春菜が何とか部屋に来たララ達を一旦追い出したのが分かり、リトは安堵とともに布団を抜け出す。
春菜は若干顔を赤くしながら廊下に誰もいないことを確認すると、リトに帰るように促す。
「先生は‥‥ふぅ、もう大丈夫みたい。」
しかし、布団に隠れている際に感じた春菜の温もりが彼の欲を肥大させる。熱のこもった声で言う。
「さ、西蓮寺‥これから、もうちょっと二人で話さない?」
言った瞬間、リトは後悔する。『だ~!!こんなん無理に決まってるじゃん!!なに言ってんだ俺、俺の馬鹿!!』
熱いテンションは見る影もなくなり、どんよりと顔を俯かせる。
その様子を見ていた春菜は若干考えた後
「結城君?‥‥うん、いいよ」
と(リトにとって)意外に承諾する。
その後リトは部屋をうまく抜け出し、春菜はララ達に適当に言い訳すると、二人で外に出る。
今いる非日常の空間が彼らの背中を後押しして、新たな関係を築く。

しばらくの間無言で歩いていた二人。少し重たい雰囲気。喋りたい事は山程ある。伝えなきゃいけない事もある。しかし、口がなかなか開かない。
緊張するリトは無意識に隣を歩く春菜を見つめる。彼女は少し顔を赤くしながら、前を向いて歩いていた。その顔に、嫌悪感といった負の感情はない。
彼女を見て、何とか覚悟を決めたリトは口を開く。
「西蓮寺‥」
「何?結城君」
「良かったのか?こんな時間に抜け出して‥」
しかし口から出た言葉は、言いたい事とはまったく違う言葉。リトは自己嫌悪に陥る、が。
「良かったのかって‥誘ったのは結城君の方でしょ?」
「あっ、そっか‥ごめん」
彼のセリフに、春菜は自然と笑う。そんな彼女をリトは『やっぱりかわいいなぁ‥』と見蕩れる。やっと落ち着いてきた。そして、
「さっきも言ったけど‥結城君ってやっぱり、謝りっぱなしね」
「あっ!!」
春菜は言う。その言葉にリトはしばし沈黙する。数秒後
「あはは!!」
「フフフ‥」
二人は同時に笑う。ようやく笑いが収まった頃、海が見えた。
「……」
「……」
少しの間二人は海を見つめた。潮の香りが二人を包む。
「どうするの、結城君。もっと近くに行く?」
春菜は聞く。その問いにリトは考え、
「俺は別に構わないけど、西蓮寺は?」
と明確には答えず、彼女に質問を返す。本当は行きたかったが、今の不思議なテンションで無茶は出来ない。リトはそう思った。
「私は…しばらくここに居たいな」
春菜はそう言って、海を眺める。その顔に浮かぶのは微笑。しかし、どこか寂しげな。
「そっか」
リトはその表情に胸の痛みを感じ、一言返す。それから、ガードレールによりかかり、春菜同様海を眺めた。
沈黙。まるで触れるのがもどかしいような雰囲気。リトは気まずさを感じる。
しばらくの間、黙って海を眺めていると、春菜は口を開く。
「ねぇ、結城君」
「何?」
「‥‥‥」
リトは一言だけ返し、春菜の方を向く。彼女は少し顔を俯かせ、黙っていた。
「ど‥どうしたの」
『俺が何かをしたのか‥いや、そもそもこの状況は元は俺が誘ったのが原因で、俺、何かまずかった?』
リトは混乱する。しばらく彼女を見つめていると、春菜は口を開いた。
「ララさんのこと、どう思ってる?」
「えっ!!」
突然の質問に、思わず硬直するリト。その後、慌てて答える。
「ど‥どうって、うるさいし、常識はずれで滅茶苦茶だし‥それに」
「そういう事じゃないの‥」
リトの声を、春菜の小さい声が遮る。
「異性として、女の子として、どう‥思ってるの?」
その質問に、リトは呆然彼女を見つめていた。

