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 エルナ達、中発部隊の進軍中、13達の初発部隊とすれ違った。
労いの言葉と応援を互いに交わし合い、戦場へと足を進める事となる。

「皆、お疲れ様。 後は任せて貰うわ。」
「お、来たか。 今は7が応戦しているから早く行ってやれ。」
「わかったわ。 リスティ、クイックリィをお願い。」
「はい、ーーー『クイックリィ』!」
「ヴァイ! グリッツ! 後は任せたぞ。」
「引き受けたからには全力を尽くすだけだ。」
「おうっ!」
「無理はしないようにの。」
「はい!」
「…健闘を祈る。」
「…活躍を期待する。」
「全く…、言われなくてもやるさ。」
「頑張ってね、…私の報酬の為にも。」
「はわっ! ありがとうございますっ!」
「…、1…素直にそれを喜べるのはあんたの良い所なんだけどね…。」
「さあ、行くわよ皆!」

 そして歩を進める中発部隊の前方に突如、異様なスピードで迫る黒い影が!

 


…と思ったら巨大な翼をロープでぐるぐる巻きにして背負った7だった。

「何やってんだ、お前…。」
「なにってー、そさ゛いあつめた゛ー。」
「そんな余裕無いでしょ…。」
「あつめるんし゛ゃないー、あつめてしまうのか゛わたしー。」
「それ…どうするつもりなのよ…?」
「とりあえす゛ほんし゛んにもちかえるー。 あー、そうた゛ー、とんて゛くるからきをつけろー。」
「はわ?」
「というわけて゛ー…、『えすけーふ゜し゛ゃんふ゜』!!」

 彼女が少し跳躍の為にかがむ、気が付いた時には残像を残し姿を消していた。

「なんだか…、凄いんだけど凄くない人というか…。」
「訳判らない娘だよなぁ…、だがその不思議さがまた良いっ!」
「…なるほど、縮地法の一種か…道理で速い訳だ。」
「気が抜けるわね…、命懸けで戦う前だって言うのに。」
「彼女なりにリラックスさせようとしてるんだと思いますよ? 多分…」
「はわ~、7は自分の趣味と周囲の状況を混同するのです、少しは自重した方がいいと私も思うので…」
「それよりおまえのむねまわりか゛し゛ちょうすへ゛きた゛とおもうのた゛ー。」

 背後からむにょん、と1の胸を揉み始める7。 あまりの速さに突然、現れたかのようにも思える。

「はわっ!? 7! もう置いて来たのですか!?」
「とうせん゛た゛ー、わたしをなんた゛とおもっているー。」

 砂漠のド真ん中で黒服の二人の少女がきゃっきゃうふふしている光景は非常に滑稽である。

「おい、ヴァイ。 …ここは間際の天国か? それともソドムか?」
「何言ってるんだお前…?」
「いや…、男なら理解できるだろ普通…。」
「はぁ?」
「おいおい…、その年から考えて気持ちはわからんくもないが…だな。」
「ところで…、飛んでくるって何が…」

 …という風に考えていたら巨大な影に覆われる一同、ジュデアマキシアがここまで飛んできて怒号を上げながら着地する。

「ほらきたー。」
「はわっ! とうとう私の実力を見せる時が来たのですね!」
「大きいわね…ふふっ、楽しめそうじゃない!!」
「…なるほど、本気でやらないとな!」
「やれやれ…、どうなる事やら。」
「最初から全力で行くぜっ!」
「皆さん、一緒に頑張りましょう!」
「さあ皆、気を引き締めて行くわよ!」

 現れたジュデアに一気に飛び込む1、自信たっぷりの顔でジュデアの突進を迎えうつ!
彼女はスクロールを取り出し、こう叫んだ。

「『忍法・水遁の術ッ!!』」

 スクロールから大量の水が放たれ1がその隙に姿を消す。
死角から背後に回った彼女が腕を組み、したり顔でジュデアに仁王立ちで背後から見つめる。
…相当ウザかったのか尻尾で薙ぎ払われ思いっきり吹き飛ばされた。

「はわー!!?」
「あのバカ…、さっさと攻撃食らう前に攻撃しなさいよ。 でもあのパワー…面白そうじゃない。」
「…無茶はするなよ?」
「はーい、わかってまー…すっ!!」

 その一言と共に縮地法の炎能力亜種・火柱で空中に飛び上がり斜め上方から掃射、着地して向かって来たジュデアに対し刀を収め待機する。
踏みつぶそうと動くジュデアの動きを読んで火柱を組み合わせたバックステップと同時に後方へ飛びながら斬りつける。

