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(情報と完全に違うわね…それは後で考えよう。今は前の敵に集中を)
彼女は今、レオン達の分隊と共にアイズ、それも計二セットで、
且つ片方は内部に設置されるはずの高性能機との戦闘に入った。

(まずはこれね)
ルインは槍を翳し、詠唱を始めた。
「―――豊穣の女神、アスタロテの名の元に告ぐ―――」

その間にレオン、アルト、クリス、セオ、イルは高性能機へ。
クローディア、レンジャーナイツは量産型へ向け、突撃を開始している。

「―――我らが前に保護の衣を!―――リフレクション!」
槍を振り下ろした瞬間、周りにいる皆が薄い絹のような緑色の衣に包まれた。
リフレクション―――魔法耐性増加の魔法。

(準備完了、後は…)
考えるや否や短い助走から比較的攻撃が行き届いてなさそうな高性能型の一体

に向けて
―――一陣の風の如く突撃を―――ハヤテを繰り出した。

機械に避けれる筈も無く、直撃を喰らわせた。致命傷には到らなかったようだ

が。
しかしその間も、
「えぇいっ!」
「―――深淵に住まいし黒の精霊よ、全てを裂く刃をここに―――ブラックセ

イバー!」
アルト、イルによる少し離れた場所からの援護と、
「そらよっ!」
「…」
レオン、クリス、セオの三人で一体を牽制しながら集中砲火。
後ろに見えるレンジャーナイツやクローディアは
元々高い体力と上がっている魔法耐性、レンジャーナイツの特性である効果で

ある
―――最初に己が開花させた能力の配下に限りパーティ全員の被ダメージを軽

減する―――
も含めてかなり硬くなり、善戦しているようだ。

アイズたちも負けじと反撃をするが、いかに高性能機でも単体の集中砲火は凌

ぎきれないようで
―――しかし、シールドシステムとリジェネプラスが発動し、鼬ごっこ状態に

なっている。

(まずいわね…このまま長引けば此方の不利は―――あっ)
彼女はふとそこで気がついたことがあった。

「セオ…だったっけ?」
「そうだけど…どうかした?」
アイズの一体を相手にしながら会話をする。
「排出口で使っていたあれ、未だ使える?」
「ちょっと待て、何でそんなことを知っている?」
ヒットアンドアウエイを繰り返しながら彼は疑問の言葉を口にした。
「話は後。使えるか、使えないかだけを聞いているの」
「…使える」
「よし…みんな、ちょっと聞いて」
高性能機を相手にしている皆が戦闘をしながら、耳だけはこちらを向けた。
「このままだと鼬ごっこ状態は変わらない。
そこで、今回復をしているあのアイズ。あれを狙いましょう」
「狙うと言ったってどうやって?」
レオンがもっともらしい質問をした。
「まずはレオン、クリス、イルと私で二体を引っぺがす。
隙ができた所にアルトとセオの雷攻撃で止めを刺す。
シンプルだけど、今の状況の打開策としては一番いいと思う。これで行かない

?」

この提案に異論を唱えたものは―――いなかった。

「それじゃあ、行きましょう!」

その言葉と共に皆作戦通りの行動を行った。
遠くからの弓が―――浅くだが、ダメージを与える。
続けてレオンとクリスの連携攻撃。アイズの動きが一瞬止まった。
これでルインの突撃が決まればよかった―――のだが、

「…! 全員! こっちのアイズの直線状から離れて!」
その言葉で全員が―――未だ詠唱に入っていなかったのも幸いして―――
皆直線状から外れることは成功した。

一瞬の判断で特攻を止めたその正面では三体のアイズがデルタ状に集まり――


次の瞬間。


衝撃で空気が揺れ、それと共に高速で三角形のエネルギーが発射された。


「あれは…ルインさん、何なんですか?」
向こうで指揮をしていたクローディアから声が聞こえた。
「あれは―――デルタショット。当たったら、ほら、ああなる」

壁を指差す。
その壁は、先程は無かった三角状の穴が開いていた。
流石に皆、言葉を失う光景だった。

「一瞬動きが止まって三角形の陣を作るから、それを見逃さないで!」
そして陣を解いた高性能機目掛けてダッシュ、それと共に其々の元の行動に戻

った。

「―――我が求むは仇なす者の破滅、契約の元に集いしは魔、覆うは闇―――」
先程から攻撃をしていたアイズへの攻撃を合図に、アルトの詠唱が始まる。

「―――今ここに其の力を以って、粉砕せよ―――シャドウグローブ!」
「―――――――!」
アルトの最後の詠唱と同時にテオの高速詠唱を発動。
闇の波動と爆発する雷、二つが合わさり。


