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「嫌われてるのかな」
 どうだろうね、もしかしたら嫌われてるのかもしれないね。
「やっぱり戻りたくない」
 でも、嫌われて無いかもしれない。まだ分からないよ。
 君だって、まだちゃんと話してないんだろ?
 何もしないうちから決めてつけていたら、それこそ嫌われるんじゃないかな。
「……僕はどうすればいい?」
 そうだね、とにかく話してみなよ。
 でないとなにも分からないまま、無意味に怯えるだけだよ。
「わかった、頑張ってみる……ありがとう」
 これが仕事だからね。気にしなくていいよ。
 君と話しているのは、なかなかに楽しかったし。
「本当? うれしいな」
 本当さ。もしかしたら、皆は君が話しかけて来るのを待ってるのかもしれないよ。
「うん、わかった」
 じゃあ、時間を元に戻すよ。


「もう会えないよね」
 そうだね、これがきっと最初で最後だね。
 本来、君はここにきちゃいけないんだよ。
「そう……だよね。さ、最後に」
 なんだい?
「名前聞いてもいいかな」
 ……僕に名前はないんだ。
 以前ここに来た人には『時間の管理者』って呼んでたなぁ。
 そんな大それた物でもないんだけどね。
「そっか……それなら」

 ん?
「僕がつけてもいいかな?」
 ……君が僕の名前を?
「うん、だめかな……」
 いや……駄目じゃないよ……たださ……照れくさくて。
「あははっ、そっか……ん〜……『つなぐ』」
 『つなぐ』……? どうしてだい?
「なんかこう……時間と人を繋いでいるから……かな。やっぱり変だ、やめやめ――」
 ……ううん、『つなぐ』かぁ、気に入ったよ。素敵な『名前』ありがとう。
「えっ……うん、そっか、気に入ってくれてよかった」



 そろそろ時間の流れを元に戻しても大丈夫かな。
「うん、もう大丈夫……つなぐっ!!」
 ……なに?
「僕たち、友達だよね?」
 ……うん、君は僕の最初の友達だよ!
「ありがとう……つなぐも、僕に出来た最初の友達……

人は、誰しも少なからず時間を操れる事をご存じだろうか。
何かに集中していて、あっという間に何時間もすぎていた。
なんて事を、君もいつか経験しただろう。
そんな風に、皆知らず知らずの内に力をつかっている。
だけど大きすぎる力は扱いにくく、とても不安定なんだ。
一度暴走し始めると、自分では元に戻せなくなってしまう。
暴走した力は『世界の時間』も狂わせ、やがては取り返しの付かない事になってしまう。
そんな、力を暴走させた人が、狂った時間の中で訪れる部屋。そこに僕はいる。
狂った時間を元に戻し、暴走した力を安定させる。
それが僕……『つなぐ』の仕事。

「毎日毎日……同じ事の繰り返しじゃねえか! いっそ明日なんかこなけりゃいい!!」

……どうやらまた、誰かが時間を狂わせたようだ。僕は今日も扉を開ける。
人が時間の流れからはぐれ無いように。
僕は時間と人を繋ぐ。