※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

つまらない。

それが俺の人生についての正直な気持ちだ
繰り返しの同じ様な毎日
何の変化もない毎日を何の変化もなく過ごしてきた
大学に行き、バイトをして帰る毎日
そんな毎日の中で癒される時間は、バイト帰りにコンビニでコーヒーとパンを買い
帰り道にある公園でボケっとしながら一息入れる事だけだった


「ふぅ…」
ベンチに座ってタバコに火をつける
空を仰ぐと星が綺麗な夜だった


『It's a wish in a star』
第零話『Brightly』

「にゃー」
ん?
急に足下からする鳴き声に耳を傾ける
黒猫だった。
まぁそりゃそうだ。
これで犬がいたら俺は完全に頭がアレな子になってしまう
「にゃーにゃー」
「どうした、腹が減ったのか?」
「しかし、残念ながらパンはさっき食ってしまった」
空いたパンの袋をヒラヒラさせる
「にゃぁ…」
「そんな悲しそうな声で鳴くなよ…」
てかこの猫俺の言葉理解してない?
気のせいか…
「しょうがねえなぁ。ちょっとそこで待ってろよ」
すぐ近くのコンビニにネコ缶を買いに向かった
「198円になります」
「はいよ」
ちゃり
「お箸はおつけしましょうか?」
「俺は食わんわ!」
「サーセンwwwww」
腹立つ店員だな…
名前は……砂糖?
佐藤じゃないのか?
てゆうか額に『死にたい』って文字が見えた気がした
俺も疲れてんだろうな
「ありがとうございましたー」
公園に向かう
ベンチに戻るとさっきの黒猫は律義に待っていた
「ほれ、飯だ」
ガツガツガツ!
すごい勢いで食う猫
「俺は帰るぞ、じゃーな」
後ろで猫の鳴き声が聞こえた
ありがとう、と聞こえた気がした
この日を境に俺の世界は
少しだけ
ほんの少しだけ
変わって行った

第零話『Brightly』終



第一話
『Changing daily life』

今日もバイト帰りにいつもの公園に行く
毎度の事だが今日は変化があった
先客…か?
俺がいつも座るベンチの向い側のベンチに女の子が座っていた
こんな時間に一人で何してんだ?
まぁ良いか、俺には関係ない
と思ったと同時に視界に写っていた少女の体がグラリと揺れた
「お、おい!大丈夫かよ!?」
「お…」
「お…?」
「おなか…空いた…」
「はぁ?」


「ふぅー、おなかいっぱい!ありがとう、親切なお兄さん」
パンを取られた
「なんでこんなところで飢えてるんだよ?」
「アハハ…実は昨日の夜から何にも食べてなくて…」
「なんだそりゃ…」
飽食のこのご時世に空腹で倒れそうになるやつがいるとは…
とゆうか一日ぐらい平気だろ普通
「つーかこんな時間にこんな所いたら親が心配するぞ、はよ帰れ」
「お父さんとお母さん数年前に死んじゃったから…」
重ッ!!いきなり話がヘビィッス!!
「じゃ、じゃあ一人暮らしか何かか?」
「うん」
どうしよう、正直関わりたくない
「お兄さ…あ、名前何ていうの?」
「お、俺か?瀧村宗一だが…」
「ソーイチかぁ、ボクは黒井ミカ、ミカで良いよ!」

何かいきなり馴々しいんですけど、このお嬢さん
「ソーイチこそこんな時間に公園で何してんのさ?」
「俺は毎日この時間はここでくつろいでんだよ。ここは俺の縄張り、どっか行け」
「むぅ…ここはボクの縄張りだよ!」
「うそつけ、俺は二年間通ってるけどお前なんか見た事無いわい」
「むぅ…むぅ!」
ミカは膨れっ面でむぅむぅ唸っていた
ちょっとモエス
「まぁ良い、で、お前はこんな時間に何してんだ?」
「うーん…ヒマだからかな?」
すっげーアバウト
「そうだ!ソーイチ毎日ココ来るんでしょ?
だったらボクと遊んでよ!」
「はぁ?何で俺g」
「うん、決定!じゃあまた明日ねソーイチ!バックレたら膝の皿割るからね!じゃ!」
「お、おい、今サラッととんでもない事…」
誰がうまい事を(ry