「おっと、女の子にだけ好き勝手やられるのも困るなっ!」
「はわっ!? 私、ふっかーつっ!! …『偽りの月』っ!!!!」
「おわっ!?」

 吹き飛ばされて倒れていた1が気がついて元気良く跳びあがりいきなり黒い煙幕を撒き散らしながら全力疾走でジュデアの周囲を走り回る、
黒い煙幕に包まれ辺りが薄暗くなったと同時に右手の人差し指を太陽に突き立てる、その瞬間に太陽が揺らめき月へと変化した。

「はわっ、これで煙幕の中は夜扱いですっ!」
「え゛、ちょ…仕方ねぇ、行くかっ!?」

 1がジュデアへ向かって行き、それに少し動揺したグリッツが続く。
…夜戦う事を主体とするクレセントの1と昼間戦う事を主体とするセイクリッドのグリッツ、
更に夜を疑似的に作り出して昼間を無理やり夜扱いにするスキルを持っている1…。
今考えればこの二人、一緒のパーティを組むには地味に相性最悪な気がしなくもない。

 1が忍刀をしまい、袖やポケットから円月輪を取り出し、投げつける。
それを囮に一気に距離を詰める。

「行きますよ! 『円月輪乱舞』ッ!!」

 …だがそれに気づいたジュデアが半回転しながら尻尾で薙ぎ払う、突っ込んだ1はそれを避けられない!

「1さん!」

 それでも1は自信に満ちた顔をしてそれを受ける、…というよりもすり抜けた。
攻撃が当たる瞬間、空気の様に掻き消え、突然胸部の装甲鱗の割れた隙間に一本の忍刀が突き刺さり1が姿を現す。

「残念でした!そっちは幻、『幻空狐斬』ですっ!! …『ポイズンソーズ』!!」

 彼女の毒刀から猛毒が溢れ始め、毒を注入されたジュデアがもがき苦しみ始める。
暴れるジュデアに対し1は両手で忍刀に捕まり振り回されていた。

「はわわわ~~~!!?」
「あのバカ…、ちょっとあいつ助けに行くね。」

 と21が言うと火柱を駆使して暴れるジュデアの体を伝って飛び上がり、捕まっている1を思いっきり蹴り飛ばす。
その衝撃で忍刀が抜け中空に押し飛ばされた1、それを捕まえるのは…

「きゃーっち。」
「はわ!? …7、ありがとうなのです!」

 21は更に空中で体を半回転させ幾度のダメージでヒビの入った胸部の装甲鱗に向かって渾身の一撃を加える。

「ーーー『ラヴィアンブレード』ッ!!!! …あっ。」

 撃ち込まれた炎の刃にジュデアが少し怯む、が次の時には21に爪の一撃が振るわれる。
空中で避けられない21がとっさに卸焔を構えて刀身でガードするがジュデアの腕力で地面に突き飛ばされてしまった。
砂塵を上げる地面…、そこには…

「おい、大丈夫か…?」
「あっ、はい!」
「怪我は無いか?」
「えっと…少し、腕が痺れただけです。 ありがとうございます、ヴァイおにーさん♪」
「う…ぐ…っ。」

「「 えっ? 」」

 …21が突き飛ばされたのを見て助けに入ったのは実は二人…、
グリッツが1を助けに入ろうとして7に先を越され、21が突き飛ばされたのを見て
助けに走るも位置的に近くに居たヴァイが更に助けに入ろうとした。


結果…、

 ヴァイがまず21を庇い…

 グリッツがやや遅れて助けに入ろうとする…

 物凄い勢いで突き飛ばされた21の勢いにヴァイが突き飛ばされ…

 偶然、後ろの位置に入ったグリッツがクッションとなり…

 二人はほぼ無傷で済んだという…


「グリッツ…、お前何やってるんだ…?」
「おい…そりゃないだろ…。 女の子一人なら大丈夫だが…、流石に重い…。 は、早くどいてくれ~…。」
「あ…、ごめんなさい!」

 そんな茶番を広げている中…、他のメンバーはジュデアの目の前へ…。

「攻めるわよ! リスティ、補助をお願い。」
「はい、ーーー『グローリィー』!」
「まったく、後ろで遊んでないで早く来てくれよ… おりゃああああっ!!!!」

 背後に少し目をやりながらラーヴァが超重量の大剣、ブレイククレイモアを大きく振りかぶってジュデアの足に振り下ろす、
全身が非常に硬い鱗で覆われたジュデアは切れ味の鈍い"それ"では切れないが、彼には別の狙いがあるようだ。
叩きつけられた大剣によって少しジュデアがバランスを崩す、すかさずぶつぶつと呟きながら次の一撃を入れる。

