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<リエステール~ミナル街道-橋付近>


エリスの叫びを引き金に勃発したレムリナムの群れとの戦闘は、開始から数分が経過していた。
エリスたちは二手に分かれて応戦しており、すでに残り数匹の状態となっていた。


エリス「そこ!」


エリスが投具のナイフを投げ、レムリナムの注意を引き、


エリス「アル!」

アル「わかってる! はあぁぁぁぁ!」


アルが一気に間合いに踏み込み、気合のこもった一閃で武器ごとレムリナムを叩き斬り、返す刃で吹き飛ばした。
その隙を狙って他のレムリナムが攻撃を仕掛けるが、アルは大剣でその攻撃を防ぐ。
そのまま防いだ部分を支点に左側面に回りこむと同時に足払いを仕掛けてレムリナムを転ばせ、無防備になった背中に一撃を叩き込む。
すぐさま辺りを見渡すが、近くには動いているレムリナムの姿はなかった。


アル「ふぅ、これでこっちは片付いたかな」

エリス「みたいだね。 ところでアル、今のって『捌き』・・・だよね?」


ふとエリスがアルに訊ねる。
捌き―様々な要素を含んでいるが、大きな特徴としては相手の攻撃を受け止め、反撃の前に相手の体制を崩し有利な状況を作り出す事である。
受け流し以外に読みなどの要素が絡んでくるため、技術的にも高度な部類に入る。
彼女が知っている限り、アルはそんな技術を持っていなかったはずなのである。


アル「まぁ・・・実はただの見よう見真似なんだけどね」

エリス「あー、あの人のか」

アル「うん、稽古で散々喰らってるからね。 なんとなくはわかって来たんだ」

エリス「なるほどねぇ・・・」


アルはちょっと照れくさそうに頬をかきながら答えた。
それを聞いてエリスも思い当たる節があるようで納得していた。


アル「本当だったらさほど力をかけずに受け流せるんだけど、今のは半ば無理やり力任せに受け流したからね。 やっぱり難しいなぁ」

エリス「あの人、アルとヴァンの二人がかりでもあっさりねじ伏せるとかするし・・・ある意味デタラメよね・・・・・・」

アル「・・・!? エリスッ!」


エリスが若干頬を引きつらせながらとある人物を思い浮かべていると、背後に大きな気配を感じた。
アルの叫びで反射的に振り向き後ろへ飛び、アルが前に出て剣を構える。


エリス「ちょっと・・・これって!?」


その目の前に現れたのは・・・・・・









その一方ヴァン達は


ショコラ「閃光弾! なのですよ」


「てーい」とショコラは安全ピンを抜いた爆弾らしきものをレムリナムの群れに向かって放り投げる。
レムリナム達が飛んできたそれに一瞬注意を向けたその瞬間、強烈な光がその目を襲った。
あらかじめ手で目を覆っておいたヴァンは双剣を手に間合いを一気に詰め、視界を失ったレムリナムたちを次々と斬り捨てていく。
最後のレムリナムに止めを刺し、あたりを見回る。


ヴァン「これで、終わりか?」

ショコラ「みたいですよ」

ヴァン「思ったより数が多かったな・・・」

ショコラ「おかげで、アイテムもほとんど尽きちゃったですよ」


ショコラがアイテムを入れていた袋をさかさまにしてみるが、空っぽなので何も出てこなかった。
もともと北側の依頼をこなした後の帰りなので仕方がないといえば仕方がない。


ヴァン「尽きる前にどうにかできたからよしとするか」

ショコラ「後は、えーりん達の方が―」

アル「・・・!? エリスッ!」

ヴァン・ショコラ「!?」


アルの叫びのした方へ振り向くと、そこには巨大なレムリナムがいた。
二人は急いでエリス達の場所へと向かう。


ショコラ「な、何なのですよ。これ!?」

アル「確か以前に聞いたことはあったけど、まさか本当に出くわすなんて」


以前、ギルド『セレスティアガーデン』が巨大レムリナム遭遇したといわれていた。
その噂は聞いていたものの、まさか実際に遭遇するとは思ってもいなかったであろう。


エリス「ははは・・・どうやら当たり引いちゃったみたいだねぇ」

ヴァン「ぜんっぜん嬉しくともなんともない当たりだけどな・・・・・・」

エリス「よりによって火属性持ちやアイテムないしねー」

ショコラ「こっちも持ち弾ないですよ」

エリス「むむむ・・・」


現状において、若干の問題があった。
レムリナムの弱点である火属性の能力を持つ者はおらず、補助するためのアイテムも在庫切れなのである。
噂では巨大レムリナムは火属性に対しても平気であったと聞くので、あまり影響はないのかもしれないが・・・・・・心もとないのは確かである。
とはいえ、群れを相手した直後にこの大物ではそう長時間は戦えない。
となると取れる手段は・・・


