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「止まれ!」

辺りに静寂が訪れ、俺の右腕に砂時計が浮かび上がり、時間が止まる。
俺、喪雄28歳。
時間を止める能力を身に付けてから、俺の人生は大きく変わってきた。

俺は近所のコンビニで買い物を済ませ、家に向かって歩いていると、
目の前に地元高校の制服を着た、やや大きめの眼鏡を掛けた女子高生
が俺の前に立ちはだかった。
どこかで見たことあるような・・・。

「おい、お前」
見た目とは裏腹に、乱暴な口調で女子高生が俺の方に話し掛けてきた。

見知らぬ女子高生にお前呼ばわりされるいわれはない。
俺は無視して、歩きつづける。

「そこのトロそうなお前だよ!」
俺は自分を指差し、確認してみる。

「そうだよ、お前だよ」
人のことをトロそうだとか、お前呼ばわりするわ、まったく、
失礼な女子高生である。

「俺に何かようか?」
「お前、私のこと忘れてるのか? これを見ても思い出さなねぇか?」
そう言うと、女子高生は鞄の中からコンドームの箱を取り出した。

「え? 援助交際の押し売りですか? だったら、もう少し可愛らしく言った方
が良いと思うけど?」
俺はコンドームの箱を見た時点で、この女子高生がゾウさんパンツの美香と言う
ことを思い出したが、美香が生意気な態度なので、少しからかってやるつもりで
トボけた。

「ちーがーうー!!」
べし!
美香がキレ、コンドームの箱を地面に投げ捨てる。

「勿体無いなぁ。で、美香ちゃんが俺に何の用なんだ?」
俺はコンドームの箱を拾いながら美香に言った。

自分がからかわれていることを知った美香が口をぱくぱくさせている。

「それにしても、アレから毎日コンドームの箱を鞄に入れてたのか?」

その一言に、美香の怒りが爆発。
必殺のコークスクリューパンチが俺の顔面を狙い打つ。

止まれ!
女子高生に殴られるなんて体験は滅多いにないが、俺は別段Mじゃない。
時間を止めて美香のコークスクリューパンチを避けることにした。

「ちょっとお仕置きしてやるか」
ちょっと悪戯心に駆られた俺は、美香のスカートを捲くる。
美香はこの間と同じゾウさんパンツだった。
まさか、この間からずっと履いてるのか?
「えい!」
俺は掛け声と共に、美香のゾウさんパンツを一気に脱がす。
再び美香の白いお尻にごたいめ~ん・・・。
何故か美香は、ゾウさんパンツの下にもパンツを履いていた。
「あ、あれ? 今度はアヒルさんが・・・。ふ・・・。しかし、
俺の能力の前にはアヒルさんごときは敵じゃねぇ! うりゃぁ!」
すでに訳の判らぬことを口走りながら、アヒルさんパンツを脱がす。

ようやく美香の白いお尻とご対面を果たす。
「相変わらず、可愛いお尻だねぇ」
なでなでなで。

もう少し美香のお尻を撫でていたいが、面倒ごとはごめんだ。
俺は2枚のパンツをポケットに入れ、ダッシュで走り出す。
そして時間が動き出す。

「お、お前、からかってたのかぁ!」
力いっぱいパンチを繰り出したものの、俺はすでに居ない。
美香は道の先を走っている俺の姿を見つけ、猛烈な勢いで追いかけてきた。

「ま~て~」
美香が必死の形相で追いかけて来た。
俺は必死に走るが、日頃の運動不足のせいか、はたまた歳のせいか、
すぐに息を切らせ、失速する。

「にーげーるーなー」
俺はいくつもの角を曲がり、必死に美香から逃げようとするが、
ついに袋小路に追い込まれてしまう。

「ぜぇぜぇ・・・」
髪の毛が乱れ、物凄い形相で美香が俺に迫る。

「あわわわ・・・。ちょ、ちょっと待て! 話せば判る!」

「はぁはぁ・・・。お、お前にぃ・・・。はぁはぁ・・・。
た、頼みがある・・・。はぁはぁ・・・」
「へ?」
美香が息も絶え絶え、俺に話し掛けてくる。

「た、頼みですか?」
「はぁはぁ・・・」
「あ、あの、あちらの公園でジュースでも飲みながらにしませんか?」
「ふぅふぅ・・・」
美香が頷いた。

俺と美香は販売機でジュースを買い、公園のベンチに腰掛けた。

「で、俺に頼みって何?」
ジュースを飲んだ美香は、ようやく息も整ったようなので頼みごととやらを
聞いてみる。

「私はあの後、人が集まって来て大恥じをかいた」
「まぁ、ノーパンで、しかもパンツが目の前に落ちてたんだしねぇ」
「た、他人事みたいに言いやがって! お前がやったんだろうが! お前が!」
美香が俺の胸倉を掴み、ドアップで迫る。

