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散らかった部屋の中を、テレビの光だけが怪しく照らしている。
映っているのはゲームの戦闘画面。俺は出来るだけ無心で操作する。
しかし、暑くて閉められない窓からは、隣りの部屋から女の喘ぎ声が聞こえて来る。

「うぅ……畜生……」

喘ぎ声が激しくなったと同時に、ボスにやられてしまった。
ストレスと怒りが溜まっていくのがはっきりと分かる。

「糞っ糞ぉ……うっ」

なぜか涙が流れてきた。壁を叩く事すら出来ない自分が情けない。
コントローラーを操作して、ゲームをロードした。

「タイムストップで止めて……」

先ほどやられたボスに挑む。魔法を使うと、敵の動きが止まった。

「……あれ、バグか?」

コントローラーを操作しても、画面は写真の様に動かない。
というか、BGMも止まっている。

「なんだよ……糞っ」

電源を押した。しかし、PS2は反応しない。試しに押したテレビもだった。

「なんなんだよ!糞がぁ!!」

怒りが限界に達し、もっていたコントローラーを壁に叩き付けた。

「……あ?」

壁にぶつかったコントローラーは、壁から少しはなれた場所に浮いていた。
その瞬間、頭の中であるスレッドが浮かんだ。

よく文字として見ていた光景。あのスレッドの作品が現実になったら、こんな感じだろうか……。

―もしも時間を30秒止められたら―

「ちょ、ちょっとま……」
『ガンッ!!』

コントローラーがぶつかった音が、辺りに響いた。
本当に、時間が止まっていたようだ。

「タタ、タイムストップを!!」

転がったコントローラーを素早く拾い、先ほどと同じように操作した。

「……殺す殺す殺す!!カプッルはヌッ殺ロだぁぁ!!!」
『タイムストップ!!』

テレビ画面から、キャラクターが叫ぶ。同時に、時間が止まった。
急いで柵を伝って、隣りの部屋のベランダに移る。ガラスをブチ破り、部屋の中に侵入した。
そこには、繋がっている学生らしきカップル。それをみて、さらに切れた。

「糞ガキ共が!うるせぇんだよ!!」

浮いていたガラスを、男の一物に突き刺す。2、3度突き刺して顔をぶん殴った。
コンポを担いで、女の顔の上で放す。すると、その場に浮いた。
それを確認した後、テーブルやテレビも上に置いた。
男の頭の上には、包丁と冷蔵庫と、壁から引き抜いたクーラーが浮いている。

「死ね糞カップルが!!」

悪態を吐いて、部屋へと戻った。

「…………動きだしたか」

部屋に戻った途端に、隣りから物凄い音が聞こえた。
今思えば随分と止まっていたな、感覚で15分は止まっていたな。
カップルへの妬みの力が、常識の限界を超えたのか?
……まぁいいか。気にしないでおこう。

「おっと、続き続き……」

テレビの前に座ろうとした瞬間、さっきとは反対側の部屋から、また喘ぎ声が聞こえてきた。

「……どいつもこいつも……新手のいじめか?」

コントローラーを操作して、減っていたMPを回復させる。
口元が緩むのは、怒りからだろうか?
まぁ……今となってはどうでもいいか。

「まぁいい、今夜は長くなりそうだ」

『タイムストップ!!』ゲームの中で、キャラクターが叫んだ。