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「……て、…ル」

 声が聞こえる…。
 もう起きる時間なのか…?
 しかし眠い。とても眠い。すごく眠い。と言うことは、きっとまだ起きるような時間では無いはずだ。
 うん。間違いない。オレは声を無視して、身体を逆の方向に向けて、反発の意思を表した。

「ちょっと! いい加減に起きてよー!」

 しかし、オレのその意思をくみ取ることもなく、ゆさゆさ。と身体を揺さぶられ、眠りを遮られる。
 面倒だが、どうやらオレはその声に答えなければならないようだ。
 シーツに包まったまま、オレは

「……まあ待てよ。話を聞いてくれ…こんなに眠いんだぜ…もう少し大丈夫だろ…わざわざ早朝に起こすような真似をしなくても良いじゃないか?」
「もう昼になるわよ!!」

 ばさ!と、シーツが空気に揺れ、音が鳴ると、
 カーテンが揺れ、漏れる光に、まぶしくてぎゅっと目を閉じ、オレはゆっくりと目を開いた。
 眠気はまだあるが、目の前のお嬢さんがご機嫌ナナメなようで起きなければならないらしい。

「そんな馬鹿な。オレはまだ2~3時間しか寝てないはずだぞ」
「たっぷり10時間以上は寝てるわよ!!」

 朝日…いや、話の流れから、昼日になるのか?
 開けられたカーテンから入る光にキラキラと反射する、ツインテールに結ばれた金髪。
 整った顔はどちらかと言えば可愛らしい感じの印象。
 しかし、目じりは吊り上がり、ツンとした感じを受ける。
 服装はすでに寝間着から着替えられており、真っ白なシャツと、膝上の長さの赤いスカート。
 そんな服装を全部隠してしまうような、不似合のぶかぶかの黒いコートマント。
 そして―――印象的な真っ赤な瞳。
 見慣れたいつもの少女だった。

「そうは言ってもな。ミュール…季節は春だ。麗らかな気候だ」
「『眠い季節に眠るのは自然の定めた節理だ』。でしょ」
「お前、エスパーか」
「聞き飽きてるのよバカ!!」

 うむ。聞き飽きはしてるのに、ツッコミは飽きもせずに鋭く入れるようだ。
 ただし、それを言ったら更にうるさく言うは目に見えてわかっているから余計なことは言わないが。
 口はなんたらの元。という言葉もあるぐらいだからな。

「しかし、教会のクソ規則正しい生活を強いられるワケじゃないんだぜ…好きな時に起きれば良いじゃねーか…」

 ふあぁー…とあくびをして、大きく伸びながら、ミュールに文句を言う。
 しかし、その言葉に対してミュールは呆れたように頭を抱えて言い放った。

「あのね…昨日それで良い仕事全部持って行かれたのに、同じ失敗をしようとする?
 私たちと同じ支援士は、他にもいっぱい居るんだから、良い仕事取るならホントはもっと早く行かなきゃいけないわよ」
「オレが働かないことで代わりに他の支援士が仕事を貰える。オレはそういう事に幸せを感じるんだ」

 ミュールの言葉は分かるが、オレにも引けない一線というものはある。
 キリッとした顔でおそらく決まったであろう言葉を口にする。
 だが、ミュールはピクリと一つ身体を動かしたら、手近な枕を手に取り始めた―――おや。ミュールのようすが…

「…寝ぼけた事を言ってないで………」
「いや、落ち着いてくださいミュールさん。冷静になるんだ。ほんの冗談d」
「良いからさっさと目を覚ませバカぁぁぁぁぁあああああ!!!!」

 バスーン!! と、顔面に枕を受け、オレはそのままベッドに倒れこんだ。