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 学園を中心にした町全体が「異世界」に切り離され、「バグ」って呼ばれる怪物どもが
ウロウロするようになった状況の中で、あたしクリアはエルナ先生とイルちゃんに出会った。
「…ところでイルちゃん、『セオ』って誰のことかな?」
「私の友達。同級生の男の子だよ。」
「イル、セオがどこにいるか分かるかしら?」
「う〜ん…。
一緒のときは一緒だけど、離れ離れになったらぜんぜん見当付きませんねー。
…彼、気まぐれですからねぇ…。」
『……………………………。』
いくら携帯電話の力で強くなれるからといっても、ここにいるのは女の人ばかり。
何人かは男の人がいた方が、精神的にも心強いよね。
「とりあえず学園の方に行ってみましょ。」
エルナ先生の提案に従い、あたし達はこの場を後にした。

 学園の規模の大きさを反映してか、学園の敷地や校舎の大きさもハンパじゃない。
さっきまでいた剣道場はクラブ活動専用で、部室棟とかをひとまとめにしたクラブ関連施設は
大きなグラウンドを挟んで本校舎の向かい側にある。
「…今グラウンドにバグはいないようだね。
急いで突ッ切って、どこかの教室棟に入ってみようかな?」
足の速そうなイルちゃんを先頭に、あたし達はグラウンドに駆け込んでゆく!
と…
〈ポスッ!〉
いきなり立ち止まってしまったイルちゃんに、先生とあたしはぶつかってしまう★
「あわわっ! どうしたのイルちゃ…」
「…男の子発見。」
イルちゃんの指差すグラウンドの片隅で、学園の制服を着た男子生徒が人狼(ウェアウルフ)
らしきバグ3匹に取り囲まれているじゃない!?
「たいへん! 早く助けなくちゃ…」
「待ちなさい。」
携帯電話を片手に飛び出そうとしたあたしの腕を掴んで制止するエルナ先生。
「何するんですか!? このままじゃあの人が……」
「よく見なさい、彼の姿勢を。」
『???』
「…あれは恐い敵に動揺してるんじゃない。進んで戦おうとしてる姿勢よ。
ここはひとつ、ここから様子をうかがっちゃいましょ。」
「…でも、もしやられそうになッちゃったら?」
「そのときは仕方ないから助けましょ。
彼が勝てば万事オッケーだけど♪」

 高等部1年生のバッジを付けた、中背でガッチリした体つきの少年は…
「グワオォーッッ!!」
爪を立てて襲いかかってきた魔物の胸倉を掴み、勢いを殺すことなく投げ飛ばした!
隙を突かれて背後から他の人琅に羽交い締めにされたけれど、
「ふんっ!!」
それを振りほどいて逆に絞め技を掛けてやる。
「ウグゥッ…」
絞め技が極って昏倒した敵を投げ捨て、最後の1匹と対峙する彼。
「…………。」
仲間2匹が素手の人間ひとりに倒されてゆくのに困惑する暇もなく…
「やぁぁーーッッ!!!」
気合一閃に繰り出された一本背負いを食らい、哀れなバグは大地に崩れ落ちた…。

 「いつ見てもすごいわねぇ、エルンスト!
さすがは柔道でパラリンピックを目指す男っ☆」
称賛の言葉とともにエルナ先生が差し出したもの。
…それは彼の持ち物らしき、一本の細長く白い杖だった。
「…ありがとうございます、先生。」
「キミも朝早いねぇ、自主練?」
「…うむ。
…ところでイル、もうひとりいるのは誰だ?」
「あの…、あたし、クリアといいます。
エルンストくん、その…目が……」
「…見えなくなったのは小学生の頃だ。…今ならある程度気配で分かる。」
あたしが言いよどんでしまった質問を、エルンストくんは先読みして答えてくれた。
「どうして携帯を使わなかったの?」
あたしはこの質問をしてしまったことに後悔した。
目の見えない彼にはメールやアプリも使えないんじゃないか…って。
「…スキルトレースはもったいないから、まだ使っていない。
…メールならこうやって『聞く』ことができる。」
彼の携帯は身障者対応タイプらしく、ボタンを押すとメールの内容やアプリの説明を
「始メマシテ。私ハコノ世界ノ紡ギ手ノ代理人デス…」と電子音声で読み上げてくれる。
『なるほど…。』

 こうしてあたし達は初めての男の子の仲間、エルンストくんを加えて再びグラウンドに
向かって走り始めた。


各キャラ残りX・P
クリア 2回
エルナ 2回
イル   2回
エルンスト  3回