うん、もういないね。
嵐の様なやつだったな…
明日もいるのかぁ
正直鬱陶しいなぁと思いつつも
つまらない日常の変化にワクワクしている自分がいた


第一話『Changing daily life』終



連続投下すまん
話がうまくまとまんね

第二話
『Moon, park and guitar』

バイトあがり
残業でちょっと遅くなった
公園にいるであろうミカのためにコンビニで何か買っていってやる事にした
「どうせ、今日も腹減ってんだろうな」
想像して少し微笑ましくなった
とりあえずシュークリームとミルクティーでも買っていってやろう
「420円になりまーす」
「はいよ」
ちゃり
「おはs」
「いりません」
「おkwwwwww」

「ありがとうございましたー」


昨日と一緒の場所にミカはいた
「ソーイチ遅い!皿割るよ?割るからね?」
遅れても割られるのか
「ほれ」
「あ、ソーイチ!何これ!?食べて良いの?」
「あぁ、どうせ今日も腹減ってんだろ?」
「ありがとソーイチ!大好き!」
不覚にも大好きという言葉にドキッとしてしまった
「うぅぅ!美味しいよー!」
「現金なやつだな…」
「んで、何して遊ぶんだ?」
ミカはクリームを口の端に付けたまま見上げた
「う?んーとね…」
「先に言っておくが、鬼ごっことかガキ臭いのはパスな」
「じゃあお話しようよ!お話!」
「つってもなぁ…俺はそんなに特別な事はしてないし」
「普段の何気ない出来事で良いんだよ〜」

「そうか…。面白くなくても俺は責任持たんぞ」
結局普段の出来事を話しだす

しばらく喋ってて判った事だが、ミカは知識が無く、何の変哲もない会話の節々に食いついてきた
こいつは一体どんな家庭環境で育ってきたんだよ
「ソーイチ、そういえばたまにこの公園で昼間に何だか変な箱をジャカジャカ鳴らしながら歌ってる人がいるんだけど、あの箱って何かな?」
「箱?」
鳴らしながら歌ってるって事はアコギか?
「ギターじゃないか?それ。」
「ぎたぁ?何それ?」
「何それって…楽器だろ」
「ふぅーん」
「ね、ね、ソーイチは『ぎたぁ』持って無いの?」
「持ってるには持ってるけど。何だ、お前興味あんのか?」
「うん!」
俺は高校の時にアコースティックギターを始めた
作詞作曲したりとかなり熱中していたんだが、去年あたりにバイトを始めて忙しくなってだんだん弾かなくなっていたんだっけ…
「お前が興味あるなら今度教えてやるよ」
こんな約束をしたのは懐かしさで弾きたくなったからだろう
「ホント!?約束だからね?約束破ったら…」
「はいはい、膝の皿割るんだろ?」
「うん。あっ!もう帰らなきゃ!じゃあ明日またね!ばいばーい」

「ギター、か…。」
とりあえずメンテしないとな
その日は帰って久しぶりに触るギターのメンテに勤しんだ


〜次の日〜

「それじゃ、瀧村宗一のギター講座を始める」
「おーぅ!」
「まずはコードを覚える事から始めようか。これがCコード…」


しばらくして喉が渇いてきたので休憩を入れる事にした
「ちょっくら飲み物買って来るわ。お前はさっき教えたコードの練習な」
「はーい!えと、これがCで…」
近くの自販機でジュースを買う
それにしてもこの公園って静かだよな…
と、ふと思った
月が綺麗な夜空だった

ベンチでジュースを飲みながら二人で一息つく
「難しいねーギターって。」
「あたり前だろ、すぐ上手くなるかよ」
「また明日も教えてくれる?」
「あぁ、別に良いぞ」
「やたー!そろそろ帰らなきゃいけないからまた明日ね!」
「あぁ、また明日な」
一人ベンチに座ってタバコに火をつけた
静かな雰囲気も好きだけど
誰かと喋るのも悪くない、かもな…
そんな事を思いながらゆっくりと公園を後にした

