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『魔法使いの行動原理』  Report01 双子で姉妹な魔法使い    大きな石でもあったのでしょうか。  「……わひゃっ!」  今まで安穏とした空気を刻んでいた筈が一転、突如巻き起こった災厄に全てが飲み込まれてしまいました。  足元を揺るがすその振動は大地の怒りの如く、響き渡った音は怒りの咆哮でしょうか。聞くものの耳とか足をすくませるには十分に凶悪です。それを証拠に、すくんでしまった私の足は私を支えることを拒否し、私の頭は地面と感動のご対面を果たしてしまっています。痛いです。  かつて大地の底には災厄の魔物が住んでいるのだ、と教えられたことがあります。その時はなんと子供だましなのだろう、と思っていましたが、どうやらほんとのようです。ごめんなさい、魔物さん。過去の自分とはいえ、なんと失礼なことを。  「……むぎゅっ」  そして、大地の怒りは他のものの怒りまで誘発してしまったようです。天から何かが降ってきて、私の頭と感動のご対面です。とても痛いです。  天から降り注ぐ白い大きな何かは、まるで天の怒りを表すが如く。その怒りは一つでは収まりきらず、二つ、三つと私に降り注ぎます。かつて大空に上ろうとして神様に罰せられた愚かな魔物のことを笑った記憶がありますが、これはその報復なのでしょうか。馬鹿にしてごめんなさい。でもロウで作った羽はさすがに無いと思うのです。  「……むきゅぅ」  ああっ。あまりの衝撃に、私の意識は半分飛びかけています。アイキャンフライです。このままだとご来光が降りて私をお迎えに来て、そのまま涅槃の彼方へ馬車旅行です。気になることは一つだけ。私は意外に近いのです。果たして、トイレ休憩はあるのでしょうか。  とまれ。  「ったく……こんなでっかい石を見逃すなんて……ついてねぇぜ……」  声が聞こえます。  足音も付いてきます。  「車輪も外れて……そういや、荷台の……」  光が降ってきて、光の中にいたのはつややかな羽を持った天使……ではなく、ガタイのいい熊のような顔をしたおっちゃんでした。  「…………大丈夫か、お嬢ちゃん」  「だいじょうぶ……れは……ありまひぇん……」  ふわふわと浮き上がりそうな意識をかかえ、  「たすけて……くらはい……」  でっかい石を踏みつけて車輪が外れて散々暴れまくった馬車の、荷物が転げまわった荷台の中で、荷物に埋もれながら、  私の意識は、馬車旅行へ……じゃなかった、ぷっつりと途絶えたのでした。    しばらくして目が覚めた私を待っていたのは、目の回るような大冒険でした。  熊のおっちゃん、もとい、困っていた私を快く馬車に乗せてくださった心優しいおじさまと共に、まずは惨劇の後始末です。  幸い、と言いますか。天の怒りにはそれほどのものが入っていたわけではないようで、再度積み上げるだけで大丈夫なようでした。それであの威力なのですから、本来の威力は想像したくもありません。あわわわ。思いついてしまったつぶれたトマトは、しっかり煮込んでトマトソースにしてしまいましょう。  大地の怒りは……それなりに凄かったようです。車輪が一つ、完全にお釈迦様になっていました。  幸い、と言ってしまいましょう。近くに村があり、偶然にもそういった技術を持った方がおられたようです。明日にも直していただける運びとなり、一件落着です。  しかし、これでは先には進めません。少なくとも、今日明日はこの集落に滞在することになります。  すぐにでも先の集落に行きたい、というはやる気持ちが襲ってくることもなく、まぁいっか、という怠惰の気持ちが代わりに玄関のベルを鳴らしました。どうぞどうぞ。ゆっくりしていってくださいな。すぐお茶を淹れますから。    そんなこんなで、私、ノーラ・アレラデは。  偶然にも立ち寄った辺境の集落で、偶然にも、一人の魔法使いに会うことが出来たのです。    あ、嘘です。  燃え上がる魔法調査官としての使命感が、私をこの集落へと引き寄せたのです。    『魔法調査官ノーラ・アレラデの日誌』より抜粋
