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1月25日
高校2年、冬休みが終わり数日がたったこの日
突然、部屋の壁から男が入ってきた
男は俺と同じぐらいの年齢だろう
男は俺に語りかけてきた
 「何を笑っているのだ」
どうやら笑っていたらしい
 「まあ、いいか・・・実はお前に話があるのだ」
俺は別段興味があるわけでもなかったが一応聞いてみた
 「なんだ?」
 「実は・・・神様の暇つぶしによって相沢信司・・・
  お前に時間を30秒止められる力が3回与えられた」
 「そうですか・・・」
あいつの言っていることはたぶん本当であることが何とは無くだが分かった
 「で、何に使うのだ?」
俺は別に使い道が無いし、使わないとも思ったのでこう答えた
 「多分一生使わない」
 「3回使わない限り俺はこの世界から消えることが出来ない、
  一生使わないのなら俺は一生お前のそばにいる事になるがいいのか」
別にこいつといる事は嫌ではなかったので
 「別にかまわないさ」
と答えた

1月30日
あれから5日目である
俺は当然その力を使っていなかった
今学校で退屈な授業を受けている
当然あいつもいる
やはり、おれ以外には見えていないようだ
あいつは心の中で俺に問いかけた
 「本当に使わないつもりか?」
一応は使い道を考えても見たが結局答えは変わらない
 「そのつもり」
 「そうか・・・」
 「ところで普通の人ならこの力をどんなことに使う?」
あいつは少し考え、こう答えた
 「金と女じゃないか?それといたずらではないか?」
俺は少し考えた
別に金に困っているわけでもなく、ほしいものがあるわけでもない
よって金は無い方向で・・・
次は女・・・女はうるさいのであまり好きではない
よって却下
残るはいたずらか・・・別に恨みがある奴がいるわけでもないし
これも無い方向・・・
やはり答えは変わらず
 「やっぱ使わないな」
そう、使うつもりは無かった
彼女に会うまでは・・・

2月7日
今日は雪が深々と降るとても寒い日であった
俺は趣味である夜中の散歩をしていた
時刻は10時過ぎ
そろそろ帰ろうかと思い、家に向かって歩こうとした時、俺は気が付いた
ある家の前に誰かが立っていた
なかなか家に入らないので気になってそっちのほうへと足を向ける
だんだん近づいてくるにつれてそれが誰だか分かってきた
彼女は俺と同じクラスの天堂亜紀である
彼女はクラスの中ではとても大人しい人である、その上美人であり
テストの点数はいつも5位以内確実の優等生である
ついでに言うと俺も5位以内確実だったりする
まあ、大人しい人なので俺は嫌いではない
俺は彼女に声をかけるか悩んだ
俺はあまり女の人と話をしたことが無いから何を話せばいいか分からなかった
彼女を見ると少し震えていた
俺はいつの間にか声をかけていた
 「天堂さん、家に入らないの?」
彼女は俺に気が付いたようだ
 「あっ、相沢君・・・その家の鍵を忘れてしまって」
彼女の声は震えていた
俺は少し考え
 「じゃぁうちに来るといいよ」
なぜこんな事言ったか分からなかったが彼女を見捨てるわけにはいかなかった
俺の家は彼女の家から歩いて10分もかからない
 「迷惑じゃないですか?」
 「こっちから言ったんだから多分迷惑じゃないと思うよ」
彼女は悩んでいる、やはり迷惑なのだろうと思っているのだろう
俺は正直に言った
 「ここで、天堂さんを置いていったら心配でかえって迷惑だな」
 「その・・・ではお言葉に甘えて」
そして彼女とともに俺の家に向かう