エリス「・・・・・・仕方ないか。 ヴァン、しばらくアレの気をひきつけられる?」

ヴァン「攻撃を無視すれば何とかなるだろうな」

エリス「それじゃお願い。 ショコラはドレッドノートを用意、隙を見せたら撃って」

ショコラ「空砲弾しかないけどいいです?」


ショコラは背負っていた大きな黒いケースを下ろし、中を確認していた。


エリス「だいじょぶだいじょぶ、くれぐれも橋に当てないでね。 そしてアル、体勢を崩したらお願いね」

アル「わかった」


全員に指示を出してエリスは一呼吸おいて、


エリス「それじゃ・・・やりましょかっ!」


そのエリスの声を合図にヴァンが走り、巨大レムリナムに接近していく。
巨大レムリナムはヴァンを確認すると、手にした大剣を振り回し応戦する。
ヴァンは攻撃をせずに剣を避け続け隙をうかがうが、思いのほか大きな隙が生まれなかった。


ヴァン「くっ・・・コイツ、思ったよりも手ごわいか」


一瞬エリス達の方へ目をやると、まだ準備が完了しきっていない様子であった。
レムリナムの剣も徐々に狙いが鋭くなってきている。
ヴァンも今は避けているが、何時までもつかはわからなかった。


ヴァン「こっちもいつまでもつかわからんぞ!」

エリス「まだ装填に少しかかるから、持ちこたえて!」

ヴァン「急げ! っ、しまっ―――」


視線を一瞬はずしたのが命取りだった。
一瞬の隙を突いて繰り出された大剣の一撃。
かろうじて剣で受け止めたものの、ヴァンは吹き飛び、地面に叩き付けられる。


ヴァン「がはっ!」

ショコラ「ヴァン!?」

エリス「ショコラ! 撃てる!?」

ショコラ「もう30秒かかるのですよ!」


巨大レムリナムはエリス達の方へ駆け出し剣を振り降ろす。
斬られる寸前でアルが大剣でそれを受け止めた。


アル「ぐぅっ!」

エリス「アル!?」

アル「何とか・・・間に合うかな? ショコラ、このままコイツを撃つんだ!」

ショコラ「もう少し、もう少しだけ耐えてですよ!」

アル「ぐ、ぐぅぅぅ・・・」


全身に力を込めてアルは剣を受け止め続ける。
しかし、巨大レムリナムが力と全重量をかけた剣はそうそう長く抑えられるものではなかった。
アルも体勢がが崩れそうになったその時―


???「三人とも下がれ! 上から来るぞ、気をつけろ!」

エリス「!?」


突如かけられた男の声に反応してエリスとショコラは後ろに下がり、アルも何とか受け流し後退した。
エリス達の前方にいる巨大レムリナムのさらに後ろに一人の少女の姿が見えた。
その腕には一抱えもある大きな岩を抱え、飛び上がると同時に岩を振り上げている。
その岩をどうするのかはおそらく誰しもが想像がついただろう。


少女「せーっの! いくですの~!」


ゴガンッ! という鈍い音と共に大きな岩は巨大レムリナムの頭に叩き込まれた。
正直、喰らったときのことを考えたくないほどの単純で強烈な一撃である。
そもそも人間だったら楽に即死しているであろう・・・・・・
しかし、のたうちまわりはしているものの巨大レムリナムはいまだに倒れなかった。


少女「ありゃりゃ、意外と丈夫だったですの」

エリス「はっ、ショコラッ!!」

ショコラ「うぃ、合点承知ですよー!」


少女が乱入したおかげですでに装填は完了していた。
ショコラはケースから取り出していた自分の武器を構え、巨大レムリナムに向ける。
それは何と形容すればいいのだろうか。
端的に言ってしまえば筒であるが、ただの筒ではなく、取っ手や体にかけるためのベルトが付いている。
折りたたまれて収納されていたのだろうか、その長さは2メートルほど。
『何かを撃ちだす』ということでは船などに積まれている大砲に近いのだろう。
しかし、その形状はグランドブレイカー下層で見かける機械のそれに近いものであった。
少なくとも、普通はありえないような武器。
-試作型30mm対物狙撃『砲』 ドレッドノート-それが、その武器の名前だった。


ショコラ「空砲弾、狙い撃つですよっ!」


ショコラが狙いを定め引き金を引くと同時に、爆発にも似た轟音が鳴り響いたのであった・・・・・・