【雙世】小野篁(R)
基本情報
名前 【雙世】小野篁
種族 不死
ジョブ マジシャン
召喚コスト 30
<タイプ> 英雄
タイプ 陰陽師
HP 400
ATK 30
DEF 50
覚醒
超覚醒
アーツ
CV 古賀 慶太

アビリティ
召喚 なし
覚醒 なし
超覚醒 トライブアップA
自身と同じ種族の自使い魔が多いほど、自身の攻撃力が上がる。
アーツ 六道閻魔封神
【フィールド】範囲内にいる敵ユニット全ての、ファイタースタイル時のバトルスタイルの変更と、スマッシュアタックを封じる。
消費マナ 30
効果時間 永続
wait時間 ?秒

ステータス
状態 HP ATK/DEF
召喚 400 30/50
覚醒 450 50/70
超覚醒 500 110/130
120/130(1体)
130/130(2体)
150/130(3体)
170/130(4体)
180/130(5体)
190/130(6体)
200/130(7体)

DATA・フレーバーテキスト
+Ver3.5
Ver3.5
身長 5.3[尺]
体重 15[貫]
趣味 和歌
特技 書道
友人 紫式部
嫌いな言葉 迎合
イラストレーター 加藤さやか
フレーバーテキスト

「ほぅれ、晴明はん、そろそろ起きたらどないどすか?」
京言葉が耳朶を打ち、陰陽師は目を覚ましました。
まず目に入ったのは、鮮やかな朱に金箔が張り巡らされた、きらびやかな寝殿造りの正殿。都で一流の陰陽師と謳われた彼女でも、これ程に立派な屋敷は見たことがありませんでした。しかし、そこに漂う空気は静謐でありながらもそこはかとなく薄寒く、この世ならざるものを感じさせます。
正殿の前に広がる庭園の真ん中でこちらを向き、後ろ手ににんまりとした狐目の笑顔を浮かべる男を見て陰陽師は全てを悟りました。
「……“野宰相”殿とお見受けする。生きておられれば御年御いくつであったか……その年若きお姿、殿上にて聞いたお噂は本当であったようだ……あなたがいるということはつまり--」
その反骨っぷりから「野宰相」「野狂」と呼ばれし参議・小野篁--人の身でありながら冥府にあり、閻魔大王の補佐を務めたと言われる男--。
「--ここは地獄。ワシは、死んだのだな」
動揺も無くそう言ってのける陰陽師に、篁は苦笑いを浮かべて言いました。
「ふふ、“足を滑らせて滝壺へ真っ逆さま”とは--希代不世出の陰陽師とまで呼ばれはったお人が、随分とまぁ間の抜けたことやったなぁ」
篁の言葉に、陰陽師は記憶を手繰りました。
願い続け、その為に生きてきたと言っても過言でないたった一つの望み--死んだ兄を蘇らせること。
その為に全てを捨てて陰陽の技を学び、当代一と呼ばれる術師に登り詰め、それでも足りず大呪術師・役小角に弟子入りして過酷な修行を耐え抜いた末に突き付けられた真実--それは、陰陽師の心を打ち砕きました。
--既に屍人『悪路王』として生かされている兄は、決して蘇ることはない。
死者蘇生は人の理をも覆す外法、外道のそしりを受けようとも構わぬと追い求めたものが全て無駄事であった--打ちひしがれ、雨露をもしのぐことすら忘れて山を彷徨い歩き幾日たったものか、気づけばこの様--。
陰陽師は自らを嘲るように笑いました。
「……そうとも、なんとも長く無駄なことを……私は間抜けなのだ。はは、人を蘇らせようと足掻いた末に、自ら死んだ大間抜けの愚か者よ」
篁は陰陽師の顔をじっと見つめ、呆れるように首を振ります。
「はぁ~、こらえらい重症やなぁ……まぁええわ。ほな、行きまひょか」
くるりと後ろを向いた篁の背を虚ろに見るや陰陽師--どこへ行こうと……この期に及び“裁き”など……。
「沙汰など必要ない……人の道を外れた私の行く先などとうにわかっている」
「ははぁ、そらいかん--閻魔さん、首長ぉして待ってはるでぇ」
篁は術札を扇のように広げると、口元にあて、さも愉快そうに笑いました。
それ以上の問答は無用とばかりにさっさか歩き始める篁に引っ張られるように、心あらずな陰陽師も歩き出します。
見事な彫刻に彩られた廊下を渡ると、やがて一際煌びやかな広間に着きました。