家に着くまで無言だった
別に俺は気にしなかった、喋るのが苦手だったからかもしれない
でも彼女はどう思っていたのだろうか?
彼女を俺の部屋へ案内した
 「適当に座ってて」
俺は彼女に何か飲み物出すため一度台所へ
ココアを作って、部屋に戻る
彼女にココアを差し出す
 「熱いかもしれないから気をつけて」
 「はい、ありがとうございます」
俺は気になったことがあったので彼女に聞いてみた
 「いつからあそこに?」
 「その学校が終わってからすぐですから・・・」
となると5時間以上はいたことになるのかな?
そうすると晩飯も食べてないと言うことか・・・
 「何か食べたいものある?」
 「えっ?」
 「晩飯食べてないんでしょ?」
 「あっ・・・お任せします」
 「わかった」
俺は再び台所へ
俺は・・・焼き豚チャーハンを作ることに決めた
焼き豚チャーハンは俺のお気に入りメニューである
ただチャーハンに焼き豚を入れるだけなのにこれがまたうまい
俺は焼き豚チャーハンを作り終え部屋に持っていく
そしてそれをテーブルの上においた
 「口に合うかは分からないけど、どうぞ」
 「ありがとうございます」
彼女は焼き豚チャーハンを口はこび
 「おいしいです、お料理できるんですね、以外です」
なんてことを言った
 「趣味でね、人に食べさせるのは初めてだったから・・・
  おいしいって言ってくれて安心した」
俺はあと一つ気になっていたことを聞いた
 「ところで親はいつ帰ってくるの?」
 「その仕事で忙しいと思うので多分朝方かと・・・」
 「朝方って5時とか6時とか?」
 「はい、それぐらいだと思います」
俺はてっきりすぐ帰ってくるものだと思っていたが大きな間違いだったようだ
しかし、困ったことになった
彼女を追い出し5,6時まで待てとは言えないというか言うつもりも無い
しかしそうなると
などと考えていると彼女が言った
 「その迷惑になりますので帰りますね」
 「あっちょっと待って」
と呼び止めたのはいいが何も考えが浮かばない
何も浮かばないが一つだけあることを知っている
俺はもうそれしかないと思い彼女に言った
 「泊まっていけば?」
 「えっ?」
言ったあとに我ながら馬鹿だと思った、しかし言ってしまったものは仕方がない
俺はこのままの意見を押し通す事に決めた
 「その・・・さっきも言ったろ心配で迷惑だって寝る時は俺、部屋から出てくからさ」
 「本当によいのですか?」
 「ああ、君が迷惑じゃないなら」
 「・・・ではお言葉に甘えさせていただきますね」
俺はほっとした
それと同時に思った普通の人なら断るよなと思った
女の人が男の家に、しかも仲が言い訳でもないし、あまり喋った事も無い
まあ、気にしないことにした

そういえば散歩する前に風呂入れてたなと思い
 「風呂でも入る?」
 「えっ?」
またも言ったあとに我ながら馬鹿だと思った
やっぱり女の人と話すのは苦手だな
 「いや・・・そのまだ寒そうだから風呂に入ったほうがいいかなと思ってさ」
 「でもそこまでしていただく訳には・・・」
 「大丈夫、覗かないから」
 「それでは、お言葉に甘えて・・・」
とりあえず何が必要か考えた
 「着替えだな・・・多分親の部屋に行けば何かあると思うし」
 「その大丈夫ですよ、そこまでして頂かなくて」
 「いや明日も学校だし、制服だとしわになるだろ」
 「そう・・・ですね」
 「じゃぁ行こうか?」
 「はい・・・でも親がいるのではないのですか?」
 「んっ?ああ今日は誰もいないから気にしなくてもいいよ」
その言葉を言ってから気づいた、この家には俺と彼女二人っきりなのである
親の部屋に入り
 「多分そこらへんに入ってると思うから適当に選んで」
俺はこういうのはあまり見てはいけないと思い部屋から出て待つことにした
それから少したち彼女が部屋から出てきた
 「終わりました」
 「ああ、風呂はこっち」
少し歩き立ち止まる
 「このドアの向こうが風呂、あるもの適当に使っていいよ
  何か必要なものがあったら言ってね、多分近くにいると思うから」
 「はい、わかりました、では」
と言うと彼女はドアの向こうに行った
俺はとりあえず部屋に向かい彼女が使った食器を台所に運び、洗うことにした
そうしたらあいつが現れた
 「どこ行っていたんだ?」
 「何、邪魔をしてはいけないと思い、屋根の上にな」
俺は食器を洗う
 「なあ、こういう状況で普通、男なら何するんだ」
 「それを俺に聞くのか?」
なんとなくは思い浮かぶがこいつの意見も聞いてみたかったから聞いた
 「そうだな、まず食器洗う前に舐めまわし間接キスとかいい
  部屋に戻って適当にカメラを設置してから風呂に行き
  覗きながらビデオで盗撮、そして寝静まった時彼女を襲う
  後日盗撮ビデオで脅し変態プレイ、ではないか」
俺にはどう考えても変態+犯罪者のやる事にしか聞こえないが・・・
 「お前・・・それやるのか?」
 「まさか、俺はあくまで健全な男子のやりそうな事を述べただけだ
  まあ、時間を止める力があるのなら風呂場にも無理やり設置するのも
  不可能ではない」
 「誰がそんなことに使うんだよ」
 「時を止める力があるものだ」
 「俺しかいないな・・・」

