気血津液学説


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「気」「血」「津液」は、漢方医学において、人体を構成する最小単位の物質の一つである。これらの物質は、経絡・三焦とよばれる経路を通じて人体をくまなくながれており、臓腑にゆきわたってその働きを維持している。

目次


気については古来よりさまざまな考えがあり一元的に定義することは困難であるが、この気血津液論においては、気は物質のひとつであるとされる。

気の分類

気は、大別すると「元気」「宗気」「営気」「衛気」の4つの種類がある。

  • 元気
    • 基本的に親から受け継いだもの(先天の精)が起源であるが、その後、飲食物から得られる水穀の精微によって補充される。三焦を通じて全身にくまなく分布しており、おのおのの臓腑の働きを助け、機能を発揮させている。その意味で、元気は生命力の源ともいえる。

  • 宗気
    • 呼吸により吸入される気(清気)と水穀の精微とが合わさってできる。大部分は胸中に集められるが、一部は心に入る。肺の働きを助けて呼吸や発声を行うほか、心とともに血の循環を促進する。

  • 営気
    • 水穀の精微から生じる。血とともに血脈中を循環し、全身を栄養している。血との関連性がつよいことから「営血」と呼ばれることも多い。

  • 衛気
    • おもに水穀の精微から生じる。脈管の束縛をうけず、全身のいたるところをめぐっている。活動時には、おもに体表をめぐってこれを保護し、体内に外邪が侵襲してくるのを防いでいる。睡眠中は、おもに体内に入って汗腺を開閉することにより、体温の調節をしている。

気の作用

気の作用を大きくまとめると、以下の6つに分けられる。

  • 推動作用
    • 推動とは、ものをうごかす作用のことである。気は、人体のさまざまなものを推動させることにより生命活動を維持させている。人が成長し、歩き、物を食べ、話すことができるのも、気の推動作用と無関係ではない。とくに、次の2つの推動作用は重要である。
      • 《血、津液、排泄物の推動》:血、津液、排泄物は自ら動けるわけではない。気が推動させることではじめて循環し排泄されているのである。したがって、この推動作用が低下すると、これらのものは停滞し、体のさまざまな異変を引きおこすことになる。
      • 《臓腑機能の促進》:気は臓腑の生理機能を活性化する。これも広い意味で推動作用である。失調すると、臓腑機能は低下し、さまざまな病変をもたらすことになる。

  • 営養作用
    • この作用は特に営気に代表される。営気は血とともに脈管内を流れて全身を循環し、全身を栄養している。この作用が失調すると、痩せたり疲れやすくなったりする。

  • 温煦作用
    • 体を温める機能のことをいう。人体がある一定の体温を有しているのは、気の温煦作用のおかげである。この作用が失調すると、冷えや悪寒を感じるようになる。

  • 防御作用
    • この作用はとくに衛気に代表される。衛気は体表を覆うことで体内に外邪が侵襲するのを防いでいる。また、すでに体内に外邪が入りこんでしまった場合には、気は外邪と闘っておいだす役目も担っている。この防御作用が低下すると、体は簡単に外邪に侵されてしまうことになる。

  • 固摂作用
    • 体液が漏出するのを防ぐ作用のことである。血が脈管から外へ漏れ出るのを防いだり、汗や尿、精液などが過剰に排出されるのを防いだりする。この機能が低下すると、出血、尿漏れ、子宮下垂さどの症状をひきおこすこととなる。

  • 気化作用
    • あるものを別なものに変化させる作用のことである。たとえば、栄養物質である水穀の精微から血や津液などをつくりだしたり、不要な水液を汗や尿に変化させたりする。この作用が衰えると、汗が出なくなる、尿が出なくなる、むくむ等の症状がでる。



血とその生成

血は栄養分を豊富にふくんだ赤い色の液体である。水穀の精微から生じ、営気のはたらきによって津液の一部と微量な精が結合して赤くなる。脈管内を流れて全身を循環し、各々の臓腑に栄養分をもたらしている。

血の作用と運行

血は、全身のあらゆる組織・器官にまでゆきわたり、これらを滋潤している。我々の視力が正しく維持されているのも、血によって眼が滋潤されているからである。筋が正常に働くのも、血がこれを滋養しているからである。また、血は意識活動も支えているため、血の不足は、多夢・驚悸といった精神障害をひきおこす場合もある。
血は、心気の推動作用によって循環しているが、血が正常な働きを示すには、心気だけでなく、肺の作用や、肝による蔵血作用・疏泄作用、脾による統摂作用が必要である。


津液


津液とその生成

津液は、体内における各種の正常な水分(ただし血をのぞく)の総称である。唾液・汗・鼻水・尿なども、この津液の一部である。細かくいうと、「津」は澄んでさらさらした成分、「液」は濁ってねっとりした成分である。ただし、生理的・病理的には両者を区別しないことが多い。それよりも重要な区別は「五液」の区別である。これは津液の所在および臓腑との関連性によって津液を五つに分類したものである。心の液である「汗」、肺の液である「涕」、肝の液である「涙」、脾の液である「涎」、腎の液である「唾」である。(ただしこの対応も絶対的なものではない。)
津液の生成は、水穀の精微から生じる。脾によって消化吸収されて、一部が津液となる。

津液の作用と運行

津液の主な作用は滋潤・滋養作用である。体表にゆきわたった津液は皮膚を滋潤し、体内の津液は臓腑を滋養する。また、眼球や鼻、口なども津液によって滋潤されている。
津液の運行にあたっては多くの臓腑が複雑に連携しあっており、大変複雑であるが、なかでもとくに重要なのは、肺・脾・腎である。肺は上下方向に動く(宣散・粛降)ことで津液を全身に運んだり排出させたりする。脾は津液をめぐらせ(転輸)、腎は水液を汗や尿などに変化(気化)させて排出する。


精・神・陰・陽

  • 精とは、生体のすべての基礎となるもののうち、物質的な要素である。父母から受け継いだものであるため先天の精とも呼ばれる。精は腎に蓄えられており、成長・発育を促進させたり、生殖機能を維持したりする。
  • これに対し、同じ生体の根源物のうち、機能・意識的な要素を神とよぶ。
  • 陰とは、人体の構成物質のうちとくに体をさます力(陰性)の強いもののことであり、これとは逆に、とくにあたためる力(陽性)の強いものを陽とよぶ。

  • これらの概念を、気血津液にあてはめると「神」は陽や気、「精」は血、津液、陰が該当する。また、陽性の高い順に並べると、陽、気、血、津液、陰の順となり、津液や陰は、むしろ体にとっては陰性の作用をもっている。




(編集者:鹿児島大学)
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