リトのことを異性として見る様になったのは最近の事。
元々持っていた優しそうな人という印象に加え、直接話をする時の少し慌て、戸惑い、真剣に話す表情。
そして、ある事件の時、助けてくれたという事実(彼女自身は覚えてないが何となく本当だと分かった)
自分でも不思議だが、あっさりと彼に惹かれていった。
しかし、彼の隣にはいつもララがいた。地味な自分とは違い、そこに居るだけで人をひきつける魅力を持った少女。
そんなララに、少し嫉妬を覚えつつも、敵わない、と春菜は思っていた。
しかし、リトは春菜を誘った。春菜は抱く。
これは、もしかして‥という淡い期待。そして、ララとの関係を聞こう、という決意。
普段の彼女には決して言えないそれを、非日常の後押しを受け、春菜は口にする。
「どう‥なの?」
「どうって‥」
真摯な彼女の様子に慌てるリトは、自分でも何が言いたいのか分からないまま、話す。
「そりゃぁ‥可愛いと思うよ‥ってそう意味じゃなくて、えっと‥え~」
可愛いという言葉に反応した春菜はさらに問い詰める。
「ララさんのこと…好き‥なの?」
そう言った彼女の表情は、どこまでも真剣だった。その表情にリトは感じる。自分の一言の意味の重大さを。言葉を捜し、黙る。
沈黙と共に、春菜は表情を翳らせていった。そして、
「‥やっぱり、好きな‥きゃっ!!」
言葉で伝えるのを諦めたリトは口下手な自分を呪いつつ、抱きしめる事で返答する。
「あっ‥えっ?ゆ‥結城‥君?」
間近で見る彼女の顔はやっぱり可愛くて、綺麗だった。
しばらくの間見つめ続ける。二人の顔が徐々に赤くなる。
顔が熱くて、胸が痛いぐらい縛り付けられている。心臓の音は、彼女にも聞こえてるのではないかと思えるくらい大きい。
それでも、この言葉だけは口に出来る。ずっと言えなかった、大切な言葉。
「俺は、西蓮寺の事が‥好きだ。ずっと前から、今日まで。そして、これからも」
春菜はますます顔を赤くして、そして目を閉じた。何を求められているのか、リトには分かった。
二人の顔が近づいていき、やがて一つになる。自らの気持ちを伝えるキスを送り続ける。

自然と顔を離し、見つめ合っていると、春菜は口を開いた。
「私も、結城君の事が‥好き」
既にキスをし、彼女の想いは分かっていたが、それでも改めて言われると嬉しかった。リトは陶然として言う。
「なんか‥夢みたいだ‥」
「私も、夢を見ているみたい‥」
そして二人は自然と、キスをする。甘い、蕩けるような感触。

空の色が変わり始め、部屋を抜け出していることを思い出すまで、二人は何度も口付けをした。
帰る時、二人はどちらからともなく手を繋いだ。
付き合い始めてから一ヶ月、彼らは不器用で、一生懸命な恋をしていた。
これまで恋愛をしたことがなく、両者共に純情で奥手であったため、幸か不幸か健全な付き合いが進んでいた。
しかし、そこは若者同士。現状に満足していたわけではない。もっと進んだ恋愛もしたいと思っていた。
互いの肌に触れ、感じ合い、貪りあう。すなわちセックス。血気盛んな二人も当然それに興味を持っていた。
しかし、リトは春菜にそんな事を言えるほどの度胸と甲斐性がなく、春菜からそんな事を言えるはずもない。
両者共に、何らかのきっかけを待っていた。相手をその気にさせるきっかけを。そして金曜日、お約束の如くそれは来た。