第二話『Moon, park and guitar』



第三話『The reason that I play the guitar』

今日も公園でミカにギターを教えながら話していた
「ね、ね、ソーイチって何でギターやろうと思ったの?」
「昔親父がギターやっててな、母ちゃんに歌を作って告白したらしいんだよ。俺は最初その話聞いた時はダサいと言って爆笑してさ」
ミカは興味深々らしく、うんうんと頷きながら俺を覗きこんで話を聞いていた
「そしたら母ちゃんがギターを弾きながら、その歌を歌ったんだよ。親父の曲に感動したらしくてギターまで覚えてさ。その曲しか弾けないらしいんだけど、その歌がとても綺麗でな。」
「へぇー、それを聴いてソーイチもギターを始めたの?」
「あぁ、今でも覚えてるよその曲は」
「ボクその曲聴きたい!弾いてよ、ソーイチ!」
「いや、流石に人前では…」
ギターは弾いていたが人前で弾いた事が無かったので拒否した
「むぅ…むぅ!」
「う…」
「むぅ……」
くそ、コイツ困ったらこの顔しやがって…
「むぅ………」
「だーっ!もう!分かったよ!弾けばいいんだろ!弾けば!」
「やたー!歌もだよ!?」
「ここまできたら歌でも何でも歌ってやるよ!」

静寂に包まれた公園をギターの音色が静かに、やわらかに包みこんだ


……ジャラン…
最後のコードを弾き終えると、公園を再び静寂を取り戻した
「…………終わりだ」
「…………」
「おい、何かコメントしろよ。恥ずかしいだろ」
「……綺麗な曲…」
何か俺の曲じゃないのに変な気恥ずかしさに襲われた俺の顔は、多分真っ赤だったんだろう
「この曲は何て言う曲なの?」
「この曲か?『星に願いを』って曲名だとさ。」
既にある有名な曲名と一緒のタイトルってどうなんだよ。
と昔は思ったが、この歌詞を考えるとピッタリハマっていた
「『星に願いを』…か…」
そう言って、ミカは少し考える様な仕草をした。

「ねぇねぇ、ボクでもこの曲弾けるようになるかな?」
「え?あ、あぁ…。でも結構難しいコード使っているからかなり練習しないと弾けないと思うぞ?」
気恥ずかしさに少しどもってしまった…
「明日からこの曲を弾く練習するよー!頑張るよー!」
「そうか、なら俺がビシバシ教えてやるよ」
「お願いします、先生!」
ビシッと敬礼するミカ
それは違うだろ
まぁ、いいか
何か目標が出来るのは良い事だな
「あ!そろそろ帰らなきゃ!」
「じゃあこのギターとコード表貸してやるから、まずはこの曲のコードの練習をしてこい」
多分俺は自分の身内の曲を褒められて嬉しかった
「え?貸してくれるの!?ありがとー!練習するよー!じゃあ、また明日ね、ソーイチ!」

そう言ってギターを抱えて走って行くミカの後ろ姿を微笑ましく見ていた


第三話『The reason that I play the guitar』 終



第四話『Bewilderment』

ミカにギターを教え始めて二週間が過ぎた
突然訪れた非日常は日常に変わりつつあった

「だいぶコードチェンジも出来るようになってきたじゃないか」
「ホント!?やたー!」
「まだ拙いけどな」
「うむぅ…」
こんなやりとりが楽しいと感じていた
「それにしても、コードが押さえられるようになってきた割には『星に願いを』を聴かせてくれないんだな」
「えヘヘー。ボクがスムーズに弾けるようになってから聴かせてあげるよ」
「いつになる事やら」
「むぅ!」
ミカをからかうのは楽しかった
ホント見てて飽きないやつだ
「じゃあボクはそろそろ帰るよ!」
「おう。また明日な」

明日は久々にバイトも学校も無いな
ゆっくりと休日を楽しもう
そんな事を考えながら家路についた

「うぅ、んー!ふぅ…」
もう昼か…
飯でも作るかな…


ピンポーン

手際良く炒飯を作り、さあ食うぞという頃に急にインターホンが鳴った
「一体誰だよ…炒飯が冷めるだろうが…」

ガチャッ
「どちらさm……」


外人がいた

チョイワルポケモン
ジローラモ が あらわれた!

どうする?

たたかう
アイテム
はなす
にげる

「え…と。あいきゃんとすぴーくいんぐりっしゅ」
ジローラモ「??」

しかし ジローラモには つうじなかった!
発音か?発音がダメなのか?
こうゆう不測の事態に対応すべく持ってて良かった
日常英会話の本!

