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ーガラガラー

人気の無い図書室に静かに歩み寄る少年
制服のポケットに手を突っ込みながらいつもどおりにだらけた格好
辺りをキョロキョロ見渡しながら、図書室内の周りを歩く

「…ヤミ?」

そう彼は呟き、そう呼ばれた少女は彼に振り向く
持っていた本を片手に持ち替え、少しだけ表情を変えた

「結城…リト…」

とくに驚いたような声色はなく逆に、いつも通りの軽い声だった
そして友達ですら見抜けないヤミの表情は、この少年結城リトだけには見抜けた

  安心と喜び……笑顔…

「…何の本?」

その少女を後ろから抱きしめながら、耳元で囁く
ビクッ  …ヤミは少しだけ体を強張らせた
だがそれはリトに対しての喜びを伝えようと、彼女なりの精一杯の動作であった
勿論それはお見通し、それさえも分かってヤミは行為を行ったのかもしれない

「…見られると恥ずかしいので…」

「充分恥ずかしい事してると思うよ?俺達」

図書室で抱き合っているカップルを見て、周りの生徒は居ずらくなったのか
いや、羞恥…或いはこの二人に対しての劣等感等の所為だと捉えた方が多いだろう

「…ん?…「会話術…デート偏」?…はは!そういうとこも気にするんだ」

本が取られるやいなや、リトはすぐさま読み出した
自分の体を巻きつけている腕を少しだけ強く握り、顔をブンブンと四方八方に動かすヤミ

「別に気にしなくても…。俺はヤミと一緒にいるだけで、それで充分だ」

「………(かぁぁ~~///)」

今度はリトだけではなく、そこらにいる一般人にも分かるような表情の変化だった
今のヤミがリトと睨めっこ勝負をしたらたった一秒以下で棄権するだろう
それ程の羞恥だったに違いない

「…なぁヤミ?…俺探してほしい本があるんだ」



「貴方が探したい本?…興味深いですね」

「うん。実は、この頃まったく授業に集中できないんだ。
ある好きな娘が頭から離れなくて…授業中もずっとその娘の事考えてて…」

「!」

「どうすれば良いか…解決できる本を探してるんだけど…無い?」

そんな本ある訳がない
途中からリトの本意を悟ったヤミだが、あえて口には出さない
…その方がヤミにとって好都合と認識したからだ

「…そ、そんな事より…そろそろ授業が始まりますよ?
貴方が居ないとなれば、プリンセスが校内を駆け回って探し出しますけど」

ギュ…  「!!」

「うんそうだな」

流すような返答
先程より強く抱きしめるリト
ヤミの顎を片手でクイッと、斜め後ろに反らせ

「チュッ…」

「チュッ…!?」

リトはヤミの豊潤な唇を奪い、そのまま静止した
ヤミは先方目を見開いていたが……自然とゆっくりと目を閉ざしていく…


「(柔らかい…といつも思う…。時折見る結城リトのキス顔…。
目が合うと笑顔を見せられ焦りながら目を閉じてしまう…自分。
恥ずかしい…けど嫌じゃない…違う…もっと違う言い方が…)」

初めてキスをした時、恥ずかしさのあまり一瞬だけで終わらせてしまった
ヤミは自分がキスは苦手で嫌いなのだと思った…その時は…
だけど…今は…

「ん…ふぅ…」


自分はキスが好きではないが、今自分を愛してくれる人とのキスなら

「んん…(…大好き…です…)」









いつしかキスは終わり、向かい合って抱き合うようになっていた
リトの抱きしめは力強さは微塵も無く、優しさで一杯だ

「……(ヤミはほんっと柔らかい。髪もサラサラで…素直に甘えてくる仕草も愛らしい)」

「…ん…(…温かい…)」

ヤミはリトの胸元に両手を置き、顔を埋める
リトもそれに合わせてなるべく全身で抱擁するような感じで抱いた

「…貴方に出会ったから…。貴方に出会うまで私は知らない事がありすぎました」

「…」

「このように、誰かに必死で甘えること…や。
誰かに愛されること…愛すること…。そして…シアワセを…」

「…俺もヤミに教えられた。…好きな娘が頭から離れない時は、
ずっとこうしていれば良いんだってことをな!」

「…斬りますよ?」「わ、悪かったって!」

久しぶりのやり取りに、ふと笑みがこぼれる
あんな事(いわゆる命掛けのバトル)があったのに、二人でイチャイチャしているなんて

「…好きです」

「…え!?(ドキ)」

あまりにも唐突なヤミの告白
いつもは仕掛け人のリトもこれにはさすがに驚きを隠せない

「不意打ちです。
たまには私からも言っておかないと…、気持ち…伝わっているかどうかが…」

「か、(可愛すぎる)…」

優しさの中で最大限に力を込めて抱きしめるリト
普通の少女として育ってこなかったヤミなりの正直な純粋な想いに心を奪われたのだ

「大丈夫…。充分に、充分すぎるほど伝わってきてるから…。
                俺も…好きだ。…ヤミ」

リトもまた純粋な想いでヤミを愛していた
そしてこれからもこの想いはずっと途切れることはない


闇と光は意外と相性が良いと言われるらしいから…