食器を洗い終わり俺は台所にある椅子に腰を下ろす
風呂からはここが一番近い多分呼んだら聞こえるだろう
それからしばらくたち風呂のほうから彼女の声が聞こえてきた
 「相沢君・・・いますか?」
風呂場のほうに近づいた
 「なにかした?」
 「ドライヤー使ってもよろしいでしょうか?」
 「ああ、どうぞ」
俺はさっき適当に使っていいと言わなかったっけ?
多分彼女はそれを風呂場にあるものだけと認識したのだろう
やがてドライヤーの音が止みドアの開く音が聞こえた
 「ありがとうございました、あの・・・どうかしましたか後ろ向いて」
 「いや、こういうのは見てはいけないと思って」
彼女の小さい笑い声が聞こえた
 「別に見てもかまいませんよ」
そういわれたので俺は振り返った
彼女はとても彼女らしいと言うか俺のイメージにぴったりの服を着ていた
しかし、またも俺は疑問に思った、俺の親こんな服着てたか?と
まあそれも気にしない事にした
 「と、とりあえず部屋に行こうか」
 「はい」
とりあえず二人して部屋に戻る
部屋に入ると
 「その、ありがとうございます」
彼女がなぜかお礼を言ってきた
 「な、なにが」
なぜか俺は先ほどより緊張していた
 「私が食べたあとの食器を・・・」
 「あ、ああ気にしなくていいよ
  別にお礼を言われるためにやってるわけじゃないし・・・」
その言葉を言ってしまった瞬間俺はしまったと思った
俺ってやな奴だな、お礼ぐらい素直に受け取ればいいのに
 「でも、本当に感謝してるので」
 「素直に受け取っておきます」
 「はい・・・」
時計を見るとすでに12時を過ぎていた
 「そ、そろそろ寝る?」
 「そうですね」
 「俺ドアの向こうにいるから用があったら呼んで」
そういって俺は部屋出てドアの横に腰を下ろした
一気に緊張が途切れ、ため息が出た