リトの側ではララと美柑が、友達の家に泊まりに行った。土日を丸ごと使って遊ぶらしい。
春菜の側では両親が親が親戚の家に用事で出かけた明日1日家を空けることになった。
これはチャンスだ。何とかして相手側を説得して、家に招待しよう。そう思った二人は機を見て話しかけた。そして共に唖然とした。
いくつか言葉を交わし、リトの家で一晩過ごす事になった二人。
リトはあまりのご都合主義な展開に、脳が付いていけなかった。誘うまで考えていた、二人で過ごすことの意味、本命まで忘れていた。

夕方、春菜はリトの家を訪れた。
リトは夢心地のまま、春菜を迎え入れる。春菜はとある期待を胸に家に入る。
その後、話しをしたり、春菜の料理を嬉し涙を流しながら食べ、その様子を嬉しそうに見守ったり、楽しい時間を過ごす二人。
そして、春菜が入浴に行くのを当然のように見送るリトはそこでふいに目を覚ます。
春菜がお風呂から上がった後、どうするのか。当然自分も風呂に入るのだろう。
それにも興奮するものの、問題はその後だ。彼女は当然家に泊まるだろう。二人っきりで過ごす夜。
ようやく思い出す。Hしたくて、家に招待したのだ。なのに、その事を言っていない。
『今、急にそんな事を言って拒否されたらどうしよう。いやでも恋人の家に泊まるくらいだから彼女の方も‥』
思考の堂々巡り。都合のいい妄想とと自虐的な想像の狭間で悶々としていると、いつの間にか春菜が風呂から上がって来ていた。
若干濡れた髪に上気した肌。リトはその姿を見て、思わず口にする。
「さ、西連寺!!Hしよう!!」
リトはこの時ほど自分の愚かさを呪った事はなかった。
しかし、しばらく驚いて呆然としていた春菜が口にした言葉は―――
二人っきりの部屋。これから行われる行為を想像し、顔を真っ赤にしてリトは聞く。
「ほ、本当に…いいの?」 
「…うん」
絞り出すように声を出す春菜もリト同様顔が赤い。
その言葉にリトは硬直する。自分の一言一言に反応する彼を見て春菜は自然と笑みがこぼれる。
「そんなに緊張しなくても良いよ」
「あ、いや…そりゃ、そうだけど…」
そう言った春菜も、リトほどではないにしろ緊張している。
二人はもうデートもしたし、キスもした。純情な二人にとってはそれだけでも恋人というには十分だ。
しかし、これからすることはそれらより一線越えたところにある行為。緊張するのも無理はない。
それでも、私はもう覚悟を決めたのに…と春菜は思う。誘ったのはリトの方なのに彼の方に今更躊躇われても困る。
「結城君‥本当、大丈夫だから‥ね?」
そう言って彼を見つめる。
しばらくそのままでいると、やがてリトも、覚悟を決めたようだ。
その勢いのまま、彼は言う。
「じゃあ、服‥脱ごうか?」
その一言に春菜はさらに顔を赤らめる。しかし、その口から拒絶の言葉は出ない。
彼の目の前で、服を脱ぎ始める。少し遅れて、リトも服を脱ぐ。
恥ずかしさから顔を背けつつ、それでもちらりと見た彼女の素肌は綺麗だった。それを、そのまま口にする。
「西連寺、すごい…綺麗だ」
その一言に春菜は若干身体をリトの視線から守るように傾ける。しかし、
「あ…ありがとう…」
胸の内では好きな人が綺麗だといってくれた事の嬉しさで一杯だった。
やがて、二人は全ての服を脱ぎ終え、自らの裸体を想い人に晒す。
春菜は恥ずかしさのあまり、手で胸と秘所を隠し、顔を背ける。
リトはその姿に惹きつけられ、ただ春菜を見つめる。男性器が自然と勃起する。
その様子を横目で見た春菜が小さい悲鳴を上げる。
「えっ?あ…きゃあっ!!」
「西連寺…?おわっ!!」
自分の世界からようやく帰ってきた彼は自分のソレに気付く。隠すかどうか何故か迷い、とりあえず、春菜の方を見ると
彼女は握り拳を作っていた。身体は震えている。これはまずい、何とかしなければとリトは理解した。
様々な脳内選択肢の中から彼が選んだのは、勢いのまま彼女をベッドに押し倒すというものだった。
押し倒された春菜は、驚いて、目を見開いて思わず叫ぶ。
「ゆ‥結城く!!‥んっ‥」
しかしリトは春菜の言葉をキスで封じる。
しばらくの間その体勢のままでいると、ふいに春菜の身体から力が抜ける。
それを確認して、リトは口を離す。
