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「シア、あなたこんなところにいたの!?」
港町フローナの乗船場。
断続的に纏まった数の支援士を北部に送る船の前で、一人のバードの女性が、一匹のフロストファングと一人の女の子を傍らにして、戦いに赴く支援士と自警団のナイト達を見送っていた。
「エルナ。 それに……ヴァイさん、リスティ……そうですか、貴方達も行くのですね」
彼女の前に立つのは、リエステールのカーディアルトであるエルナ。
『アルティナ』の記憶と力を継ぐ少女、リスティ。
そして、聖女の守り手のブレイブマスター、ヴァイ。
「おおっ、美人のカーディアルト発見! もしやお嬢さんも北へ?」
……加えて、相変わらずシリアスな状況にのりきれない、というよりはのるつもりもないらしいセイクリッドのグリッツ。
ヴァイはその一瞬の行動を目にして、はぁ、とあきらめたように溜息をついていた。
「いえ、私にはこの子たちがいますので……ここで、皆さんの無事をお祈りしています」
シアはグリッツの態度の意味を分かっていながら受け流しているのか、すこし心苦しそうに微笑んで、そう口にする。
その横にいる一人と一匹―ユキと銀牙は、四人の視線を感じたのか、ぺこりと頭を下げていた。
「グリッツ、お嬢さんとか言ってるけど、シアはあなたより年上よ」
「何!? こんなにお若いのに!?」
「……こう見えても成人してますから」
苦笑した様子のエルナのセリフに反応するグリッツのセリフに、シアはなにやら落ち込んだような空気を纏いながら、そう付け加える。
……歳より若く見られる事が悩みなのだろうか。
「―……」
そんな調子のシアの身体を、ぽんぽん、と呼びかけるように叩くユキ。
それに気が付いたシアがそちらへと目を向けると、さささっと何かを訴えるように両手を動かした。
口が聞けない、耳が効かない、などという相手への会話手段である、手話というものだろう。
「……そうですね、今はそれどころではありませんでした」
「……なんて言ってたんですか?」
「いえ…”それより、もうすぐ次の船がでる時間だよ”と」
見ると、ルナータへの船の前に立っている案内人が、そろそろ出港する、と大きな声で叫び、港中にいる支援士達に呼びかけていた。
「あらら、もう少しゆっくり話でもしたかったんだけどね」
「エルナさん、今はそんな場合じゃないだろう」
「そうですよ。 シアさん……私、あなたの歌が大好きですから、絶対戻ってきますね」
「歌だって? すごいな、俺も貴女のその美声で、歌を聞きたいくらいだ」
「グリッツ、とりあえず時間が無いから黙っとけ」
ナンパ体質は前々から知っているので慣れたものなのだが、状況が状況だけにあまり容認はできない。
たまりかねたらしいヴァイはその襟首を引っ張るようにして一足先に船へと向かっていった。
「ええ、私も、貴方達に聞いていただけるととても幸せです。
……ここで皆さんの帰りを待っています、ですから、絶対に帰ってきてくださいね」