それから1時間ぐらいたっただろうか?
ドアの向こう側から彼女の声が聞こえてきた
 「相沢君・・・起きてますか?」
小さな声だったが俺には聞こえていた
 「どうかした?」
 「眠れなくて、少しお話しませんか?」
 「ああ、俺も眠れなかったんで別にかまわないよ」
 「今日は本当にいろいろとありがとうございました
  でもどうしてそんな親切にしてくれるんですか?」
 「どうしてって・・・心配だったから、
  それに、天堂さん誰にも頼らないだろ、多分親にも頼らないから・・・」
 「どうして分かったんですか?」
 「学校でも誰にも頼らないし、親に電話しようと思えば、電話だって出来たろ
  でもしなかった、だからそうなんだな、と思っただけさ」
 「だからいきなり泊まっていけば?だったんですか?」
 「あっ、まあなんだ他に考え付かなかったから」
俺はあのことを言われ恥ずかしくなった
それをごまかそうと俺は天堂さんに聞いた
 「どうして俺の家に泊まったの?俺と仲が言い訳でもないし
  そんな話したこと無いのに・・・それに風呂覗かないとか言ってたけど
  覗かないとも限らないんじゃないかな?」
 「覗いたんですか?」
 「そっそれはないけど」
彼女の笑い声が聞こえる
 「それはですね、相沢君は嘘を言わないからです」
 「何それ?」
 「今まで一度も嘘を言ったことがありませんから」
 「まあ、俺は一応嘘は絶対言わない信条だけど
  たまたま言わなかっただけかもしれないじゃないか」
 「吉田君が教室の窓割った時、1人だけ黙秘権使ってたじゃないですか」
吉田とは親以外で唯一俺のこと信司と呼ぶ馴れ馴れしい奴である
しかも、俺のことを友達と思っているらしい、とりあえず変態だ
 「あれ、見てたんだ」
 「はい、8時ぐらいまで1人で残されていましたよね」
 「そこまで見てたんですか」
 「学校の残る用事があって、あれを見て、そうなんだって思っただけです」
 「それ俺の台詞ですけど」
再び彼女の笑い声が聞こえる

俺は話しているうちになんとなく見えてしまった
ドアの向こうにいる彼女の本当の姿が・・・
彼女は誰かの頼らないのではなく、頼れないのである
 「なんか学校で困ってることある?」
 「えっ?」
 「俺でよかったら頼ってもいいけど」
 「はい、ありがとうございます、でも多分無理だと思いますけど」
 「いいから言ってみて」
 「私、図書委員やってますよね
  それで、もう1人の方と何を喋ればよいのかわからなくて」
図書委員は男女1人ずつでやることになっていたな
 「じゃぁ3年になったら俺が図書委員になってやるよ
  俺だったら別喋らなくても気にしないからさ」
 「・・・では期待して待ってますね」
 「どうぞどうぞ」
 「相沢君って意外と喋りますね」
 「学校でもけっこう喋ってると思うけど」
 「でも、どこか寂しそうですよね」
あまり意識していたつもりはないがわかってしまったようだ
 「しかも、お友達いないですよね」
 「きつい言い方だね、気にしてないけど、まあ、それはお互い様じゃないかな」
 「そうですね、私もいませんし」
彼女には友達がいない
それは多分、人見知りなのと喋るのが苦手だからだろう
一方俺は・・・
 「昔はいたさ・・・1人だけ」
 「昔ですか?」
 「何年も前だけどいたんだ・・・そいつと俺は仲がよくて毎日一緒にいたんだ
  そいつと俺は喋らなくても、お互いの考えてる事が分かった
  喋らなくても楽しかった、ただ一緒にいるだけでよかった
  でも別れってのは突然やってくるものだ、あいつは転校することになったんだ
  俺たちは大人じゃないから、もう決まったことはどう使用も出来ないんだ
  向こうに行く前日あいつは俺に「またな」っていったんだけど
  俺は返事を返せなかった、別れの返事を言いたくなかった
  そしてあいつが向こうに行ってしまう日
  俺は学校をサボってあいつの家まで行ったんだ
  曲がり角からこっそりあいつのこと見てた
  そう、見てただけなんだ
  結局あいつに「またな・・・」って言ってやれなかった
  数時間後、あいつは交通事故にあって死んでしまった・・・」
おかしいな、何で俺こんなこと話してんだろ?
 「後悔してるんですか?」
 「ああ、今でもしてる、でも大丈夫さ
  友達がいないのは気が合う奴がいないだけさ」
 「よければその人のお名前を教えてくれませんか?」
 「神谷・・・神谷悟」
 「神谷さんですか・・・分かっていたと思いますよ、そういう気持ち」
 「多分な」
 「でも、言葉で伝えなきゃならないこともあるのさ・・・」
 「私じゃ頼りにならないかもしれませんけど頼ってくださいね
  私もほどほどに頼りますから」
 「ああ、ありがと」
 「そろそろ寝ましょうか?」
 「そうしよう」
俺はなぜか安心した気持ちなり眠りに落ちた

