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 砂上墓所・地下4階。
「開かずの石扉」の奥から現れ、敏腕支援士ジュリアを一撃で戦闘不能に陥れた、
「新鮮な肉体」を有する不死魔(アンデッド)・不死の薬師。
その不死の薬師にたったひとりで立ち向かうことを決めた錬金術師カネモリは、袖の中から
「水の元素」を取り出し…
「…偉大なる錬金術の祖・ヘルメス=トリスメギストゥスよ、我が
水に宿りし精霊・ウンディーネの力借ること許し給え……」
いつでも魔法が使えるよう基本詠唱を行う。
「…参る!」
不死の薬師が先制攻撃を繰り出すべく一歩踏み出したとき…
「水の精霊・ウンディーネよ、彼の者に足下(そっか)の煩い与う可し。
『水膜潤滑《ハイドロ・スリップ》』!」
直後、薬師の周囲の石畳だけが水浸しとなり、足を取られた薬師は不意にその場で転倒!
「ぬぅっ!?」
「彼の者に目前(もくぜん)の妨げ与う可し。『遮蔽濃霧《ミスト・ブラインド》』!」
薬師が顔を上げてみると、辺り一面はドンヨリとした重く濃い霧に包まれていた。
〈タンッ!〉
まだ倒れ伏している薬師の背中を何者かが踏み越えるような感触とともに、カネモリが
首から掛けていたペンダントの光が回廊の向こうへと飛び去ってゆく!
「うむぅ…、小癪な真似を…!」
激昂した不死の薬師は起き上がり、光を追って駆けて行く…。

 「…ジュリア、ジュリア!」
一方のカネモリは、ペンダントにはめ込んであった光珠を遠くに投げて、倒れたジュリアの
元に向かっていた。
「……うっ、うぅっ……、かね…もり?」
「良かった、意識はあるようですね? 骨折はしていませんか?」
「…う、うん。…たぶん。…でも、ちょっと痛いよ…。」
「お願いがひとつございます。例の品を……」

 「…おのれ! 我を愚弄しおって!!」
光珠のカラクリに気付いた不死の薬師が、怒りも露わにカネモリの元に戻ってくる。
疲れた素振りを見せないのは、その者が不死魔だからであろうか。
薬師を再び迎えるカネモリは、すでに新しい光珠をペンダントにはめ込んでいる。
「水の精霊・ウンディーネよ、我に守りの盾与う可し。
『防御水盾《アクア・シールド》』!」
小癪な錬金術師に怪力パンチのラッシュを浴びせようとするのを見越して、カネモリは
薬師がパンチを発する位置に的確に分厚い水の盾を出現させ、それらをことごとく止める。
そして……
〈ザシュッ!〉
隙を突いたカネモリが、材料採集用のナイフで薬師の腹を切り裂いた!
それに続いて……
〈グッ……〉
何かを握り込んだカネモリの右手が、腹の傷口に突ッ込まれた!!
〈シュワァァーーッッ!!!〉
『グワァァーーッッ!!!』
薬師の裂けた腹から煙のようなものが立ち上り、薬師もカネモリも苦痛の悲鳴を上げる。
「そ、その方…、銀を!!」
「…ぎ、銀が不浄の物に究極の浄化をもたらすことは…、薬師ならご存じのはずでは?」
「…されど、我の毒の血に触れし者は…、只では済まぬぞッ!」
「毒を解く方法なら必ずあります。
…しかし、銀の浄化は止められないのですよ。」
もはや銀の浄化はピークに達しており、不死の薬師の青紫色だった肌はほとんど白く変色
していた…。
〈ズボッ!〉
もう頃合いと判断したカネモリが、右手を薬師の腹から抜き出した。その肌は、毒々しい
青紫色に変色していた。
 「ウグググ……………………」
「もはやこれまでです。あなたにひとときの死の安らぎを差し上げますよ。」
錬金術師が不死の薬師に向かって振り上げた左手の手刀には、「水の元素」の青い輝きが
あった。
「水の精霊・ウンディーネよ、我に攻めの刃与う可し。
『水流鋭刃《アクア・カッター》』!」
〈シャッ! シャシャシャッッ!!〉
糸のように細い水流が数回不死の薬師の身体を撫でると、その部分が鋭利に切り裂かれ、
不死を誇った哀れな薬師はバラバラに崩れ落ちた……。

 「えぇ〜っと、この葉ッぱの裏が赤い薬草と、紫の根ッこを磨り潰して……」
「…そこにこの鉱石を砕いて加えるのです。」
幸い、ジュリアの負傷は重篤なものではなく、カネモリによる手当を受けた後、今度は
右手が毒に冒された彼を彼女が手当しているのだった。
「…カネモリ、ごめんね。
ボクの力が及ばなかったばかりに、苦労かけて…。」
「…いいえ。
ジュリアのおかげでわたくしたちはここまで来ることができましたし、せっかく
ロザリーさんから頂きました、大切な銀の十字架を使ってしまって…」
「大丈夫だよ。
ロザリーちゃんにはボクが謝ッとくから。
…ところでカネモリ、これでソフィアの話はだいたい本当のことッてわかったけど、
『冒険から帰ってから死ぬ者もいる』ッて、どーいうコトかなぁ?」
「この『毒の血』のことだと思いますよ。
毒の中には遅れて効くものもありますからね…。」
「えぇーっ、大変だぁ!
きちんと解毒しないと、カネモリが……」
「大丈夫ですよ。そういう毒の解毒法も心得ていますから。
…もちろん、ジュリアが正しく解毒剤を作ってくれればの話ですが…。」
「…はぁ〜〜い。」