「ーーー聖アルティアの想いに叛き、破戒より出でて破壊せし!
例え我が手が紅に染まろうと、デストロイアナイトの不変の祈りの決意の元に
血塗られた両手で祈る事を許し賜え… 破戒剣…最終奥義っ!」

 彼が足に叩きつけた重刃が光り輝き始め、切り返し振り上げると同時に閃光が走る。

 「…エクスキュージョン!!!!」

 閃光と共に放たれた一撃はジュデアの右足こそ斬れはしなかったが、
何かが砕ける様な物凄い音を立て、ジュデアの体制を崩させた。
恐らく、右前足の骨が砕けたのだろう。 骨を砕かれた激痛で羽や後ろ足、左前脚をばたつかせている。

「元々、緊急時の処刑の為に使う奥儀なんだがな…、効いてくれて何よりだ。」

「皆、一気に攻めるわよ!」
「…やっと出番だな! 畳み掛けるぜっ!」
「はわっ! 私も行くですっ!」
「今まで何もやっていないで先を越されるのもアレだな、…初撃は貰うぞ?」
「ヴァイおにーさん! 追撃しますっ!」
「おっと…、やはりこういう時に俺の得物は重くて不便だな…。」


横向けでもがくジュデアにまず仕掛けるのはヴァイ。 ジュデアの周囲を一気に冷却し、冥氷剣の一撃を加えようとする。
それに併せて21が卸焔に炎のメンタルを込め、炎を纏わせると同時にメンタル弾を乱射する。
その後、ヴァイの一撃に合わせてジュデアの目の前でしゃがみ込み跳ね上がる準備をした。

「食らえっ! 『冥氷剣』っ!!」
「…はぁぁっ!!! 『雀蜂炎牙』ぁっ!!!!」

「! …『ふれあしょっと』ー。」

 横向けのジュデアにヴァイの一撃が直撃。
次に21が跳ね上がると同時に炎の刃を間髪いれず浴びせ、中空へ跳ぶ。
そしてヴァイが更に切り返しの一撃を入れる。
そこに7が遠距離から更なる追撃として炎の弾丸を撃ち込んだ。
結果、度重なる温度変化でジュデアの全身を覆う鱗が劣化し少し脆くなる。

「はわ、…これなら…ちょっと試してみるですっ、『影分身』っ!!」

 1がそう言って足元に手をやるとにゅるん、っと影が浮き出て1の姿を形成する。
そのまま左右に回って同時にジュデアに向かって直進する。
だが彼もそれで黙っているはずが無い。
一度低空で飛び体制を立て直し、使えなくなった右前脚の代わりに左前脚に重心を掛けてバランスを取る。
空に向かって雄たけびを上げ、口元からバチバチと音を立て始める。

「行くですっ、『無影』っ!!!」

 1とその影はその隙に分厚い装甲鱗の隙間に忍刀を突き刺し、左右から一気に剥がす。
その衝撃でジュデアが一瞬怯むが、お構いなしに力を溜め始める…

 そして電気の塊を真上に向かい放ち、翼を大きく広げた後、
放たれた電気の塊を自身の無数にある両翼にぶつけ、翼を帯電させる。

 その光景に一同は警戒した。

「ふむ…、どう対処すべきかね…。」
「な、何?」
「気をつけろ! 何をしてくるかわからないぞ!!」
「退避も考えておいた方がいいわね…。 皆、気を付けて!」
「回復の準備、しておきます!」


「…って1ちゃんがまだジュデアの前に!」

 …約一名を除いて

「んふふ…、決まりましたのです…♪」

 ジュデアの胸部の装甲鱗を剥がして満足顔の1がにやにやしている所に…
翼に雷を帯びたジュデアが突進で突っ込んで来る。
気がついた頃には既に目の前、完全に避ける術を失って呆然としている1。

「はゎ…。」


ズサアアアアアッ…


ジュデアの突進によって砂煙が上がり、帯電した翼によって空気がバチバチと音を立てる。
更に一度、翼をひと羽ばたきし煙幕と砂煙をかき消した後、そこに1の姿が無い。

「…、はわ?」
「ー…、間一髪だったな。」
「あんた…いちいち技を決める度に余韻に浸る癖、いい加減治しなさいよ?」
「??? はわー? あっ!」

 1の手足がぶらぶらと空中を浮いている。
それもそうだ、彼女はグリッツに小脇に抱えられていたのだった。
彼女の体重がとても軽かったのが幸いしたようだ。

「はわわわゎ…、申し訳ないですー。」
「いやいや、可愛い女の子がやられるっていうのに動かない男がいますかっての。」
「…来るよっ!!」


グオオオォン!! グオオオォン!! …グオオオオォォォォン!!!!