その中央にある玉座、そこには、左右に牛頭と馬頭を従えた閻魔大王が待ち受けていました。
「お待ちどうさん、お連れしましたえ」
「……来たか。呼び立ててすまぬな、人の娘よ」
呼び立てる?--閻魔大王の言葉に、陰陽師は眉をしかめました。
「……篁殿、ワシは死んでここに来たのではないのか?」
「へぇ? 僕そんなこと一言も言うてへんけどなぁ」
篁は陰陽師の戸惑いなどどこ吹く風とばかりにそっぽを向くと、くつくつと小さく笑います。
二人の様子を見た閻魔大王は、困ったような、笑ったような、なんとも奇妙な表情を浮かべました。
「ふむ、篁の戯れに付き合わされたか、すまぬがこればかりはこの男の性分でな、堪忍してやってくれ--して、篁よ。この娘がそうなのだな」
「そうどす。こう見えてこの人は、人の歴史に名を残すほどの使い手。必ずや御前様の助けになるかと」
「ふぅむ……」
閻魔大王は、人の一生を映し出すという『浄玻璃の鏡』に映る晴明の姿をしばし見つめたあと、
「なかなかに数奇な生を辿っておるが、その力は確かなようだ--娘よ、頼みがある。我が主、“桜花御前”様を助けてはくれまいか」
と告げました。
閻魔大王が言うには、主君である桜花御前--大妖怪『九尾の狐』がさる目的のために異界に一人渡り、その消息がつかめなくなっているというのです。
「御前様の行方がわからぬようになった後、同胞の忍を一匹送ったのだが……ジライヤの粗忽者め--そやつからの連絡も途絶えてしまってな……そこで篁と話したところ、お前の名が挙がったというわけだ。わしはこの地獄と残された朱砂の国を守らねばならぬでな、おいそれとここを離れるわけにはいかぬのだ」
「……朱砂? 知らぬ国だな……」
「あぁ、この冥府は様々な世と繋がってるからなぁ、別段あんたは知らんでもええけど、まぁ、おいおいやね。どや、そんなわけで閻魔さんも困ってはるし、あんたもやること無うなってしまったんやろ?なら、頼まれてくれへんやろか? いずれ本当に死んだらあんたも閻魔さんにお世話になるんや、今のうちに貸作っとくのもお得やで?」
篁が軽い調子で決意を促しますが、陰陽師は顎に手を当てて思案すると、
「--なぜ、ワシなのだ?」
と問いました。
陰陽師は飄々として知れぬ胸の内を探ろうと、篁の目をじっと見つめます。しかし篁は、
「深い理由なんてありまへん。僕の知る“実力者”を選ぶとあらば、自然と名前が挙がったのが音に聞こえた天才陰陽師、安倍晴明いうお人--それだけや」
とからから笑うばかり。
この風に吹かれる柳のような男から本当のことを聞きだすことなどできぬかもしれぬ、ならば従う道理もあるまい--陰陽師が口を開きかけたとき、
「--ああ、そうそう。ひとつだけ言い忘れとりましたわ」
篁はにやりと目を細め、わざとらしい動きで顔を近づけると、術札の扇で口を隠し陰陽師へと耳打ちをしました。
「その異界な、“れむぎあ”いうんやけど、僕らの世界とは全く異なる理で動く世界なんやて--“こっち”ではできひんかったことや許されへんかったことも、“あっち”でならどないやろなぁ……」
その言葉の意味するところ、つまり、それは--。
「--あなたは、私のことをどこまで……」
「はて、なんのことやら……それで、どうでっしゃろ?」
--ようか小娘。死者蘇生の法は陰陽の秘術などではない。あれは外法よ。天地の理に背くものだ。
--過去のことは全て忘れ、死者蘇生の実現はあきらめよ。
陰陽師の頭を、過去に出会った者たちからの忠言が巡ります。
「異なる理で動く世界--」
「せや。それとな、僕が“狐”なら、役の行者さんは“狸”や。僕から言えるんは、ふふ--あんたの道は、あんたが決めなはれ」
口元を隠し、術札の隙間から何かを試しているかのように陰陽師の表情を観察する篁--。
しばし黙考した陰陽師は
「--わかった。その話、謹んで承る」
と頭を下げました。
そして、再び顔を上げた彼女の目には、久方ぶりにきらりとした光が宿っていました。
こうして陰陽師は、閻魔大王の力を借りて異界へと渡ったのでした。