いや、ただアメリカ旅行に行きたいがために買っておいたやつなんだけどね

えーと
「I can't speak…」
って、もういねぇし

何だったんだ今のは…
新手の幻覚か?
と思って部屋に戻ると普通に炒飯食べてました、ジローラモ
「コノ炒飯パラパラジャナイデース!」
「おい」
「味ハマァマァカナー」
「おいって」
「スイマセーン。オ茶モラエマースカー?」
ポケットから携帯を取り出す
「1・1・0…っと。あー、お巡りさん?何か家に不審者がー」

「らめぇぇえぇ!!警察はらめぇぇえぇえ!!」
ウザかったのでとりあえず通報はやめておいた
「おい、ジローラモ。お前普通に日本語じゃねえか」
「ワタシ英語シャベレナイデース」
ますますもって怪しかった
エセ日本語だし
「つーかどうやって家に入りやがった」
「禁則事項デース」
「何しに来た」
「禁則事項デース」
「名前は」
「禁則事項デース」
「3サイズは」
「上カラ85…」
「帰れ」
「……チッ」
「今舌打ちしただろ」
「気のせいDEATH」
「やたらDEATHの発音が良かったんだが」
「気のせいDEATH」
「……………。」
「……………。」

携帯を取り出す

「オゥ!オチツクネシャッチョサン!」
「じゃあ家に来た理由を簡潔にまとめろ」
「サー!イエッサー!」
このテンションはウザいです

返事の良いジローラモ(仮)は高そうなスーツの内ポケットから写真を一枚取り出した
「コノ子二見覚エハアリマセンカ?」

そこに写っていたのはミカだった


第四話『Bewilderment』終



第五話『Secret』


部屋を静寂が包む
余りの静けさに時が止まった気さえした
気のせい
そう、気のせいだ
時間なんて止まる訳がない
「知ラナイデスカ?」
たった数秒間が数分たった様に感じた
それぐらい急で、混乱していた
ジローラモ(仮)とミカがどんな関係か知らない
が、こんな怪しい奴に居場所を教える必要は無い
俺はそう判断した
「知らないな、そんな奴。見た事も無いぞ」
「ホントウニ?」
「ああ。」
またしても暫くの沈黙
「ソウデスカ…」
ジローラモ(仮)は写真を内ポケットにしまう
「ソレデハ、ワタシハカエリマス」
「あぁ」
「炒飯ゴチソウサマデシタ」
「勝手に食ったんだろうが」
炒飯の礼を言うとジローラモ(仮)は帰って行った
謎だらけのミカにまたしても謎が増えた、か…
とりあえず今夜ミカに聞いてみるかな…
空腹も消えた俺の意識ははまどろみの中にとけていった

「ソーイチ!早く、早く!」
ミカは飛び跳ねて手を振っていた
「そんなに急かさなくても練習時間は逃げねえよ」


コードチェンジに一生懸命のミカに問い掛けた
「なあ、今日変な外人が家に来てお前の事を聞いてきたんだが、ありゃ知り合いか?」
「外人?」
「そ、何か変なヤツでな…」
ミカに今日の昼間あった事を一部始終話した
「…つー事なんだけど」
「…………。」
「おい、ミカ?」
「あ、え?そんな人知らないよー。アハハ…」
嘘判りやすすぎ
まぁ、良いか…
でもさっきから胸の中のこの不安な気持ちは何なんだろう…
「そか。ストーカーとかだったら遠慮なく言ってこいよ。多少は力になれる」
「うん。ありがと、ソーイチ」

その後ミカは元気が無かった
顔に出やすいやつめ…ミカと別れ、家に帰った後ギターを思いっ切り弾いても胸の中の不安は消えなかった


第五話『Secret』終



第六話『Silent night』


大学の講義を終えた俺はギターの弦を張り替えていた
「力任せに弾くもんじゃねーな…」
昨日の夜に無茶苦茶に弾いたせいで弦が2本切れてしまったのだ


「これで良し……っと」

ピンポーン

「ん?」
昨日の出来事が脳裏に甦って、嫌な予感がした
またあの外人だったら交番に届けてやる…
「はいはい、どなたs」


今度は湯浅弁護士みたいなのがいた
そして両手の親指を立ててこう言った
「イェーイ(b'A`)b」
とりあえずやり返した
「イェーイ(b'A`)b」
「………。」
「………。」
「何の用ですか」
「あ、そうそう、貴方最近こうゆう子を見ませんでしたか?」
そう言って見せられた写真には、またしてもミカが写っていた
「………知りませんよ」
何なんだいったい
昨日といい今日といい
アイツ変な事に巻込まれてんじゃないだろうな…
「そうですか。それじゃ失礼しますね」
湯浅は背を向けて歩いく途中いきなり立ち止まりこちらを振り返った
「あ、後一つだけ」
「はい?」