アイズの一体は粉々に砕け散った。
後は回復をしようが攻撃をしようが能力が低下、そもそもペースは此方が掴んだ。
順に残りのアイズを撃破し。
調度その頃、どうやら向こうのアイズも無事全滅させれたようだ。

「戦闘終了、お疲れ様です」
皆、安息の溜息を漏らし、一時的だが戦闘から開放された。

その中でルインはあることを考えていた。
(アインが貰った情報が今の現状と異なっていた。これが何を意味するのか…)

そして、少し考えた結果、憶測の域は超えないかある一つの結論が導き出された。
それは『彼が信用されていないこと』だ。
よく考えてみると『監視員』という役職にしたってそうだ。
これは彼に『勝手な反乱を防ぐ為』にしている可能性が高い。
はっきり言うと彼は幹部以上の能力を持っていることは
―――あまり知られてないのかもしれないが―――確実である。
そして、元々この計画に反対していた。これ以上無用に戦争を起こさない為にも。
反対していた者をそれでも連れ出した、これが何を意味するのかと言うと―――

「おい…さっきの質問に答えてないよな」
そこまで考えた所でセオが声をかけて来た。

「本当に聞きたい訳?」
「まあ、興味本位だけどね」
ルインは「ふむ」と相槌をつき。
(まぁ、聞きたいって言ってきた人だけに教えればいいか…)
と考えてから、
「貴方達は監視されているのよ」
「…! 成る程、やっぱりか…」
「もしかして予想していた?」
「ある程度はな。あそことかにある『あれ』だろう? 入り口の部屋からずっと見かけてた」
指差した先にあるのは監視カメラ。
「ご明察。アイズはカメラの破壊と同時にその周辺に行くシステムになっているのよ」
「と言うことは…まさか…」

導き出された結論は一つ。
壁の破壊と同時に上のカメラまで壊れたことが原因で凡庸機が此処に来た。

「えーと、もしかして俺のせい?」
「高性能機の方はあの扉を閉めたときに出れなくなって迂回してきたみたいだったから、
どちらにしても戦いは避けれなかったみたいだし、あまり気にすることは無いと思うよ」
「テオー、ルインさんと何話してるの?」
急にイルからの声が聞こえたので二人は振り返り、
「い、いえ、なんでもないわよ。」
「ふぅん」
「ふぅん、って…」
「それより、皆を呼んで来てくれない? 私の知っている限りの情報を教えるから」

間も無くしてルインの元に皆集められた、
「えーと…何から話したらいいかな?」
彼女は少し考えてから、
「では、それじゃあ…」

彼女が教えた情報は、
最初にこの船の幹部格の名前と特徴、ついでに自分が仕えていたアインについても軽く触れた。

「彼女、カリフ以外にもやはりいたのか…」
「まあ、当然と言えば当然ですね。ところでアインという人は」
レオンは率直な感想を述べ、クリスがアインについての敵味方の判断を問う。
「恐らくは…いや、必ず仲間になると思う。彼もまた反対していたから」
「では、続けて下さい」
と、クリスが促す。
「では、次はこの船内の兵や兵器についてね」

この船内の主力兵、兵器の殆どはβシリーズであることを説明した。
そしてβシリーズについても簡単に説明を付け加えて。
説明中は気付いたものは殆どいなかったようだが彼女は一瞬悲しみの表情を浮かべていた。

「つまり、人造兵器、それも機械兵機が主力、と言うことですね?」
ここはクローディアが重ねて確認するように聞いた。
「そういうことです。さて、説明も終わったことですし―――」

彼女はトロイホースの上に再び乗り、
「―――私が大広間まで案内するので着いて来て下さい」
言うや否や彼女は馬を徒歩級の速度で動かした。
それに続くように分隊員全員が移動を開始した。