「西連寺…」
「結城君…」
二人は見つめ合う。そしてリトは言う。
「する、よ?」
短い言葉。しかしそれで春菜には十分だった。万感の思いを込めてただ一言。
「うん…」
言い終えるとキスを求めて目を閉じる。しかしリトは、勇気を振り絞ってもう一歩進む。
「ん‥?んっ!?」
彼女を押さえつけると、思い切って舌を入れるとすぐに彼女の舌とぶつかった。そのまま彼女の舌を舐める。春菜の身体が強張る。
不思議な温かさと彼女の味にリトはすぐに虜になった。夢中で彼女の口内に舌を這わせる。
頭の中にくちゅくちゅという音がする。春菜は最初は抵抗しようとしていたが、やがてされるがままになった。
しばらく舐め続けると、いよいよ息が苦しくなりだして、リトは彼女の唾液を舌で掬って飲み込む。そして口を離す。ごくんと喉が鳴る。
最後に自分の口内を思い切り吸われたこと、喉の音に春菜は、自分の唾を飲まれたことを悟る。
「ふぅふぅ…あ、ゆ、結城君。私の…飲んだ…の?」
リトは喋るのも億劫なのかこくりと肯くことで肯定する。
「や、やだぁ…そんなの…」
顔を背ける春菜。性知識に乏しい彼女でも流石にこの行為は知っていたが、甘いキスしてこなかった彼女には、実際にするのはショックだった。
そんな彼女にリトは息を整え、言う。
「Hの時にするキスなんて大抵これだよ。それに、西連寺の唾、凄く美味しかった」
彼も青年向けの本で得た知識しか持っていないが、春菜の初心な反応を見て何とかリードしていこうとする。
もう一度キスをする。今度は春菜も抵抗しなかった。音を立てて舐め、吸いながら、リトは自分の舌に唾液を溜めて、春菜の口内に送った。
「ん~っ!!」
春菜は目を見開く。その顔に若干の嫌悪感が浮く。リトはその顔に少し後悔するが、それでも離さない。
やがて、ごくんと飲み込む。リトはようやく顔を離す。
「どう、だった?」
その問いに春菜は答えない。
「私、結城君の…」
そういい、唇に指を当てる。その顔には嫌悪感はなかった。ただ、愛しい人の唾液が喉を通った感触と、味を反芻する。
その様子にリトは一層興奮する。欲望の赴くまま、彼女を味わう。
「胸…触るよ?」
「えっ、あっ!!ゆ、結城…くぅん。いきなり、そんな…んっ」
先程のディープキスで感じていた彼女はリトの攻めに敏感に反応した。
胸を上下左右に揉まれ、小さい胸は、形を変える。リトが手を動かしている内に、何度か先端を擦り、徐々に乳首が充血していった。
「あっ!!西連寺の乳首…固くなってきた…」
「ん、ふぅ…だってぇ、結城君の手が擦れて…か、感じ、ちゃうよ…」
お世辞にも上手いとは言えないリトの攻め。それでも、初体験の彼女には十分な刺激だった。
充血した乳首、ピンク色のソレにリトは釘付けとなる。
「ハァ、ハァ、さ、西連寺のここ、すごい綺麗で、エッチだ…」
そう言いながら片方の乳首を口で、もう片方を指で弄る。
舐めるたびにぴちゃぴちゃという音が聞こえ、春菜の羞恥心を煽る。
「や、やぁ…そこぉ、ん、ふあぁ。舐めないでぇ…」
指で擦られ、充血しきった乳首を少し力を入れて摘む。グミのようなその感触がリトを夢中で攻めさせる。
「んあっ!!あ、うぅ…そこ、だめなの…んくぅ、ゆ、結城君…もうやめ…ふ、あああぁぁあ!!」
泣きそうな声で春菜は懇願する。全てが始めての感覚だった。自慰の時とは違う。愛しい男性の指、舌での行為は春菜の感覚を狂わせる。
リトが動くたびに擦り付けられる彼の男性器も熱さが、彼女を熱く、敏感にする。リトは気付かないが、春菜は何度か軽い絶頂に達していた。
春菜の秘所は既に濡れ始めていた。彼女は無意識に太ももを擦る。
その動作にリトはようやく、そこの存在に気付く。そして、自分の性器がどれだけ彼女の穴を求めているのかも。スイッチが入る。
「西連寺、入れる…よ?」
こう言ったのは彼の精一杯の気遣いだった。初めては女性にとってとても痛いものだと聞いている。春菜の苦しむ顔は見たくなかった。
しかし、この欲望はもう抑えきれないくらい大きい。だから、せめて彼女に心の準備の時間を作る。彼女もきっと―――
「はぁはぁ、あっ?……う、うん。いいよ。結城…く、ん」
一つになることを望んでいるから。
 