「余計な隠し事すると、とんでもない目にあいますよ?」
そう言い残すと湯浅は去って行った

公園は今夜も静かだった
ベンチに座っているミカは電燈の明りも相まり、暗く見えた
「よお、元気無いな?」
「あ、ソーイチ…。そんなことないよ?」
そう言ったミカの笑顔は心無しか陰りが見えた
「ほら、ギターの練習始めるぞ」
「うん」



しばらくして俺は昨日の事も含めてミカに聞いてみる事にした
「なぁ、お前さ。」
「ん?」
「変な事件とかに巻込まれてないよな?」
「ううん、どうして?」
「今日また変なやつが家に来たんだよ」
今日の訪問者の事をミカに伝える
「…と言う事が今日な。」
「そっか…」
ミカの元気は明らかに無くなっていた
顔には悲しみが浮かんでいる
「なぁ、本当に何にも無いのか?」
「何にも…ないよ」
「うそつけ、じゃあ何でそんなに悲しそうな顔してるんだよ」
「何でも……ないってば」
「あのなぁ…」
「何でもないって言ってるでじゃないか!!」
ミカは俯きながら叫んだ
ミカからの初めての『拒絶』だった
ミカは暫くの沈黙した
その後俺達は一言の会話も無く帰った
胸の中の不安はおさまるどころか膨らんでいくばかりだった


沈黙が痛い夜だった


第六話『Silent night』終



第七話『I and she hope』


翌日、ミカは公園には来なかった
しつこく聞きすぎたからか…
「ちゃんと謝らなきゃな…」考えながら眠りについた



「はぁ…」
今日何度目のため息だろう?
「昨日は結局公園行かなかったな…」
正確には行かなかったではなく、行けなかった
心配してくれたソーイチに怒鳴ってしまい合わせる顔がなかった
「ちゃんと謝らなきゃ…」
うん、悩んでても仕方ない
とりあえず会って、謝らなきゃ
「よぉし!」
こうゆう時自分の切替えの速さには本当に助かる
空に向かって伸びをする
ふと、背後に気配がした
「ハァ、ヨウヤクミツケマシタヨみかサン」
「ふぇ?」
振り返る先を見て思わず素頓狂な声をあげてしまった
「神様…」
「マッタク、勝手ニ神界カライナクナッテ…。ハヤク帰ラナイト『監査員』ニ見ツカリマース。今ナラマダ私ノゴマカシデ通マスカラ」
「……でも…」
「ソーイチ君、デスカ?」
「何で分かるの!?」
「会ッテキマシタカラ」
「どうやって…?」
「アナタガ長時間モアンナ広範囲ノ時間ヲ止メタカラデスヨ。
目ニ見エナイ力ノカケラミタイナモノガ彼ニハ残ッテマシタ、ソレヲ辿ッテイルト彼ニ会エマシタ」

「じゃあ監査員も?」
「オソラク気付イテイルデショウネ。デスカラ遅クテモ今夜ニハ神界ニ帰ラナイトマズイデス」
「そんな……」



俺はバイトの休みをもらい足早に公園に向かっていた
今日は早い時間に行ってもミカに会える、そんな気がしたから
いつものベンチの所で缶コーヒーを飲み空を仰ぐ
「ソーイチ…」
声のする方を見る
「ミカ…」
「一昨日はゴメンね…急に怒鳴ったりして」
「いや、俺の方こそ…ゴメン」
しばしの沈黙
この暗い雰囲気を消すため、俺は無理に明るく振舞った
「お互い謝った事だし、ギターの練習でもするか!」
ミカは俯いたままだった
「ミカ…?」
「ごめんね、ソーイチ…。ボク今日でさよならしなくちゃいけない…」
「え…?」
予想外の言葉が出てきて頭の中が混乱していた


