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それからの一ヶ月間は 記憶にほとんど残っていない

唯一しっかりとした色をもっているのは 真っ白な菊の花だけで

真っ黒なスーツを着ていた 母さんの恋人で 上司だった人の顔は

思い出せない

その人は私を見て 少し悲しそうな顔をした

予定では 私はその人の娘になるはずだった

少なくとも 母さんはそのつもりだった

その人も きっとそのつもりだった

私はというと それは違っていて

その人の存在すら 母さんには教えられていなかった

籍も入れる予定だったと聞いて 母さんの幸福を思った

きっとあの人なら 母さんは 幸せになれていただろう

私もきっと 幸せだったのだろう



だけど



母さん 何故死んだの?

運転には自信があって 

「あなたを遺して事故で死ぬ難なんて、そんなの耐えられないわ。」

と 言っていたのに

「いつかは母さんが運転を教えてあげるわ、悠紀。」

母さん 私は母さんが嫌いだったけれど

それは楽しみにしていた

母さんがこんなにも早く いなくなってしまうなんて

誰か知っていたの?

少なくとも私は 知らなかったし 思いもよらなかった











母の死で 私の心には 大きな穴が開いてしまったみたいだった

学校へも行かず 友達と会話もせず ずっと

あの小さな家で たった一人で暮らしていた

母の死を 父には知らせなかった

知らせる必要もないと思ったし 一回電話をかけてみたら

知らない女の人が 父の苗字を名乗ったから














もしかしたら














父は 私たち母子の事なんて 忘れてしまったのかもしれない

ただの そこらへんにいる人と同じで

興味の対象でないもの 顔も覚えられないもの

そうだとしたら

父にとっての私の存在意義は 何だろう

そして

母のいた 意味は何?