くちゅり、という音と共にリトのそれは入っていく。最初の感触にすんなり入るかも?と思うが、すぐに強烈な締め付けが襲い掛かる。
「う、あっ…さい…れんじ…き、キツイ、少し、力抜いて…」
「う、あぅ、ゆ、うき、君…ん、熱い…っ!!」
少しずつ挿入れていく度に肉棒に纏わりつく彼女の膣。もうそれだけでイってしまいそうだ。
対して春菜は想像以上のキツさに感じている余裕はなく、彼に心配をかけないよう痛みに耐えるだけで精一杯だった。
ソレに気付いたリトは、それでも止められない。痛くしないようなどという器用な真似も出来ない。
「ご、ごめん、西連寺…我慢、してくれ」
もう自分のソレに膜が当たる所まで来てしまった。リトは無意識に勢いをつけ、処女膜を一気に破る。薄い膜をブツッと破る感触。
「ん!!い、んっっっっ!!」
春菜は突然襲ってきた激痛にかろうじて、口を閉じる事で悲鳴を上げないようにするのが限界だった。その目からは涙がこぼれる。
リトは無我夢中で彼女にキスをする。ディープではない。せめて痛みが和らぐよう。優しいキスを。
手は胸に触れ、少しでも彼女が感じるように、激しく責める。
腰を動かす気にはなれなかった。彼女のキツく、蠢くような感触に興奮しながらも、それでも彼女への優しさが勝る。
二人がしばらくそのままでいると、ようやく春菜少しずつ痛みが治まってくる。
リトが口を離すと涙目の春菜はそれでも笑ってリトを見上げると、言う。
「ん‥もう…動いても、だい、じょうぶだよ」
どう見ても大丈夫ではない。しかし、その言葉にリトは頷く。
このまま中途半端でいても痛みが長引くだけだ。彼女を楽にする為にも、動いて、早めに慣れされるしかない。
まだキツイ彼女の膣の中を動くのは大変だった。彼自身が先にイってしまいそうだった。しかし、初体験でそんな事はしたくないとリトは思っていた。
イク時は二人で一緒に、という彼らしい純粋な甘い幻想。その為に、必死に快感に耐えて、自分が得る快感を相手にも与えようとする。
じゅっ、ぷちゅっという音と共に、少しずつ動かしていく。元々濡れてはいたので、程なくして、彼女の膣はリトの肉棒の大きさにも順応してきた。
処女膜を失った痛みはまだ残っているが、キツさはそれほど感じなくなっていた。
「ん…ふあぁ、ゆうき…くぅん」
痛みがなくなってから、快感が身を包むまでそれほど時間はかからなかった。リトに全身を責められ、震える。
胸に顔を押し付けると、汗で濡れる胸を舐め、しゃぶり、乳首を軽く噛む。
利との動作一つ一つに,春菜は嬌声を上げる。
その声に押されるように、リトは腰の動きを激しくさせていく。春菜をもっと感じさせたい。春菜を感じたい。
「あ、んんっ、は、はげしいよぉ、あぁ、ああぁぁあん!!」
理性を解き放つと、今まで意地で乗り越えた波がすぐに来た。今度はそれに逆らうつもりはない。
春菜は目を見開き、叫ぶ。もう、限界だった。
「結城、君!!わたしぃ、も、もう…イッちゃ…んんぅ!!」
