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 …この事件はルーレット21がLittle Legendに入り浸って3ヶ月程した時の話である…

 

 いつものように居間にある椅子に座って足をぱたつかせながら櫛でサイドテールを整えている黒服の少女、21。
 自分のピンク色の髪を一本一本眺めながら枝毛が無いかチェックしていると…。

 居間にディンが来た、今日は特に用事が無いので玉には家で何もせずにゆっくり過ごそうといった感じらしい。
 台所の冷蔵庫から適当な飲み物を取り出し、テーブルに転がっている新聞を拾って飲みながら目を通す。
 そこでふと何かを思いついたようにディンを呼び止め、ちょっと屈んで歩み寄り上目遣いでディンに質問する。
 どこぞの一般的な腹黒少女を彷彿とさせるような男をドキッとさせる可愛らしい仕草だ。
 21は猫被りな所があるが、狙ってやってる訳ではない動作も多い。
 
「あ、そうだ! ディンおにーさん。 …男の人が喜ぶ事って何か無いかな?」
「ぶっ!」

 …どう考えても狙ってるように聞こえる。 …弁護しておくが基本的に彼女は微妙にズレているだけである。

「…? どしたの、おにーさん?」
「あ、あのなぁ…。」

 21がキョトンとした表情で何が起こったのかと思っている反応にディンも大体察しが付いたが…。

「えっと…、何か私おかしい事言いました?」
「いや、特別おかしいってわけじゃないが…どうした?」
「ヴァイおにーさんは何をすれば喜んでもらえるかなって思って…、
 それで考えたんですが…私、戦う事と戦いに持ち込むこと以外、良くわかんなくって。
 ディンおにーさんなら付き合い長そうだし男の人だし…喜ぶ事、判るんじゃないかなー…って。」

 恐らく、ヴァイ以外はほぼ全員気付いてるだろう。 更に厄介なのは彼女本人も恋愛や異性関係にかなり疎い。
 ついこの間まで強い相手と戦う事だけを考えていた戦闘狂だったからというのもあるが、
 そういった強者へ戦う為に近づく計算は出来るが、それ以外の計算はてんで駄目らしい。
 ディンはヴァイとリスティの関係を拗らせるつもりは無いが、
 何だか保護者的な感情が湧いてしまい、彼女に救いの手を差し伸べる事にした。

「んー、そうだな。 例えば…、手料理なんてどうだ?」
「手料理…ですか?」
「そうそう、美味しい手料理を振舞って貰ったら誰だって嬉しいだろ?」
「なるほど、ディンおにーさんありがとうございます! じゃあ行ってきますね。」
「ん、いってらっしゃい。」

 21が満面の笑顔でディンにお礼を言い、パタパタと外へ駆けていく。

 

 …これが悲劇の序章だと知らずに…

 

「んー、何を作ろうかな? …やっぱり無難にカレーライス? …材料…どうしよ、あんまわかんない。」

「…他の№sも料理作れる子居るんだし…、ディーラーに3、00、1、後は30とか…。
 料理作れない子は確かに居るけど…だからって私が作れないはず無いよね。 うん、多分。」

 本来、彼女達は基本的に人間のあらゆる生命維持行為をメンタルで代用可能であり、
 それ故に食事は美味しいと感じる事による多幸感によるメンタル回復がメインらしい。
 その価値は人間で言う所の嗜好品に近い。

「必要なのは…まずはカレー粉。 えっとジャガイモ、人参、玉ねぎ、カボチャ、マッシュルーム…
 お肉は…あっ『ドラゴンミート』だ、ドラゴンって強いからパワーアップしそうだしこれがいいかな?
 カレーってとろみあるよね…、という事は…ねばねばしてるもの…? そうだ、『スライムの粘液』くださーい。
 それと…、カレーって辛いものだから唐辛子と…チリソース? うん、チリソースくださーい!
 後は…隠し味とか言う奴?
 ディーラーは確か赤ワインとココア入れてたっけ…、今日はココア売って無いみたいだから…チョコレートでいいよね?
 3はフルーツを潰した奴を入れてたし、00は確かピーナッツバターだったような?
 1は確か…、昆布入れてたっけ? 海鮮カレーとか言う奴。 …魚介類も買っとこうかな。
 んでもって30はヨーグルト…ヨーグルトって甘いのと甘くないのだったらどっちだろう? 甘い奴なのかな。
 んー、どれにしよっかなぁ…。 …そうだ、全部入れる事にしよ。
 でも…何か甘いのばっかだなぁ、よし! 『甘さを辛さで中和する』為に唐辛子買い足そっと。」