第七話『I and she hope』終



最終話『It's a wish in a star』


「ごめんね、ソーイチ…。ボク今日でさよならしなくちゃいけない…」
「え…?」
予想外の言葉が出てきて頭の中が混乱していた
「どうしてだよ…こんな急に…」
「私ガ説明シマショウ」
突然ジローラモが現れる
「何でお前がここにいるんだよ!」
「みかサンハ次期時ノ神ミナライナノデス」
「は?時の神?」
何を言ってるんだこいつは
パッパラパーの人か?
「みかサンハ勝手ニ神界ヲ抜ケ出シテ人間界ニイタノデス」
「なぁミカ、コイツ不審者として警察突き出して良いかな?」
「ソーイチ、その人の言ってる事は本当だよ…」
「みかサンハ貴方ニ合ウタメダケニコノ公園ノ時間ヲ止メテイタンデスヨ。
ダケドソンナ無茶苦茶ナ事ヲ続ケテイタラ時空ノ歪ミガ発生シテ大変ナ事ニナルンデス」
「この公園の時間が、止まっていた…?」
ふと思いだす静寂に包まれた公園
「チナミニ今モココノ時間ハ止マッテイマス。
私達ハ時間ガ止マッタ世界デシカ見エマセンカラネ
コノ事ガ監査員ニバレタラ貴方マデ処分ヲ受ケテシマイマス。
ダカラみかサンハ神界ニ連レテ帰ルンデス」
「そんなの……」
冗談だと言いたかった
でもミカの表情は暗いままだった
きっと本当の事なんだろう

「じゃあ何で俺は動けるんだよ?」
「ソレハみかサンガアナタヲ許可者トシテイタカラデスヨ」
「そっか…」
沈黙が場を包む
俺は何を言ったらいいかわからなかった
思考がまとまらない
「ゴメンねソーイチ…」
「お前が謝る事じゃないだろ…」
「でも…」
「でもじゃな」い
何だ!?声がでない!?
「許可者トシテノ効果ガ弱マッテキマシタカ。ソレジャアみかサン私ハ先二戻ッテイマス。オ別レグライハシタイデショウシ」
「あ、うん…。」
(おい!ジローラモ!声が出ないのにお別れもクソもあるか!)
と怒鳴ってみても、口がパクパク動くだけで声にならない
クソ!
「ソーイチ…」
「ボクね、ソーイチといて楽しかったよ!」
(俺もだよ…)
「ギターの練習したり」
(弾けてなかったけどな)
「空を見ながらお話したり」
(いつも話すのはお前だったな)
「すごく…すごく楽しかった!」
(ああ…)
「もう、行かなきゃ…」
(まだ、俺がお別れ言ってないぞ…)
「じゃあね、ソーイチ…」
ミカは後ろを振り返り、歩いて行く
(クソ!こんな一方的なお別れなんてあるかよ!
せめて、1分、いや、30秒でいい
もしも30秒だけ時間を止められたら)

ミカは立ち止まり、こちらを振り返り弱々しい笑顔をしていた
(止まれ)
「これが最後のさよなら…
これ以上ボクには時間を止められない」
(止まれ!)
「じゃあね、ソーイチ…」
(止まれぇえええ!!!)


ジリリリリリ!!
「朝…か。ふあぁあ」
あの非日常の夜から2年がたった
あの日の事は夢じゃなかったのかと、この夢を見る度思う
でも夢じゃない
夢であって欲しくなかった
あの日起きた奇跡を信じたかったから



「ミカ!!!!」
「…え?」
ミカの下に駆け寄る
「どうして?ボクは止めてないのに時間が…」
「そんな事はどうでもいい!
ミカ、俺もお前といるのが楽しかった
本当に楽しかった
俺はいつか、また、お前が戻ってくると信じてこの公園に来る
雨だろうと、雪だろうと。だから…」
「うん…」
「また、ここで会おう。ギターを持って」
「うん!」


ミカは泣いていた
でも笑ってもいた
俺も一緒だった
何故時間が止まったのかは分からない
その後も時間を止めようとしても止まらなかった
神様の気まぐれかもしれないし、俺が本当に止めたかもしれない
よく分からない。もしかしたら夢だったのかもしれない
でも、俺はハッキリと見たんだ
止まった時間の中で
夜空に輝く流れ星が止まっているのを


『It's a wish in a star(星に願いを)』