2月8日
夜が明け時刻を見ると7時
 「天堂さん、起きてる?」
 「はい」
 「学校いく準備しないと、洗面所は昨日の風呂場のところだから」
そういうと、ドアが開き彼女の姿が見えた
 「では、準備してきますね」
俺もいつもどおりの準備をし、朝飯を作った
それを彼女と一緒に食べ彼女と登校した

今4時間目の授業が終わり昼休みになった
すると吉田が後ろから声をかけてきた
 「信司く〜ん」
俺はどうせ今日の朝、天堂さんと来たことを聞かれるのだろうと思った
彼女は学校でけっこう人気があるらしいから
 「悪い、用事思い出した」
と言って立ち入り禁止の屋上に逃げた
ここの屋上は危険である、飛び降りようと思えばすぐできる
普通、鉄網かな?そのようなもので落ちないようにするが、ここには無い
天堂さんは図書室だから大丈夫だろう、うるさいの禁止だからな
俺は・・・しばらくほとぼりが冷めるまで昼休みはここだな

4月29日
今日は委員会を決める日だ
図書委員の女子は天堂さん
次でくるな
俺は息を潜めた
 「じゃぁ図書委員になりたい人!」
と担任が言った瞬間俺は力を解放した
俺は急いで半分浮きかけている男たちの手を机の中に押し込んだ
クラスの3分の2ぐらいだろう
さすが天堂さんだな
そして俺は席に戻り手を上げ30秒たつのを待った
なぜこれで図書委員になれるかは担任のせいである
担任はじゃんけんとか面倒なことは一切やら無い
最初に手が上がった人を選ぶことにしている
30秒がたった
俺が机に手を入れた人は片手で机を上げようとしていた
当然本人たちにはその気は無いのだが
所々で机が音をたてたが、担任は気にせずに俺を図書委員にした
何か後ろであいつが
 「こんなことに使うのか・・・」
と呆れていた気がするが、俺は気にしない

放課後
俺はいつもどおり帰宅していた
すると後ろから聞き覚えのある声が
 「あと2回だぞ」
おまえかよ!と思ったがあえて言わなかった
いったら後ろにいる彼女が傷つくから
 「相沢君?」
 「ああ、考え事してた」
 「本当になっちゃいましたね」
 「信じてなかったの?」
 「いえっ、そういうわけではないです
  ただ本当になったからすごいなと思いまして」
 「まあ、そういうことにしておきますか」
 「はい、そうしてください、これからはお昼一緒ですね」
 「まあ、図書委員は図書室にいないといけないからな」
などと会話をしながら天堂さんと家に帰った

10月17日
ついにこの日がやってきた俺にとってはつまらない学校祭
1,2年の時どうように屋上にいた
俺はとりあえずため息を付いた
 「若いくせにため息をつくな・・・」
俺は無視した
 「もう少しで力を手に入れてから9ヶ月目になるぞ」
 「言っとくけど、なんも考えてないよ」
後ろでドアの開く音が聞こえので振り向いた
そこにはあいつが・・・
2度目のかぶりだ、あいつも後ろを向いている
多分あいつも悪気は無いのだろう
体をずらし扉のほうを見ると天堂さんがいた
 「ごっごめんなさい」
と言って天堂さんが帰ろうとする
 「ちょっと待って」
 「あ、相沢君」
どうやら俺だと気づいていなかったようだ
 「どうかしたの?屋上に来るなんて珍しい」
 「今年は図書室を使っているので居場所が無くて・・・」
 「じゃぁここにいるといいよ」
 「いいのですか?」
 「別にかまわないさ」
それから俺は天堂さんと他愛の無い会話をした