* * * *

「ははぁ、確かにそんなこともありましたなぁ」
女神の問いに、篁は書き物をしたまま答えました。
「けど女神はん、ここ異教の冥府でっせ? 遠路はるばるご苦労さんやけど、そんなこと聞きにわざわざいらはりましたん?」
「そうです。あなたがレムギアに送った彼女は今、“どちら”に転んでもおかしくないとても不安定な状態--それも、あなたの思惑通りというわけかしら?」
「はぁ……僕ぁ閻魔さんに頼まれて自分の仕事しただけやのに、えらい言われようやなぁ」
篁は、女神の問いをのらりくらりとかわします。
その後もいくつか問答を続けますが、やがて埒が明かぬと女神は嘆息しました。
「まぁ、いいでしょう……あのときの彼女にとって、あなたの言葉が救いになったのもまた事実……あのままでは、遠からず失意と絶望に蝕まれていたかもしれません。最後に、ひとつだけ教えてくれないかしら--」
女神の目が、すっと鋭く篁を射抜きます。
「あなたは私たちの敵ですか? それとも味方?」
篁は肩をビクリと揺らし、書き物の手を止めました。そして、ふぅと一息つくとゆらりと立ち上がります。
「おかしなこと、言わはりますねぇ。敵も味方も--もっと言うなら“剣”も“鍵”もありゃしまへん。行い……即ち“結末”に善悪を付けて裁くのが僕らの仕事ですねん。そこらへん『教会』の方らもわかってへんのやろなぁ」
「あなた……やっぱり全部知って……!?」
「ふふ、全部……全部なぁ、どないやろ? とにかく、結末が善であれ悪であれ、そこに至る道筋は自らが決めるべきや。禁忌に挑もういうあの反骨精神も僕は好きやしね--さて、ほいじゃそろそろ行きまひょか、『叡智の炎の女神』はん」
篁はぱたんと書を閉じて束帯の折り目を正すと、事もなげにそう言いました。
「……え?」
予想外の言葉に女神が戸惑っていると、篁は愉快げに笑います。
「頼みごとは頼みごと、僕らがやらんでもその結末はしっかりこの目で見届けなあかんやろ? 閻魔さんがここを離れられんとなれば、僕がその名代として見届けな--ああ、でもちょっとだけ待っといてや、閻魔さんにお許しもろてくるさかい」
「ちょ……ちょっとあなた……!」
そそくさと準備をして部屋を出る篁を、女神は呆然と見送るしかできませんでした。
「あん人にはね、お兄さん--高丸さんを救ってもらわなあかん。それが、たとえどんな形であろうとね」
篁の呟きは、誰に届くこともなく地獄の片隅へと吸い込まれていきました。

~『紅陰陽奇譚』 巻ノ撥~

考察
アビリティはトライブアップA。不死使い魔が戦場に多くいるほど攻撃力が上がる。
初手で作った場合の攻撃力は170であり、序盤のタワー戦としては及第点といったところ。
終盤では物足りない数値なので別にマジシャン枠を作る等工夫が必要だろう。

この使い魔の特徴はアーツにある。
自身を中心とする半径使い魔4.5体分くらいのフィールドを展開するが効果はとても強力。
なんと敵のバトルスタイルとスマッシュを封じることができるのである。
アタッカーはダッシュアタックができないのでこちらへ強襲することができない。
さらにはフリッカーも封印するのでディフェンダーのスロウアタックから逃れることが困難になる。
ディフェンダーに対しては持ち味のスロウアタックを封印するので、味方アタッカーが立ち回りしやすくなる。
ガーディアンもできないため追い打ちもしやすい。
マジシャンに対してはあまり効果がないように思えるが、ハザマやグートルーネ等シューターを多用する使い魔や、
ウエソヨマやエリザベス等スプレッドが必要な使い魔に対してはとても効果的。

