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その動物は弱さを見せない。
天敵から身を守るために主の前でも弱さを心の奥底へと隠し、元気を装う。 

Part1 登校

「んー、もう朝になっちまったのかよー…今何時だ?…っておいぃ!! 
     モモ!何度言ったら分かるんだよ、勝手に入んなって!」

一般の男子には満更でもないシチュエーションだろう、だが彼にとっては違うのだ。 
免疫がないと言ったところだろうか、桃色の少女のアプローチに答える訳でも無く慌てて階段へと走る。 

「もう…計画の成就までは長そうですね。」 

階段を駆け下りると、食卓にはまるで母代わりの様な妹が作る朝食が豪華に広がっていた。 

「おはよー、急がなくて良いの?ララさん「今日は春菜と行くー!」って 
    もう先に行っちゃったよ。…置いてけぼりにされちゃったね。」

「そ、それがどうしたんだよ。って、え?もうそんな時間か!?ヤバイ、いただきまーっ…… 
    よし、美味かった!ごちそうさま。じゃあ行ってくる!」

玄関先で、お弁当ー…と薄っすら聞こえたのは気のせいだろう。 
夜更かしをした自分を恨みながら通学路を走る。 

「絶対遅刻だなぁ…うぅ、朝から疲れるし何なんだよ…。」 

そんな焦りの中でも、空を飛ぶなどという人間離れをした登校とは違い、何処か落ち着いていた。

――はずだった。

どん、――

交差点に差し掛かった頃、右横から何かが思い切りぶつかって来た。
彼の性格なので自分のせいだと思ったのは当たり前な訳なのだが。 

『重い、何かが上に乗っかってる…今日はついてねぇよぉ…いてぇ…。』 

「ッったー…、オイ!どこ向いて歩い……あれ?結城じゃない、どうしたの?」 

「へ?も、籾岡!何で此処に!?あ…お前普段遅いからこの時間に… 
    うわぁぁ!そんな事より早くどいてくれぇ!」

人通りの多い朝である、こんなところを誰かに見られたら堪ったもんじゃない。
第一、重力に身を委ねた柔肌が掻き立てる様に心音を上げて行く。 

「ふーん、ぶつかっといて偉そうね、ダーリン?それは紳士といて良くないなぁ… 
  お詫びに、もう少しこのままでいて貰おっかな?」

「や、や、やめろ、遅刻すっからどいてくれ…、っ。」 

彼女の指先が頬を伝うとそれに合わせて見る見る内に紅潮して行った。 

「もぅ…ツれないなぁ、じゃさ、どいてあげるから一緒に学校行こうよ?それなら良いでしょ?」 

「わ、分かった。それ位なら良いから早く…っ、」 

焦らす様に瞳を近付けて来た挙句、耳元で挑発する様な吐息を掛けてやっと彼女は立ち上がった。 

「う、やっとどいてくれた……あ、あ、」 

「ん?…ははーん、アンタって狙ったように覗くねぇ…そんなに見たかったの?」 

ちら、と不必要に捲る彼女の動きなど見ていられず、大声の否定とともに彼も立ち上がった。


「あ…ぅ、」 

「ねぇーん、さっきから大人しくなっちゃってどうしたの…? 
さっきまであんなに凄かったのに、ね…?」

ぎゅぎゅ、と主張する双丘の間に腕を挟まれたまま彼は顔を真っ赤に染めながら閉口していた。





開き直った彼らは時間を余り気に掛けず、ゆっくりと歩いていくことにした。 

「何か話しながらいこうよっ!ねぇってば、!」 

「な、なら腕を絡めんのを止めろよ!お前、間に合わせる気ないだろ!」 

「んー、そんな気元々無いケド…あ、今日って委員会決める日じゃんー。 
  ダーリンは入りたい委員会とかってあんの?」 

「もうそんな時期か。俺は特に無いかなぁ、あんまり疲れないのが良いけど。籾岡は?」 

「アタシは行事関係が良いな、だって思い出作りのリーダーさんでしょ? 
  すっごい楽しそうじゃん!!」

「へぇー…籾岡って以外にそーゆー所あるんだな、前回のことが有るから男子は猿山押しかなぁ…。」 

「失礼ねぇ、アタシだって女の子っぽいところの一つや二つ有るんだから!! 
ふっ、ふっ、ふっ、甘いよダーリン。とっくに手は討って有るんだから…。猿山は生徒会に入るよ、」

「お前、また何か企んでるな…。」 

時刻は朝のホームルームの直前になる、 
やたらがたいの良い教師に注意されながら手を握ったままの二人は校内へと入っていく――