな」

「ああ、おやすみ。まったく、あの人も困ったもんだねぇ」

そんな事を笑いながら言うロタに、同じく笑顔で返しながら、ラッカは「おやすみ」と言って寝室へと下がった。

 

そして寝室にて、ラッカは寝具に包まりながら明日の予定を考えていた。

森の散策は発見や驚きの連続でやっぱり楽しい。

でもきっと、町を出たらもっと沢山の驚きや発見があるんだろう。

俺くらいの年で支援士になって夢を追っている奴はごまんといるらしいし、やっぱり冒険には憧れる。

 

家の仕事も嫌いじゃないし、きちんと継ぐつもりだけど、それでもやっぱり、時が来れば一度くらいは―――。

「明日はそうだな・・・、水鏡の泉でも探してみるか。まだ一度もこの目で見たことないし」

そう1人呟いてから、ゆっくりと睡魔に身をゆだねて行った。