「え、あ・・・。はい。そうでした・・・」
美香の迫力に負け、俺は素直に肯定した。

「で、それの恨み言を言うために俺を呼び止めたの?」
「違うよ。お前のあの不思議な手品で手伝ってもらいたいことがあるんだよ」
美香はそう言うと、手を俺の胸倉から外し、俺は開放された。
美香は俺が時間を止めて鞄の中にコンドームの箱を仕舞ったことを手品だと
思っているらしい。
手品の中には本人に気付かせずに、ベルトを抜き取るなどもあるから、
恐らくそれらと勘違いしているのだろう。


「手品? あぁ、あのパンツを脱がしたことか」
「ちーがーうー!」
美香が力いっぱい否定し、手に持っていたジュースの缶を握りつぶす。
ジュースが飛び散り、俺のズボンを濡らした。

「そ、そんなに興奮しないでも・・・」
俺はポケットからハンカチを取り出し、ズボンを拭こうとするが、
ポケットから出て来たのは美香のゾウさんパンツだった。

じと~・・・。
美香の視線が俺の手にあるゾウさんパンツを見つめる。

たらり・・・。俺は背中に嫌な汗が滴り落ちる。
「お、お前、またやりかがったなぁぁぁぁ?」
美香は立ち上がり、俺の手からゾウさんパンツを奪い取ると、
ベンチに座っている俺にドアップで迫る。

「つ・・・。つい出来心で・・・」
「ふ、ふん! こんなこともあろうかと、予防策はしてある」

俺は仰け反りながら美香のドアップを避けつつ、汗を拭くために、ポケットからハンカチを取り出すが、今度はアヒルさんパンツ。

「い・・・いやぁぁぁぁぁぁ」
ばちーん。
どか! ぼこ!
ぽきゅ~。

しばらくお待ち下さい・・・。


公園のトイレからパンツを履きなおした美香が出てくる。
俺は何故かベンチの上で正座して待っている。

「てめぇ、今度やりやがったら、こんなもんじゃ済まさねぇぞ?」
俺の顔には美香の拳の跡がくっきりと浮かび、鼻からは鼻血。
目には涙が溜まっている。

「は、はい。すみませんでした・・・。
それで、私は何をすれば良いのでしょうか?」
俺は美香の威勢と暴力に飲み込まれ、すでに敬語を使ってしまっている。

「実はなぁ、お前の鞄に物入れる手品で、ある人の鞄の中にある物を入れて
貰いたいんだ」
そう言った美香の顔は赤く、少し俯いている。

「ある物ですか?」
「そ、そう。ある物だよ」
更に美香の顔が赤くなったようだ。

「で、ある物とは何でしょうか?」
「い、いちいちそんな事聞くなぁぁぁぁ。今日はバレンタインデーだろうが!」
ぼきゅっ。
美香の必殺のコークスクリューが俺の顔面にクリーンヒット。

「ず、ずびばせん・・・。俺、喪男なもんで、気付ぎまぜんでじだ・・・」


俺は美香に連れられて、美香の通う高校の前まで来た。
どうやら、美香の好きな人は部活をやっているので、そろそろ帰宅するらしい。
俺と美香は電柱の影から校門の方を見ている。

「こういったものは、直接渡した方が良いと思うけど?」
俺はチョコを手に美香に話し掛ける。

「そ、それが出来たらお前なんかに頼まねぇよ!」
そう言った美香の顔は真っ赤である。
美香みたいにちょっと悪が入った子ほど純情だったりするのだろう。

「で、どいつの鞄に入れればいいんだ?」
「あ・・・。い、今出て来た背の高い眼鏡を掛けたやつ・・・」
校門の方を見ると、眼鏡を掛けているが、スポーツマンタイプの背の高い
イケメン男子高校生がこちらの方に向かって歩いてくる。

「よし、あいつだな」
俺は電柱の影出る。

「よ、よろしく頼む」
美香は完全に電柱の影に隠れて言った。

俺に取ってイケメン君の鞄の中にチョコを入れるだけなら簡単なことだ。
しかし、あれだけ殴られて素直に言うことを利く俺ではない。
俺はイケメン君が目の前に来るのを待って時間を止める。

止まれ!
辺りに静寂が訪れ、時間が止まる。

まずは、イケメン君の鞄の中に美香から頼まれたチョコを入れる。
とりあえず、約束は守った。後は俺の裁量で自由にやらせてもらうことにする。
そして例のコンドームをイケメン君の手に握らせておく。
更に、電柱の影に中腰で隠れている美香をイケメン君の前に配置。
美香の手は電柱を支えていたらしく、前に出すような格好だったので、
イケメン君に握らせたコンドームの辺りにセット。
準備完了。
俺はその場から全力で立ち去る。

「あひゃぁ、いや、あの、その・・・」
美香の悲鳴にも似た声を後に、俺は帰宅する。

「あ~、それにしても、誰か俺にもチョコくれないかなぁ・・・」