『魔法使いの行動原理』  Report01 双子で姉妹な魔法使い    大きな石でもあったのでしょうか。  「……わひゃっ!」  今まで安穏とした空気を刻んでいた筈が一転、突如巻き起こった災厄に全てが飲み込まれてしまいました。  足元を揺るがすその振動は大地の怒りの如く、響き渡った音は怒りの咆哮でしょうか。聞くものの耳とか足をすくませるには十分に凶悪です。それを証拠に、すくんでしまった私の足は私を支えることを拒否し、私の頭は地面と感動のご対面を果たしてしまっています。痛いです。  かつて大地の底には災厄の魔物が住んでいるのだ、と教えられたことがあります。その時はなんと子供だましなのだろう、と思っていましたが、どうやらほんとのようです。ごめんなさい、魔物さん。過去の自分とはいえ、なんと失礼なことを。  「……むぎゅっ」  そして、大地の怒りは他のものの怒りまで誘発してしまったようです。天から何かが降ってきて、私の頭と感動のご対面です。とても痛いです。  天から降り注ぐ白い大きな何かは、まるで天の怒りを表すが如く。その怒りは一つでは収まりきらず、二つ、三つと私に降り注ぎます。かつて大空に上ろうとして神様に罰せられた愚かな魔物のことを笑った記憶がありますが、これはその報復なのでしょうか。馬鹿にしてごめんなさい。でもロウで作った羽はさすがに無いと思うのです。  「……むきゅぅ」  ああっ。あまりの衝撃に、私の意識は半分飛びかけています。アイキャンフライです。このままだとご来光が降りて私をお迎えに来て、そのまま涅槃の彼方へ馬車旅行です。気になることは一つだけ。私は意外に近いのです。果たして、トイレ休憩はあるのでしょうか。  とまれ。  「ったく……こんなでっかい石を見逃すなんて……ついてねぇぜ……」  声が聞こえます。  足音も付いてきます。  「車輪も外れて……そういや、荷台の……」  光が降ってきて、光の中にいたのはつややかな羽を持った天使……ではなく、ガタイのいい熊のような顔をしたおっちゃんでした。  「…………大丈夫か、お嬢ちゃん」  「だいじょうぶ……れは……ありまひぇん……」  ふわふわと浮き上がりそうな意識をかかえ、  「たすけて……くらはい……」  でっかい石を踏みつけて車輪が外れて散々暴れまくった馬車の、荷物が転げまわった荷台の中で、荷物に埋もれながら、  私の意識は、馬車旅行へ……じゃなかった、ぷっつりと途絶えたのでした。    しばらくして目が覚めた私を待っていたのは、目の回るような大冒険でした。  熊のおっちゃん、もとい、困っていた私を快く馬車に乗せてくださった心優しいおじさまと共に、まずは惨劇の後始末です。  幸い、と言いますか。天の怒りにはそれほどのものが入っていたわけではないようで、再度積み上げるだけで大丈夫なようでした。それであの威力なのですから、本来の威力は想像したくもありません。あわわわ。思いついてしまったつぶれたトマトは、しっかり煮込んでトマトソースにしてしまいましょう。  大地の怒りは……それなりに凄かったようです。車輪が一つ、完全にお釈迦様になっていました。  幸い、と言ってしまいましょう。近くに村があり、偶然にもそういった技術を持った方がおられたようです。明日にも直していただける運びとなり、一件落着です。  しかし、これでは先には進めません。少なくとも、今日明日はこの集落に滞在することになります。  すぐにでも先の集落に行きたい、というはやる気持ちが襲ってくることもなく、まぁいっか、という怠惰の気持ちが代わりに玄関のベルを鳴らしました。どうぞどうぞ。ゆっくりしていってくださいな。すぐお茶を淹れますから。    そんなこんなで、私、ノーラ・アレラデは。  偶然にも立ち寄った辺境の集落で、偶然にも、一人の魔法使いに会うことが出来たのです。    あ、嘘です。  燃え上がる魔法調査官としての使命感が、私をこの集落へと引き寄せたのです。    『魔法調査官ノーラ・アレラデの日誌』より抜粋 [[次へ>>>魔法調査官]]

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