あの頃は
友達と遊んでいればよかった。
幼馴染の友達と毎日一緒に学校から帰って、
電話をかけて一緒に遊んだ。
これが永遠に続くものだと思っていた。
その時は。
小学校4年生の頃
夢のマイホームを目指し、父母はぎりぎり手の届く範囲の
小さな一軒家を持ち家にした。
「転校するよ。」
突然の事に 私は勿論戸惑った。
生まれてからずっと住んでいた場所は思い出に満ちていて
そこを離れるなんて 私の中では 想定外の出来事だった
「転校するの?どこに?」
「遠いところ。ここからは3時間くらいかかるよ。」
「学校、通えないの?私3時間なら大丈夫だよ。」
「馬鹿ね。無理よ。」
母は そう言い捨てた
母は 綺麗な人だった
母には 幼いころから両親がいなくて 施設で育った
「あそこは悪夢の場所だったわ。あんなところ、人間の住むところじゃない。絶対に悠紀にはあんな思いはさせないからね。」
よく そう言って私の頭をゆっくり撫でた
私はそんな母が
たまらなく 嫌いだった
最終更新:2007年05月04日 11:38