時刻を見ると12時過ぎ、そろそろ飯の時間だ
 「飯なんか買ってくる、何か食べたいものある?」
 「お任せします」
俺は構内に入り適当に食べ物を買って戻ってきた
天堂さんは下の広場を見ているようだ
 「買ってきたよ」
 「ありがとうございます」
そういって振り返ろうとしたが足を絡ませ、落ちた
俺は彼女が落ちたほうへ走る
彼女はすでに2階ぐらいに差し掛かっている
俺は落ちる前に力を使った
全速力でドアへ向かう
ドアを開け階段を上から下まで一気に飛ぶ
一つ目
痛かったがそんなの気にしている暇ではない
二つ目、3階
三階であることに気づいた
今日は学校祭だ、階段にも当然人はいる
彼女の命がかかっているんだ
俺はごめんと思いながら再び飛ぶ
3つ目、   4人
俺の飛ぶ方向にいる人は俺によって顔面足蹴になる
そんなのは気にしていられない
4つ目、2階、6人
5つ目、   10人
6つ目、1階!15人
1階に着くまでに15人蹴り飛ばしたが俺は気にせず
玄関に向かって走る
次に玄関をでて彼女の落ちるところに走った
あと・・・何秒だ
時間はもうないだろう
胸が苦しい、それをこらえ彼女のところへ急ぐ
そして、何とか彼女の下に回ることが出来た
それと同時に30秒が終わったようだ
彼女は俺腕に落ちてきた、お姫様抱っこのような形になる
彼女の体重と重力による影響によってとんでもない重さが
俺の両足に来る、倒れそうになったがそれを寸前でこらえる
 「無事でなりよりだ」
 「あっ相沢君どうして?さっきまで上に・・・」
 「細かいことは気にするな、疲れたから少し休むな」
そういって彼女を降ろし、地面に大の字になった
大きく深呼吸をして息を整える
周りをよく見ると人が集まってきた、天堂さんが落ちるのが見えたのだろう
 「天堂さん、保健室行きたいから肩かしくれないかな」
 「はいっ」
俺は彼女の肩をかり保健室に向かった
その途中彼女がごめんなさいと、ありがとうをいってきた・・・

10月19日
昨日は振り替え休日だった
今日俺は学校を休んだ
学校祭が終わったあと、病院に行ったら
肉離れ寸前と判断された
そのため俺は安静にしていなければならないのだ 
 「あと1回だぞ」
そういえば俺はこいつに言うことがあったのだ
 「かぶるの3回目はやめろよ」
 「すまない、悪気は無いのだが」
しかし何で俺は天堂さんを助けたんだ?
俺は最大の疑問に悩んでいた
俺は基本的に人が死のうが俺は気にしない
多分親が死んでも気にしないだろう
唯一神谷のときだけは例外だったが
 「なあ、何でだと思う?」
 「もうすでに気づいてるだろ」
ああ、もうわかってる彼女は俺にとって大切な人なんだ

時刻を見れば4時過ぎ
珍しく家に誰か来た
玄関のドアを開けるとあいつが
さっき言ったばかりですよね?と言いたかったが我慢した
あいつ3回目は確実に狙ったな
あいつが消えるとそこには天堂さんがいた
 「珍しいね、こんなところに来るなんて」
 「これを・・・」
天堂さんの手を見るとノートがあった
 「もしかして俺に?」
 「はい、怪我をしたのは私のせいですし」
 「すぐ写すから、上がって待っててくれるかな」
 「はい」
天堂さんのノートはとてもきれいで写しやすかった
ノートを写しながら他愛の無い会話をしていた
それはとても幸せな時間だった
俺はノートを写し終えると彼女を玄関から見送った

10月25日
あれからも俺は休んでいる
今日も天堂さんは来るだろう
この前あいつにあの事を聞いたら、やはり狙っていたようだ
 「すまん、3回目は狙ってしまった」
なんて言ったから注意してやった、多分もう現れないだろう
天堂さんが来た、今日もノートを見せに
俺はそれを天堂さんと話しながら写す
そんな日が続いていた
帰り際
 「あのっ」
 「どうかした?」
 「・・・いえ、何でもありません」
彼女は何か言いたそうにしていたが
すぐに帰っていってしまった
俺はそれが妙に気になった