欠点は30コストマジシャンでトライプアップであるためデッキ構築が難しいことだろう。
不死単で作るとなると、この使い魔とは別に初手で出せて後半でも役割があるディフェンダー、そして中高コストマジシャンといった形になるか。アタッカーは降魔で確保しよう。
混種なら主力アタッカー1枚を混ぜるのがいいだろうか。降臨を利用してもいいかもしれない。
トライプアップなので根元は出しておかないと攻撃力は上がらないことにも注意。


キャラクター説明
本文


+編集用コメント *編集が苦手な方はこちらへ情報提供お願いします
  • フレーバーテキスト1


    「ほぅれ、晴明はん、そろそろ起きたらどないどすか?」


    京言葉が耳朶を打ち、陰陽師は目を覚ましました。


    まず目に入ったのは、鮮やかな朱に金箔が張り巡らされた、きらびやかな寝殿造りの正殿。都で一流の陰陽師と謳われた彼女でも、これ程に立派な屋敷は見たことがありませんでした。しかし、そこに漂う空気は静謐でありながらもそこはかとなく薄寒く、この世ならざるものを感じさせます。


    正殿の前に広がる庭園の真ん中でこちらを向き、後ろ手ににんまりとした狐目の笑顔を浮かべる男を見て陰陽師は全てを悟りました。


    「……“野宰相”殿とお見受けする。生きておられれば御年御いくつであったか……その年若きお姿、殿上にて聞いたお噂は本当であったようだ……あなたがいるということはつまり--」


    その反骨っぷりから「野宰相」「野狂」と呼ばれし参議・小野篁--人の身でありながら冥府にあり、閻魔大王の補佐を務めたと言われる男--。


    「--ここは地獄。ワシは、死んだのだな」


    動揺も無くそう言ってのける陰陽師に、篁は苦笑いを浮かべて言いました。


    ※フレーバーテキスト2へ -- 名無しさん (2017-03-01 21:04:46)



  • 「ふふ、“足を滑らせて滝壺へ真っ逆さま”とは--希代不世出の陰陽師とまで呼ばれはったお人が、随分とまぁ間の抜けたことやったなぁ」


    篁の言葉に、陰陽師は記憶を手繰りました。


    願い続け、その為に生きてきたと言っても過言でないたった一つの望み--死んだ兄を蘇らせること。


    その為に全てを捨てて陰陽の技を学び、当代一と呼ばれる術師に登り詰め、それでも足りず大呪術師・役小角に弟子入りして過酷な修行を耐え抜いた末に突き付けられた真実--それは、陰陽師の心を打ち砕きました。


    --既に屍人『悪路王』として生かされている兄は、決して蘇ることはない。


    死者蘇生は人の理をも覆す外法、外道のそしりを受けようとも構わぬと追い求めたものが全て無駄事であった--打ちひしがれ、雨露をもしのぐことすら忘れて山を彷徨い歩き幾日たったものか、気づけばこの様--。


    陰陽師は自らを嘲るように笑いました。


    「……そうとも、なんとも長く無駄なことを……私は間抜けなのだ。はは、人を蘇らせようと足掻いた末に、自ら死んだ大間抜けの愚か者よ」


    ※3へ -- 名無しさん (2017-03-01 21:06:58)



  • 篁は陰陽師の顔をじっと見つめ、呆れるように首を振ります。


    「はぁ~、こらえらい重症やなぁ……まぁええわ。ほな、行きまひょか」


    くるりと後ろを向いた篁の背を虚ろに見るや陰陽師--どこへ行こうと……この期に及び“裁き”など……。


    「沙汰など必要ない……人の道を外れた私の行く先などとうにわかっている」


    「ははぁ、そらいかん--閻魔さん、首長ぉして待ってはるでぇ」


    篁は術札を扇のように広げると、口元にあて、さも愉快そうに笑いました。


    それ以上の問答は無用とばかりにさっさか歩き始める篁に引っ張られるように、心あらずな陰陽師も歩き出します。


    見事な彫刻に彩られた廊下を渡ると、やがて一際煌びやかな広間に着きました。


    その中央にある玉座、そこには、左右に牛頭と馬頭を従えた閻魔大王が待ち受けていました。


    「お待ちどうさん、お連れしましたえ」


    「……来たか。呼び立ててすまぬな、人の娘よ」


    呼び立てる?--閻魔大王の言葉に、陰陽師は眉をしかめました。


    ※4へ -- 名無しさん (2017-03-01 21:07:59)



