※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

北側の始まりの街 リックテール

にぎやかな街中の、とある小さな酒場

「よう…随分と、来るのが…ククッ遅いじゃないかっ…。」
「なんだよ…顔に何かついてんのか?」
笑いを堪えきれず、爆笑しているマスターを睨みつけてたずねる。
「何かってか?自分の顔を見てみりゃ解るさっ」
「なんだよ…ちくしょー。皆して笑いやがって…。」
少年の顔を見るなり、他の支援者や客が爆笑する様子を見て呟く。
鏡を見ると、顔に悪戯書き。髭やらなんやら、とりあえずかなり描かれている。
「…なーるほどな、いねぇと思ったら。こーいうことか。」
顔を洗い、凶悪な悪戯であった顔の落書きを消す。
顔を拭いて、とりあえず席につき受ける依頼を探す。
「あれぇー?なんだ、もう消しちゃったの?面白かったのに…。」
向かい側の席に座ってきたのは、現在のパートナー。イル
「面白かったのは俺以外の皆だろ?
あのな、この際に教えておくけどな…俺の顔は玩具じゃないんだ。
今度はお前の顔に落書きしてやるからな?」
「そ、それは勘弁。…ダメ?」
「だめ。」
「即答かぁ…はぁ。
仕方ない、許してくれないから今夜の晩御飯は抜き。だね。」
「抜き?!い、いくらなんでも酷いだろ。
抜きになるのはむしろお前の方で…俺は何もしてないじゃん!」
それから、よく考えてみる。
何か、大事なことを忘れているような…
「…お前、ゆで卵しか作れないんじゃ無いっけ?」
「し、失礼な…そうだけど失礼な。」
ゆで卵しか作れない。ということを否定する気は無いようだ。
「晩御飯、ゆで卵だけでいいのか?相当キツイと思うぞ?」
「う…うぅ。」
晩御飯がゆで卵だけ。ということを考えて唸る彼女。

<カランカラン>

酒場の戸が開き、騒がしい連中が酒場の中へと入ってきた。
「…魔法のランプ?竜の卵?そんなもんがあるかって!?」
どうやら酔っ払っているらしい。
声が何よりでかく、顔は真っ赤。
「で、ですが…。」
その昼間から酔っ払っている支援者の隣に青年が一人。
「いいか、小僧!夢見る歳は終わったんだぜ?
現実を見ろ!魔法のランプなんざありゃしねーのさぁ!
マスター、酒だ。酒。」
「ですが、本に書いてあるのです!」
「本なんざ頼りにならねぇ!嘘が書いてあるかも知れねぇだろう?
大体、んなもんがありゃとっくの昔に誰もがとりに行くはずだろぉ!?
なあ?テメーら。そう思うだろぉ?」
酒場に居る全員に同意を求めるその支援者。
青年をその支援者と一緒に嘲笑う客もいれば、
無言のままその支援者を睨みつける客も少々。
「もう少し、静かに話せないかな。それに、今の話し。何処が笑えるのさ?」
少年が後ろを向いてその支援者に言う。
「なんだと?」
「人の夢、笑う資格なんて無いでしょ?」
「依頼を受けて行きもしないのに、無いなんて断言できる?
こんな朝早くから酒なんか飲んでないで、できる限り要望に応えようとか思わないの?」
少年は、その支援者へそう言い放った。
「言わせておけば……俺がいつまでも黙ってると思ったら間違いだぞ小僧!」
席のすぐそこまで来て、少年をつかみあげる。
支援者と少年の身長、力の差は歴然。
少年の身体は、宙に浮いている。
「おいっお前!何してるんだっ!」
ベルセルクと思わしき支援者にマスターが怒鳴る。
その声を無視し、少年の首を締め付け始める。
「っ……」
片手で酒を飲みつつ、もう片手では締め付けたまま。
突然、男は酒瓶で少年の頭を殴りつけた。
<ガタガタ、ガタンッ>
「………。」
椅子をちらけて、もたれかかっている少年。
ガラスで頭を切ったらしく、血が流れている。
しかも、服は先ほどの酒で濡れている。
「何だ?その目は…まだ文句があるって…」
「やめろお前ら。それ以上やるようだったら自警団に連れてってもらうぞ!」
ベルセルクの男と少年の間に立って言う。
「ちっ…わかった。」
男は乱暴に酒場の戸を閉め去っていった。
「おい、大丈夫か?セオ?」
頭から血を流している黒髪の少年の名を呼ぶ。
「別に、大丈夫だけど…?」
「大丈夫な訳あるか。包帯持ってくるから待ってろ。」
ダラダラと流れる血を見て、マスターは部屋の奥へと。
そして、セオは酒場の中で先ほどの青年の姿を探した。
「……な、なあ。」
「え?あ、スイマセン。僕のせいで…。」
「いーや。お前のせいじゃない。
俺が好きなように行動しただけでさ。
で、気になったんだけど。魔法のランプと竜の卵。」
俯いた青年は、溜息をつく。
「…真偽はわかりません。
ですが、その二つが揃えば「サラバンドの書」という書物が手に入ります。」
「サラバンドの書…?」
「えぇ、偉大な魔法使いの書です。
このサラバンドという方は余り人々に知られていないんです。
ただそれは、何者かによって封印されてしまったということです。
あ、あのっ…それより血、大丈夫ですか?!」

―数分後

「………ったく、あんなのに喧嘩売るから悪いんだぞ?」
「いやあっちが勝手に怒っただけで…」
ほとんどの支援者達は依頼を受け仕事へ。
残っているのは、セオとイル。
そして先ほど嘲笑われていた依頼主。
あとは休憩に来ている方々。
「そこの、魔法使い。さっきの依頼受けるよ!
皆が君の依頼を無視するから、それを叶えてあげられるのは私達だけだもんね。」
イルがその魔法使いにそういった。
「本当、ですか!?」
「あぁ。そのために支援者がいるんだからな。」
「ってことで、よろしく!いいよね?マスター?」
「あぁ。気をつけろよ。特にセオ!包帯取るんじゃないぞ!」
三人は、酒場から外に出た。
「んな馬鹿についていきゃ命なんかいくらあってもたんねぇぞ!」
先ほどの、支援者の男が怒鳴ってきた。まだ酒を飲み続けているようだ…
「その命を賭けて支援してするのは、金のためじゃないからね…俺は」
そうセオは呟いた。