母が死んでから 初めて学校に行った日

隣に座っていたのは 菅崎龍だった



「今日から君、この席だよ。席替えしたんだ。」



ご丁寧にも 私の荷物は全部 彼の指差す机の上に

整頓して置かれていた



「それ、運んでおいたから。」



ありがとうを 言う事ができなかった

その時は この世に絶望していて 当たり前のことを

感謝できなくなっていたから

普通の人なら そこで私を見捨てていただろう

感謝の意も表さない私を 誰が好きになってくれただろう

だけど

彼は こんな私を 好きになってくれた












ごめんなさい












私は その時 住吉 翔が好きだった

あんなに優しくしてくれたのに

彼を どうしても好きになる事ができなくて

そんな私を 龍は悲しそうに 見つめていた




「悠紀、いい?自分の心に嘘はついてはいけないわ。それだけは覚えておきなさいね。」




母はそう言っていた

私はそれを忠実に守って

龍を振った























その後 私が何度後悔したか

何度 浴びせてしまったきつい言葉を飲み込めたらと思ったか

それは私だけが知っている 過去

























もう龍はいないのに

心は彼を求め続けてしまって

どうしようもなくなる

翔に とても悪い事を しているような気がする

最終更新:2007年05月08日 17:43