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「…むぅ、おかしい。さっきまで動くトカゲの人形なんてなかったはずだけどなぁ。
お姉ちゃんが作ったのかな、対テロ組織仕様全自動敵対勢力抹殺ラジコン…。
何処からでも電波が届く優れもの、偵察にでもなんにでも使えます。っていう…。
目からビームとか口から火炎放射とか、
でも、作るならもっとカッコイイのにするだろうし…。」

ヴヴヴヴヴヴ、ヴヴヴヴヴヴ…

「メール…?」






「先生、仲間を探すって言いましたけど……何処に行く気ですか?」
「この時間帯だと、弓道部の練習時間なの。もしかしたら…と思ってね。」
「行ってみないと分からないってことですか。」
「えぇ。そういうこと。」

バグに遭遇しないように周囲に最新の注意を払って私達は目的の場所まで歩く。
あと十数分は変身できないのだから、できる限り急がなければいけない。
といってもかなり不審な格好で歩いている。
ダンボールを頭からかぶったまま走りバグを見つけたら
その場でしゃがみ、どこにでもあるような捨てられてダンボールのふりをする。
気分は、メタ○ギアソリッ○のソ○ッド・ス○ーク。

通りがかるバグは、
(おいおい、何で同じ図柄のダンボールが2つも置いてあるんだよ)とか
(……怪しい、かなり怪しい)とか内心思っているのもいるのだが、
ピクリとも動かないダンボールを数分間睨んでまたどこかへと行ってしまう。
ばれないのはいいのだが、服がちょっと汚れるのが難点。


「あ、あの先生。此処剣道場ですよ?」
「丸腰で突っ込んでそこにバグが一杯いたらどうするのよ?」
「あ…そっか。」

ダンボールを脱ぎ捨てて大きく伸びをしてから
竹刀を手にし、剣道場からそう離れていない練習場まで駆け足で移動。

「練習場って……。」
「まぁ、“弓道部の”じゃなくて“彼女の”練習場よ。」

木々に様々な高さに吊るされた的が風に煽られひらひらと舞っている。
学校からそう遠くないところにある開けた林。
練習するときは必ず先生に申し出て立ち入り禁止区域にしてもらっているので、
今まで怪我人は一人も出ていません。

「せ、先生…。」
「あら、早速のお出ましね。」

竹刀を握る手に力が自然にこもる。

「に、逃げたい…。」
「気持ちはわかるけど、それは無理ね。クリア。」
「あぁ…なんか囲まれちゃってますね。竹刀で撃退できるのかな…。」
「うーん…きっと。」
「きっと?」
「無理ね。」
「え、えぇ!そこは無理でもできるとか言ってくださいよ!!」
「だって、気休めにしかならないでしょ?」
「気休めでもマシですよーーー!!」
「覚悟を決めて構えなさい。一つ賭けをしてみるわ。」
「ふぇ?」

エルナはトカゲ男を睨み見据えながら大声で叫んだ。

『イルーー!!ここの薄気味悪いトカゲの頭を射抜いたら数学の単位1プラスするわよ!!』
「せ、先生なにをっ!!」
「あとはこの世界に居ることを願うだけね。」

にこりと笑うエルナ。
そんな彼女に錆びついたボロ剣がいままさに振り下ろされそうになった瞬間、
ビクンとそのトカゲ男は痙攣して、倒れた。
それに続き、次々と倒れていくトカゲ男。
よく見てみれば、それらは全て眉間を射抜かれていた。

「え、えと。これは?」
「相変わらず、腕はたいしたものね…。」

ガサリ、と木々が揺れそこから飛び降りてきた少女がこちらに駆け寄ってくる。
彼女がイル。なんだろう。
中等部で、弓道で右にでる者はいない。と噂されているのは知っていたが
実際に会って話すのは初めて。
弓を片手に矢筒を背中にしょっている。

―TIME OUT―

元の服装に戻った彼女は、エルナ先生に一言。

「せんせー、本当に単位くれるんですか?」
「考えてあげる。」
「留年回避ー♪」
「それはそうと、お互い挨拶したら?」
「え、あ。そうですね。えと、私はクリアって言います。
イルさん、よろしくお願いします。」
「こちらこそ。」


ずっと何をしていたか、話を聞いていると。
『バグ』の事を姉が作った『対テロ組織仕様全自動敵対勢力抹殺ラジコン』
と思い込んでいたらしい。
そのせいか彼女はバグに対する恐怖心が全く無い。
肝が据わっているというのかなんというのかわからない。

「なんだかよくわからない世界だねー。」
「うん。」
「まぁ、どうせやるならとことん楽しまないとね。これはセオの受け売りだけどね。」

にこりと無邪気な笑顔で微笑む彼女。
どうせやるならとことん楽しまないと…か。
いつまでも暗い気持ちじゃいけないよね。