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 聞き間違いだと信じたかった。少なくとも、今は。

 莉奈はなかなか強引な性格で、気も強い。聖歌学院は平和な学校だ。浮世離れした修道院のような学校なので、争いを起こそうという気もしない。そんな雰囲気もない。

 しかし、美玖は知っていた。普通の世界は、こんなに上手くはいかないことを。この平和を保ちながら、校則に縛られない学校など無いと。

 莉奈が外に出たがる理由は分かる。聖歌学院は校則が相当厳しいと言われているからだ。確かに、先生の監視の目は厳しいし、色々と無意味な規則もある。しかし、どこの社会でも規則はあるし、第一学校に携帯やウォークマンを持っていっちゃいけないことなんて、当然の事じゃないのかな?

 多分莉奈は、まるで羽根の生え始めた雛のように、ただ外の世界を見てみたいだけだ。それが彼女のためになるかは分からない。傷を作らない確証なんて、ない。そんなこと、莉奈は分かっていると思っていたのに。

 色々な思いが美玖の中で回り続ける。しかし、莉奈はそれには気付かず続けた。

「もう行く学校も決めてるし。」

 彼女の口ぶりは、美玖に自慢しているようにも聞こえた。中に残留すると決めている美久に対する、あてつけのような口ぶり。自分は外に行くんだぞ、外の世界へ飛び立つんだぞ、どうだ、羨ましいだろう?

 莉奈は、自分が勝ち組だと錯覚し始めていたのだろうか。美玖には分からなかった。

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