 必要そうな?食材を買い込みLittle Legendの台所に立った21。
 今日の晩ご飯は私が作ると張り切っている彼女を止める者は誰も居ない。
 食卓に全員が集まり何やかんやと話をする中、調理が始まった…。

 

 …こうして、着々と死亡フラグが立てられていった…

 

「んー、まずは…野菜きろっか。 ちょっと野菜を炒めて…赤ワインを入れてと…水って入れるのかな?
 赤ワイン入ってるし赤ワインを水代わりに使うのかな? うん、これでよし!
 あっ…ドラゴンミートって鱗取るものなのかな…? いいや、そのまま切って入れよっと。
 ちょっと煮込んだ所でカレー粉とスライムの粘液を…このぐらいかな?
 ここで唐辛子とチリソースを入れて後は煮込むだけ…。 あ、そうだ隠し味入れよっと♪
 チョコとフルーツを潰したペーストと昆布とピーナッツバターとヨーグルトを入れて…
 あっ!魚介類入れるの忘れてた…。 もういいや、後だけど入れちゃお。」

 …という訳でカレー?が完成した。

「初めて料理したんだけど…。 どうかな?」
「…初めて作ったにしては良い方じゃないか? 野菜の切り方とかは巧いし…料理のセンスがあるかもしれないな。」
「そう? 良かったぁ…。」

 ヴァイがそう言うと笑顔で喜ぶ21、これに気づかないヴァイって一体…。

「…まあ、味は食べてみないとわからないが。」
「あ、そうだね。じゃあ皆、食べよっか。」

『いただきまーす。』

 そしてヴァイ、マナ、リスティ、アル、ワルツ、アリス、イリスが同時にカレー?を口に運んだ瞬間…。

「「「「「「「 ! 」」」」」」」

 ガクッ、バタタッ、ドサッ!

 急に倒れ込む七人、何が起こったのかと驚く一同。

「えっ、おにーさん、リスティさん、皆さん!? どうしたんですか!? …一体何が、…もしかしてカレー?」

 …と言ってちゃっかりとヴァイの口にしたカレー?を食べる21…。

 パタリ

 21まで倒れ、異常事態に逆に冷静になる残されたエミリアとディン…
 幸い、ティールは遅れると言っていたし、シアは仕事で明日まで帰って来ない。
 そこでエミリアにある邪悪な考えが浮かぶ。

「まさかこのカレー…そんなに不味いのか?」
「おそらくそうじゃな。 …ところでだ、ディン…そこまで不味いのなら逆にどんな味が気にならないかの?」
「ちょっと待った、エミリアさん…? 一体何を…?」

 異様なエミリアの雰囲気に思わず敬語になるディン。 そして…
 
「まずお前が食えっ、後から私も食うっ! 後の事はティールが何とかしてくれるはずじゃ!!!!」
「おいっ、エミリアっ! 俺は食べたくないっ!!!!」
「ええいっ、問答無用!!!!」

 エミリアがカレー?が入った皿とスプーンを持ち、ディンに迫る。
 そしてディンはそこから逃げる! エミリアもそれを追う!

「ふっふっふ…追い詰めたぞ…。」
「ばーか、ここは玄関だぞ? 玄関なら外に…」
「…今じゃ!」
「ただいまー、おや?」

「「 えっ? 」」

 ぱくっ…、ドサァ…。

「「ティ、ティーーーールーーー!!!?」」

 ティールが口にした瞬間、卒倒する。 カレーの威力に二人は一時呆然とするが…。

「やめよう…、流石に怖くなってきた。」
「そうだな…、さっさと医者でも呼んで…」
「隙あり。」

 隙を突いてカレー?をディンの口に入れる、案の定…。

 バターン!

「…まさか全員倒れるとは…、このカレー…どれだけ不味いんじゃ…? …」

 ぱくっ

 

 


 翌日…Little Legendメンバー全員が気絶している所を遠方から帰ってきたシアに発見されるのであった。

 …余談だがドラゴンミート用のドラゴンの竜鱗には食べ合わせによっては即効性の昏睡毒になる成分が含まれているそうだ…

 ドラゴンミートの龍鱗は油で揚げるとパリパリとしていてドラゴン肉と一緒に頬張ると絶品である為付いている、それ以外の調理の時は鱗取りをちゃんとすること。

 

 

 調理:とても愛情のこもった料理、 相 手 は 死 ぬ 。