避妊など考えなかった。彼女の膣に出したいという欲望そのままにリトも同時に絶頂を迎える。
「は、春菜ちゃん!!俺も、イ、ク!!チュッ」
キスをすると同時に強烈な締め付けを感じる。その刺激をうけ、リトは溜めていた欲望を吐き出す。
猛烈な虚脱感に襲われ、リトはそのまま春菜の上に倒れ込み呼吸を繰り返す。春菜も同様なのだろう。目を閉じて、息を整えている。
ふいにリトは口を開く。
「好きだよ。西連寺さん」
その言葉に春菜は
「私も、好き。結城君」
一つになった二人は今、幸せの絶頂にいた。
「結城君」
「何?」
二人は今裸のままベッドにいる。首だけを向かい合わせて、近い距離で二人は話す。
「私のこと…『春菜ちゃん』って呼んだね」
「あ…それは、その…」
リトは前々から彼女の事を名前で呼びたかった。完全に余裕を失ったため、つい口を滑らせてしまった。
「これからは、せめて二人きりの時だけでも、そう呼んで欲しいな」
微笑と共に言う。
「…うん。分かった。さいお…春菜ちゃん。」
自然に言うのはまだまだ無理だろう。意識して、使っていく。
出来れば俺の事も、とリトは思うが恥ずかしいさから何となく言えない。
しばらく沈黙が続く。居心地のいい甘い雰囲気の沈黙。
ふと、春菜は欠伸をする。同時にリトにも不意に眠気が襲ってくる。相当体力を使ったからだろう。その眠気に今は逆らえなかった。
「もう…寝よっか?」
「ええ…お休みなさい」
その言葉を聞くと同時に、耐え難い眠気が襲い掛かる。意識が沈んでいく中、声が聞こえる。
「リト君。好きだよ…」
「―――……」
何かを口にしたが、それが何なのか分からないまま、リトは眠りについた。

「……はっ!!」
不意にリトは目を覚ました。
「えっと…俺は昨日…は、春菜ちゃんは!!」
隣を見るが誰もいない。目に付いた時計は6時を差している。
ふと自分の格好を見ると、しっかりパジャマを着込んでいた。
「ゆ、夢…か、ははは、そうだよな。あんな展開、ある訳ないしな」
どうってことない、と思いつつ、世の全てに絶望したような顔で一人ごちる。ちょっと涙目。
「あのまま、眠っとけば良かったなぁ」
そうすれば、続きが見れたかもしれないのに。
廊下に出ると、卵が焼ける良い匂いがした。
「美柑の奴。もう朝飯作ってんのか。」
階段を降り、台所に入る。
「ふぁ~、おはよ~」
我ながら情けない声で朝の挨拶。しかし、台所に立つその姿を見ると一気に眠気が覚める。

「おはよう。リト君。今ご飯作ってるから、待っててね」
「………」
言葉が出ない。昨日の事は本当だった。自然と笑顔になり、リトは言う。
「ありがとう。春菜ちゃん」

パジャマは寒かったので寝ぼけながら着た。そんな経験。誰にでもある。

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最終更新:2007年04月04日 14:44