  • 「……篁殿、ワシは死んでここに来たのではないのか?」


    「へぇ? 僕そんなこと一言も言うてへんけどなぁ」


    篁は陰陽師の戸惑いなどどこ吹く風とばかりにそっぽを向くと、くつくつと小さく笑います。


    二人の様子を見た閻魔大王は、困ったような、笑ったような、なんとも奇妙な表情を浮かべました。


    「ふむ、篁の戯れに付き合わされたか、すまぬがこればかりはこの男の性分でな、堪忍してやってくれ--して、篁よ。この娘がそうなのだな」


    「そうどす。こう見えてこの人は、人の歴史に名を残すほどの使い手。必ずや御前様の助けになるかと」


    「ふぅむ……」


    閻魔大王は、人の一生を映し出すという『浄玻璃の鏡』に映る晴明の姿をしばし見つめたあと、


    「なかなかに数奇な生を辿っておるが、その力は確かなようだ--娘よ、頼みがある。我が主、“桜花御前”様を助けてはくれまいか」


    と告げました。


    ※5へ -- 名無しさん (2017-03-01 21:09:18)



  • 閻魔大王が言うには、主君である桜花御前--大妖怪『九尾の狐』がさる目的のために異界に一人渡り、その消息がつかめなくなっているというのです。


    「御前様の行方がわからぬようになった後、同胞の忍を一匹送ったのだが……ジライヤの粗忽者め--そやつからの連絡も途絶えてしまってな……そこで篁と話したところ、お前の名が挙がったというわけだ。わしはこの地獄と残された朱砂の国を守らねばならぬでな、おいそれとここを離れるわけにはいかぬのだ」


    「……朱砂? 知らぬ国だな……」


    「あぁ、この冥府は様々な世と繋がってるからなぁ、別段あんたは知らんでもええけど、まぁ、おいおいやね。どや、そんなわけで閻魔さんも困ってはるし、あんたもやること無うなってしまったんやろ?なら、頼まれてくれへんやろか? いずれ本当に死んだらあんたも閻魔さんにお世話になるんや、今のうちに貸作っとくのもお得やで?」


    篁が軽い調子で決意を促しますが、陰陽師は顎に手を当てて思案すると、


    「--なぜ、ワシなのだ?」


    と問いました。


    ※6へ -- 名無しさん (2017-03-01 21:10:07)



  • 陰陽師は飄々として知れぬ胸の内を探ろうと、篁の目をじっと見つめます。しかし篁は、


    「深い理由なんてありまへん。僕の知る“実力者”を選ぶとあらば、自然と名前が挙がったのが音に聞こえた天才陰陽師、安倍晴明いうお人--それだけや」


    とからから笑うばかり。


    この風に吹かれる柳のような男から本当のことを聞きだすことなどできぬかもしれぬ、ならば従う道理もあるまい--陰陽師が口を開きかけたとき、


    「--ああ、そうそう。ひとつだけ言い忘れとりましたわ」


    篁はにやりと目を細め、わざとらしい動きで顔を近づけると、術札の扇で口を隠し陰陽師へと耳打ちをしました。


    「その異界な、“れむぎあ”いうんやけど、僕らの世界とは全く異なる理で動く世界なんやて--“こっち”ではできひんかったことや許されへんかったことも、“あっち”でならどないやろなぁ……」


    その言葉の意味するところ、つまり、それは--。


    ※7へ -- 名無しさん (2017-03-01 21:11:16)



