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「いいなぁ、変身能力~・・・」

 セーがうらやましそうに目を輝かせて三人の妖精たちを見つめる。
最も、そのうちの一人は12歳ぐらいの人間の少女の姿に変身しているのだが。

 しかし、先ほどの妖精たちの戦いを見て、あることに気づくセー。

「あ、なるほど、太陽と月と星の妖精かぁ~、どうりで・・・、 上位能力の匂いがすると思った。」
「うん、まあ、隠すつもりはなかったんだけどね。」

 ヒミンの言葉に嘘、偽りはない。
確かに「ただの通りすがりの妖精」だったことに変わりはないから。
とはいえ、既に通りすがりでは済まないほどにまで、深く関わってしまってはいるけど。


 笑顔で返すヒミンだったが、眼前のセーが「しししっ」と何かを思いついたように笑うと、胃の痛みがこみ上げてくる。
自分たちの正体を、たとえ少しとはいえ知られた以上、このネタ妖精にどんな悪戯を仕掛けられるか分かったものじゃない。

「それじゃあ、私はっ!!?」

 やがてセーが詠唱に入ると、その不安は現実味を帯びてきて・・・。



「『トータr・・・』」
「『トータルエクリプス』、『闇の翼』。 いかにもセーがこの場面で使いそうな魔法ね。」

 セーがいよいよ魔法を発動しようとした時に、割って入ったのは船の後方からの女性の声。

「て、『店長』っ!!? 何でここに!?」

 驚きの声を上げるセー。
みんなの注目が、セーの指し示す方向に集まる。

「店長・・・、って誰なの?」
「アタシたちの店『セレスティアガーデン』の店長にして、同名のギルドの長。アタシも名前は知らない。」

 セーたちの視線の先には、どこかの舞踏会にでも行くのかと言うような、漆黒のドレスに身を包んだセレスティアガーデンの『店長』。
チェアーに体を預け、丸いテーブルの上に肩肘を付いてグラスを傾ける光景は、その場にはあまりにも場違い。

 その店長の対面には、青紫色のローブに身を包み、アイスコーヒーをすすろうとしたが、
ブラックでは流石に苦かったために、砂糖を入れようとして容器ごとひっくり返し、
涙目になりながらドロドロと粘性のついた『元』コーヒーだった液体の入っていたカップをかき混ぜるヴィオレ先輩。

「先輩っ!!? 来てくれたんですか!!?」

 私が呼びかけると、やや引きつった笑顔をうかべながら、こちらに手を振る先輩。・・・ああ、先輩。



「千客万来。また変なのが出てきたね・・・。」
「でも、今のは・・・、一言で『あの』セーの魔法を封じるなんて・・・。」

 そう、セーの魔法の弱点。
先に人に言われるとセーはネタ魔法を発動できない。
      • まあ、これはお笑いネタ全般に言えることだけど。

 そして、セーの突拍子もないネタ魔法を予測し、封じることのできるのは、
セーと長年連れ添ったセレスティアガーデンの『店長』を置いて他にはいない。

 店長のこの登場は、少なくともヒミンの胃にとっては、プラスに働くだろう。
まあ、店長も時と場合によっては、セーに負けず劣らずの悪戯好きを発動するけど。


「何しに来たのよ!!?」

 ネタを封じられて不機嫌そうに店長に向かって叫ぶセー。
しかし、店長は動じることなく、グラスに注がれたハワイアンブルーのカクテルを一口飲んでから答える。

「フフフ・・・。ちょっとセーたちの様子見に。」

 いわゆる、大人の余裕というやつだろうか。
その、なんとも言えない雰囲気に、セーはまるで駄々をこねる子供のように見える。
「むぅ~~!!」と口をへの字に曲げるセー。

「心配して来てみれば・・・、何遊んでるのよ、セー!!」
「う~~。」
ギルド『セレスティアガーデン』(あなたたち)がこんな所で呆けていたら、店『セレスティアガーデン』(こっち)の評判にまで響くでしょ!!!」

 て、店長・・・・、言いたいのはそこですか・・・。
しかし、セーがここまで押されているのを見るのも久しぶりな気がする。


「さあ、あなたたちの力を見せ付けてやりなさい!! 店の売り上げのためにっ!!」

 商魂燃える店長の熱弁。どこまで本気なのか分からない。

「『フォーメーション・オメガ』よっ!!?」
「え? でもまだアレは練習中の技で・・・。」

 店長から注文が入る。
反論しようとしたセーだったが、店長がひと睨みすると、渋々承諾する。