ジュデアが数回雄たけびを上げ大きく羽ばたくと帯電させた翼から放電しながら突風が巻き起こる。
その風は電撃を帯びて一陣に猛スピードで向かってくる。

「回避…出来そうもないわね。 全員防御に入って!」
「リスティ! 俺が盾になるから回復の詠唱をもう始めてくれ!」
「え…、それだとヴァイさんが…。」
「はわっ、この状況だとどこに居ても一緒なのです!」
「私達で攻撃を凌ぎます! エルナさんとリスティさんはしっかり護られてください!」
「盾職とまでは行かねぇけど…、今回は護らせてもらうぜ!」
「ふむ…、最前列は任せて貰おうか? …そういえばお前はどうするんだ?」
「わたしはー、と゛ちらかというとかいひかのうー…『えすけーふ゜し゛ゃんふ゜』。」
「…相変わらず便利だな、おい。」

 7だけは安全圏まで退避、他の者達はラーヴァを最前列において前衛、後衛の順に一所に固まった隊列を敷く。
全員が固まった直後、電撃を帯びた暴風が全員を襲った。
風で砂が巻き上げられ砂が帯電しては放電を繰り返す、砂嵐が過ぎ去った頃には全員の防具や服が焼け焦げてボロボロになっていた。

「っ…皆、大丈夫!?」
「何とか…な。」
「流石に…万全とはいかないが…。」
「う~、体中が痛いのです…。」
「ぐっ…、流石に最前列はきついな…」

 そう言うとラーヴァが膝を折り、大剣に掴みかかってバランスを取る。

「ラーヴァさん!? 大丈夫ですか…?」
「心配は無用…、それより回復の詠唱を続けてくれないか…?」
「あ…、はいっ!」

 …

「「 ーーー全ての者に暖かな祝福と癒しを 『レ・ラリラル』!!! 」」

 二名による上位回復聖術によって傷は癒えたが、現状は体力的にかなりきつい状態だった。
そんな中沈黙を続ける21。 そして彼女が口を開いた時、あり得ない言葉を放つ…

「いたた…、今のはかなり来たわよ…。 あはは…、…そうこなくっちゃ…!」

 

「…、 楽 し く な っ て 来 た じ ゃ な い ! ! ! !

 

「「「「 !? 」」」」

 

 …そう、彼女の本質は「戦闘狂」。
ここ最近は色々あって大人しくはなっていたが本来はこういうタイプなのである。


  しゃがみ込んで一気に跳ね突っ込む準備をする21。
かといって他の人間も力づくで止められる程の体力は残っていない。

「おい、無茶はよせっ!!」
「…、いつものアレか…、やれやれ…」
「はわ~…。」
「くっ…止められるもんなら止めたいけど…、体力的にもう無理だ…。」

「さあ、デカブツさん…♪ これからがほんば…んっ!?」


 パチンッ!


21が跳ね上がろうとした時、指パッチンの音と共に金縛りにあったかのように動きが止まる。
そしてすーっと彼女の背後に突然、腕を組み体を反って寄りかかるように顎を上げ、背中を反りながら21を見る…。

「21、後は任せて頂けませんか?」
「ディ…、ディー…ラー…、様…っ!?」
「皆様、時間には少し早いですが…ここで交代でいいと思いませんか?」
「で…でもっ、私っ!」
聞き分けは良い方が身の為になりますよ? 21…?」
「う…、わかりました、わかりましたよぅ…。 ううぅ…、せっかく楽しめそうな感じだったのにぃ…。」
「待って、他の皆はどこに…?」
「既にジュデアの目前に到着している頃だと思いますよ?」
「ジュデアの目の前って…、今は誰も…いな…」
「ふふ…。」


 パチンッ!


再び彼女が指パッチンを鳴らす。
一瞬砂嵐が吹き上がり、共にジュデアの前に人影の一団が現れる。