  • 「--あなたは、私のことをどこまで……」


    「はて、なんのことやら……それで、どうでっしゃろ?」


    --ようか小娘。死者蘇生の法は陰陽の秘術などではない。あれは外法よ。天地の理に背くものだ。


    --過去のことは全て忘れ、死者蘇生の実現はあきらめよ。


    陰陽師の頭を、過去に出会った者たちからの忠言が巡ります。


    「異なる理で動く世界--」


    「せや。それとな、僕が“狐”なら、役の行者さんは“狸”や。僕から言えるんは、ふふ--あんたの道は、あんたが決めなはれ」


    口元を隠し、術札の隙間から何かを試しているかのように陰陽師の表情を観察する篁--。


    しばし黙考した陰陽師は


    「--わかった。その話、謹んで承る」


    と頭を下げました。


    そして、再び顔を上げた彼女の目には、久方ぶりにきらりとした光が宿っていました。


    こうして陰陽師は、閻魔大王の力を借りて異界へと渡ったのでした。


    * * * *


    「ははぁ、確かにそんなこともありましたなぁ」


    ※8へ -- 名無しさん (2017-03-01 21:12:18)



  • 女神の問いに、篁は書き物をしたまま答えました。


    「けど女神はん、ここ異教の冥府でっせ? 遠路はるばるご苦労さんやけど、そんなこと聞きにわざわざいらはりましたん?」


    「そうです。あなたがレムギアに送った彼女は今、“どちら”に転んでもおかしくないとても不安定な状態--それも、あなたの思惑通りというわけかしら?」


    「はぁ……僕ぁ閻魔さんに頼まれて自分の仕事しただけやのに、えらい言われようやなぁ」


    篁は、女神の問いをのらりくらりとかわします。


    その後もいくつか問答を続けますが、やがて埒が明かぬと女神は嘆息しました。


    「まぁ、いいでしょう……あのときの彼女にとって、あなたの言葉が救いになったのもまた事実……あのままでは、遠からず失意と絶望に蝕まれていたかもしれません。最後に、ひとつだけ教えてくれないかしら--」


    女神の目が、すっと鋭く篁を射抜きます。


    「あなたは私たちの敵ですか? それとも味方?」


    篁は肩をビクリと揺らし、書き物の手を止めました。そして、ふぅと一息つくとゆらりと立ち上がります。


    ※9へ -- 名無しさん (2017-03-01 21:13:13)



  • 「おかしなこと、言わはりますねぇ。敵も味方も--もっと言うなら“剣”も“鍵”もありゃしまへん。行い……即ち“結末”に善悪を付けて裁くのが僕らの仕事ですねん。そこらへん『教会』の方らおわかってへんのやろなぁ」


    「あなた……やっぱり全部知って……!?」


    「ふふ、全部……全部なぁ、どないやろ? とにかく、結末が善であれ悪であれ、そこに至る道筋は自らが決めるべきや。禁忌に挑もういうあの反骨精神も僕は好きやしね--さて、ほいじゃそろそろ行きまひょか、『叡智の炎の女神』はん」


    篁はぱたんと書を閉じて束帯の折り目を正すと、事もなげにそう言いました。


    ※10へ -- 名無しさん (2017-03-01 21:15:07)
  • 10


    「……え?」


    予想外の言葉に女神が戸惑っていると、篁は愉快げに笑います。


    「頼みごとは頼みごと、僕らがやらんでもその結末はしっかりこの目で見届けなあかんやろ? 閻魔さんがここを離れられんとなれば、僕がその名代として見届けな--ああ、でもちょっとだけ待っといてや、閻魔さんにお許しもろてくるさかい」


    「ちょ……ちょっとあなた……!」


    そそくさと準備をして部屋を出る篁を、女神は呆然と見送るしかできませんでした。


    「あん人にはね、お兄さん--高丸さんを救ってもらわなあかん。それが、たとえどんな形であろうとね」


    篁の呟きは、誰に届くこともなく地獄の片隅へと吸い込まれていきました。


    ~『紅陰陽奇譚』 巻ノ撥~


    身長:5.3[尺]
    体重:15[貫]
    趣味:和歌
    特技:書道
    友人:紫式部
    嫌いな言葉:迎合 -- 名無しさん (2017-03-01 21:15:56)
  • すみません、誤字報告。


    [9]
    そこらへん、『教会』の方らおわかってへんのやろなぁ

    そこらへん、『教会』の方らもわかってへんのやろなぁ


    なお、イラストレーターは『加藤さやか』さんです。 -- 名無しさん (2017-03-05 20:22:51)
  • 情報ありがとうございます。訂正しました。 -- 名無しさん (2017-03-05 22:41:18)
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