10月28日
今日は俺が学校に復帰する日だ
天堂さんもいるだろうと思ったがまだ来てなかった
結局HRが始めるまで来なかった
 「今日は天堂さんが外国に言ってしまう日だな、残念だ、さてHRを始めるか」
俺はそれを聞いて勢いよく立ち上がった
椅子も俺の力によって勢いよく下がる
すると机と机の間が狭かったためか
後ろにいた(吉田)が机ごと吹き飛び机の下敷きになった
俺は気にせず廊下へ出る
 「おいっどうしたんだ?」
 「さぼりです!」
 「・・・正直だから許してやる」
俺は走る
何でだ!昨日まで変わらず家に来てたのに
変わらず?いや、俺は気づいていた
あの日から気づいていた
ただ聞きたくなかった、なんとなく分かっていたから
くそっ!自分の馬鹿さを呪う
何分走っただろうか・・・
この角を曲がれば天堂さんの家に着く
俺は足を止め彼女の家のほうを覗く
車がある、エンジンがかかっている
どうやら間に合ったようだ
だがエンジンがかかっているという事はすぐに出て行くということだ
俺は呼吸を整える

やがて彼女がでてくる
俺は道に出ようとしたが、足が動かなかった
頼むから動いてくれと願うが俺の足は動かない
そうこうしてるうちに彼女は車に乗ろうと手を伸ばす
俺は心のそこから、止まれと願った
この30秒で足を動かさなければならない
どうして動かないんだ、これじゃぁあの時と変わらないじゃないか
走馬灯のように記憶がよみがえる
 「またな・・・」って言ってやれなかった
あと20秒しかない、どうにかしなければ
このまま彼女を行かせてしまったら俺は絶対また後悔する
彼女との思い出が俺の中を駆け巡る
楽しく、幸せで俺にとってかけがえの無い時間だった
残り10秒
急に足が動くようになった
また動かなくなる前に道に出た
彼女のほうへ歩く
残り5,4,3,2,1,0
時間がなくなるとともに彼女を呼び止める
 「待ってくれ」
彼女は俺の存在に気づき
 「相沢君・・・」
悲しそうに俺の名前を呼んだ
 「話があるんだけどちょっといいかな」
 「はい」
彼女は俺のほうに歩いてきて2〜3mぐらい前で止まる
 「危なかったよ、もう少しで天堂さんに二度と会えなくなるとこだった」
 「でも、もう会えません・・・」
 「俺まだ天堂さんに言ってないことあるんだ」
 「いやです、お別れの言葉は・・・」
 「好きなんだ」
 「えっ?」
 「俺、天堂さんの事好きなんだ、でも駄目なんだ」
 「・・・・・」
 「今の俺には天堂さんを引き止めることは出来ない・・・
  前にも言った様に俺たちは大人じゃないから
  でも、絶対に迎えに行くから、待っててくれるかい?」
俺は彼女の答えを待つ、彼女の顔を見ると
彼女は涙を流していた
 「はい、何年でも・・・」
そういって天堂さんは俺の胸に飛び込んできた
俺は天堂さんを力強く抱きしめた

俺は天堂さんと約束をしてそれぞれの場所に帰ることにした
 「よかったな」
 「ああ」
次はこいつとお別れだ
 「しかし3回ともまともなことに使わなかったな」
 「別にいいだろ」
 「・・・俺もそろそろ行かなければ」
 「ああ、そうか」
少し間があったがあいつが聞いてきた
 「どうして最後まで何も聞かないんだ?」
 「真の友に言葉は要らず、心はいつも繋がり合っている
  だろ?それに言ったら駄目なんだろ」
 「ああ、そうだな、ありがとう」
 「ああそうだ、一つ言い忘れてたことがあるんだ」
 「なんだ?」
 「またな・・・」
 「ああ、またな・・・今度会うときは生まれ変わった時だ」
あいつは最後の最後で笑った
段々と姿が消えていき、あとには何も残らなかった
俺は唯一の友である神谷と最後の別れをした
でも、それは次に会うときの約束でもあった

それから3年後
俺の隣は彼女がいて
彼女の隣には俺がいる・・・