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「しっかし暗いなぁ…。」
「木が多すぎて光が入ってこないのでしょう。」
「ねぇねぇ、ライ。これ食べられると思う?」
イルが持っているのは、キノコ。
「…見るからに毒キノコだと思います。あんまり触らない方が…あ。」
「どした?……んなっ。」
イルの背後には、巨大芋虫の大群。
「い、いいい。イルさん、う。後ろ……。」
「え…?イヤァァァァァァァ!」
「焼き払え~!」
「無理です!あんなの!」
後ろからガサガサと音を立てて追いかけてくる虫の大群。
「…セオさん。キノコは好きですか?」
「こんな場合にそんなこと…。」

現在地、黒き森シュヴァルツヴァルト。木の上。

「参りましたね…。あの芋虫、私たちの事食べるつもりですよ?」
「そりゃそうだろ…。」
「うーん…。あっちの木に飛び移って逃げられないかな?」
大樹を指して彼女は言う。
「やってみるか…。」
荷物を背負ってから、順々に飛び移る。
「じゃあ、せーので走るよ。セオ、ライ。いい?」
「いつでも。」
「大丈夫です。」
できる限り三人は音を立てずに地面へ降り、走ろうとした。
が。
「キシャァァァァァァ!」
「うわぁぁ、気付いたァァ!」
「とりあえず、逃げないと。」
走って走って、目に付いたのが洞穴。
人型の魔物が住んでいるとかいないとか。
そんなことは完全に無視して中に飛び込んだ。
「グオォォォォォ…」
「う、ご…ごめんなさい。」
「いえいえ、どうぞどうぞ。気になさらずに。」
「…は?」
よく見れば、腹痛でグォォォと唸っていただけのブレイブマスター
「へぇ、君達もあの虫に追いかけられたのか。
あっはっはっはっは。笑えないなおい。そう思うだろう?坊主?」
たまたまライが持っていた腹痛用の薬で回復した男が言う。
「それにしても、これからどうやって抜け出します?まだ外に一杯居ますけど。」
入り口の方をチラッと見る。
「夜、抜け出す。」
「でも、虫の勘がよかったらまずいよね?」
男を無視して三人で脱出を考える。
「お、おい。無視するなよ…此処は団結して脱出するべきだ。
な、なんだよ少年。そんな怖い顔してみるなよ…。」
「セオさん、何してるんですか?」
「寝る。夜はこれ以上動くから…んじゃおやすみ。」
ここから走るとしたら、体力は温存しておかないと…。
まずは夜を待つしかない…。

数時間後

「ふくぁ…あぁ…。」
再び起きて空を見る。
満天の星空、男と二人は熟睡している。
火は消えているが、月明かりが洞窟に差し込んでいるため思ったよりも明るい。
「まずは…っと。」
ライとイルを起こす。
「んー…もう朝?まだ暗いよ…?」
「此処から出るから。虫も寝てるみたいだし…。」
「うん…わかった。」
そろりそろりと静かに移動をする。
「あの方は…いいんですか?」
「大丈夫だろ…。」
その場から離れるため、うつらうつらしている彼女を背負い小走りで森の中を走る。
洞窟から離れた場所。
「はぁ…はぁ…。」
「も、もう大丈夫ですか?」
「多分……。」
できるだけ戦わないように、魔物が寝ている間に宝石等を失敬していく。
泥棒みたいでやりたくは無いが、理由無く殺すのだけはもっとやりたくない。
「結構取れたかな…。」
宝石を古びた鞄に入れていると、遠くから叫び声が聞こえてきた。
「さっきの男の人…。」
叫び声で起きた彼女は、そういった。
「やり過ごすか?」
イルは既に大樹の上に上っており早く。と急かす。
「荷物隠すか…。」
ありったけの落ち葉で荷物を隠し急いで気の上に登る。
その数秒後、男が叫びながら走ってくる。
「何故俺を置いていくんだー!」
「あ、あの…助けないんですか?」
「うーん…。どうだろう?」
二人は助けに行く気は無いようだ。
そのまま男を見ている。
その男は、つまづき大量の虫に襲われた。
反抗をしているようだが、その程度でどこかにいくような連中ではない。
叫びはプツリト糸が切れるようにやみ、バリバリと嫌な音だけが聞こえる。
「うっ…。」
ライが口を押さえる。
虫の群れが去った後、残っているのはわずかに残っている骨と肉塊。
「助けたとしても、後々襲ってくるだろうし…。」
「何故、襲ってくると?」
「シュヴァルに入ってから、ずっとつけられてた。
それに初対面の癖にあんなに親しくする奴見たこと無い…。」
それだけ行って木から飛び降りる。
「本当ですか?」
「うん。そうだよ。皆。武器を喉元にこう…。」
矢をライの喉元につけそれから放す。
「して、お互い危害を加えない。情報交換と一時場所の共有を約束してから武器を収める。」
「…でも。」
「だって、あんな人があんな場所でお腹壊すと思う?見たところ食べたものは見付からない。
それに、ほんとに剣闘士で大人の力量があればあんな虫簡単だったと思う。」
そういって、彼女も木から飛び降りる。
「ライー早くしろよー。」
「は、はい。」
落ち葉で隠した荷物を出し、それを背負ってシュヴァルへと戻る。
イルとライは酒場へ、自分は見つけた宝石を売りに。
知り合いの錬金術師の店へ向かい。売れるものを売る。
「久しぶり、どうしたの?今日は。」
「売りに来た。ついでに、双爪の調子が悪いから…。」
「どれどれ…。あぁ。ちょっとヒビ入ってる。直しておくよ。で、宝石は…っと。」
数十分経ち、15000フィズを受け取り双爪の修理代を払う。
「やれやれ、手間がかかるなぁ。」
「悪いね。じゃあ、またこっち来たら顔出すよ。クレド。」
「せいぜい死なない程度に。それじゃあね。旅好きのセオ。」
クレドの店から出て、防寒具や足りないものをまた買い足す。
まさか、黒き森であんな目にあうと思わなかった…。
保存食はもうほとんどない。また作るか…。
酒場で合流し、クロッセルへと向かう準備に入ると話をしたが、
「もう一日滞在してても…。」
「三日が一番ちょうどいいんだ。」
「誰が言ってたの?」
「誰でしょう?」
そう答えて、町を出る準備をする。
これ以上、ここにいても何の意味も無い。