蒼き月の囁き
このサイトの管理者でありRuneQuestマスターであるなゆたが、テーブルトークとルーンクエストとグローランサについて呟くところ。2008-05-08
若干書き直したことで、抽象的ではあるけれど「グローランサがなぜ面白いのか」という文章にはなりました。
やー、よかった。
まあここまで書いてきたこともすべて俺グローランサなんですが、なるべく共感を得られるように書いてみたつもりではあります。
もちろんグレッグはもっと綿密に計画しているのかもしれないし、アメリカやヨーロッパでは見え方も違うのかもしれません。
ここからは順序だててではなく、私が「ひとつのグローランサ」でマスターを18年、おそらく1500セッションぐらいやってきた中で体感してきたことをベースに、テーブルトークとグローランサの関係性について書いていこうと思います。
物語は共有できない
見出しで「物語は共有できない」と書いたのは、同じセッションの参加者で「物語を共有する」というのが多勢の意見ではないかと思っているからです。少なくとも私は、10年程前までそう思っていました。
ところが違いました。
社会人になってから延べ20人ほどの新規プレイヤーとセッションをしました。
すると、マスターの説明から受け取る風景がこんなにも違うものか、とびっくりすること多数。
つい10秒前に起ったできごとをまったく認識していないプレイヤーも多数います。
マスターが気づいていなかった(カンで処理していた)NPCの行動などをピタリと言い当てるプレイヤーもいます。
社会人になってセッションとセッションの間が半年空くことも珍しくなくなりました。
すると、この認識のズレが新規プレイヤーに限ったものではなく、長いつきあいのプレイヤー達とも起こることが浮き彫りになってきました。
1ヶ月以上間の開いたログの無いセッションは、本当にマスターとプレイヤーの記憶頼りになります。
「こうだったよね」とはじめたら、セッションの途中で「あれ?コイツ前回死んだじゃん!」ということさえ多発します。
逆にログのあるセッションは、起っていないことがログに書かれていても、まるであったことのようにセッションが進みます。
同じできごとを二人のプレイヤーがログを起こすと、翌日でもその内容は違っています。
そしてどちらも「マスターが説明したつもりの事実」とも違っているのです(笑)。
学生時代は「世界観の近い友人」と毎日プレイすることで、認識のズレが小さく抑えられていたんですね。
つづく。 → 蒼き月の囁き/2008-05-09(執筆中)
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2008-05-06
ここまでのまとめ2
続きを書く前にここまでの論旨をまとめていたら、自分の気に食わなかったところが目に付く・・・。最低限のレベルまで修正しました。よろしければ青い月の囁き/2008-04-13あたりから読み直してください。
だいぶマシになったけど、まだ話が跳んでます。
感覚的に理解していて、人に説明できる状態になっていないネタが多いようです。
とりあえずここまでのまとめ。
蒼き月の囁き/2008-03-30
グローランサにはヒーロークエストがあります。
ヒーロークエストは「神を演じる」冒険の方法です。
グローランサには莫大な文化人類学的な設定があります。
でもそれはグローランサのコアではありません。
蒼き月の囁き/2008-03-31
グローランサのデザイナは中二病で、偉そうな設定も後付です。
多くの設定は周囲のプレイヤーやコミュニティの功績です。
蒼き月の囁き/2008-04-01
ルーンクエストではヒーロークエストはできませんでした。
おかげでグローランサは英雄的でない物語に満ち溢れました。
蒼き月の囁き/2008-04-05 蒼き月の囁き/2008-04-12
その環境でもグレッグの何かは「ルーンの探索」を囁き続けます。
ルールの制約を打ち破ろうとする挑戦がグローランサクエストです。
蒼き月の囁き/2008-04-13
プレイの中に様々なグローランサを発見することができます。
それを実感し、他者と共感するのがグローランサの楽しみのひとつです。
と、いってもグローランサは変わり続けていきます。
果たしてどこまでがグローランサなんでしょうね。
蒼き月の囁き/2008-04-15
世界観のぶつけ合いと認知のプロセスがTRPGの大きな楽しさです。
システムで表現され、プレイされて初めて、世界は実感されます。
蒼き月の囁き/2008-04-16
TRPGは数字と言葉を使って直接的に世界観を闘わせられる遊びです。
現実には困難な事象をシミュレートできるのも表現を助けています。
蒼き月の囁き/2008-04-17 蒼き月の囁き/2008-04-18
グローランサでは「世界観の衝突」がヒーロークエストとして世界の根幹に組み込まれています。
グレッグは「テーブルトークの楽しさを骨格に据えた世界」としてグローランサを成立させるのに成功しています。
つづく。 → 蒼き月の囁き/2008-05-08
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2008-05-04
すべてのグローランサは正しい
ここまでで「グローランサ」と「ヒーロクエスト」についての私の認識をざっくり書いたし、ゴールデンウィークで時間ができたので、本論に入ってみようかな。さて、この呟きを書こうと思ったネタのひとつが「俺グローランサ」の問題です。
とりあえずは話の発端を。
http://d.hatena.ne.jp/mallion/20080306/p2#c
http://d.hatena.ne.jp/mallion/20080308/p1#c
mallion
G・ガイギャックス氏逝去のニュースでちょっと思い出したのですが、RuneWars が動き出したら、グレイホークみたいに各自のセッション、キャンペーンの情報を取り込むかたちでログを保存し、共有世界みたいにできたりしたら面白いと思うなあ。
別のテーブルの出来事が、ほかのテーブルのシナリオの事件の発端になったりとか、キャンペーンアークがあって、各テーブルでいろいろとやったりとかね。1621年あたりから始めて。
でも、管理の問題はでてきますけど。グレイホーク(?)で「わたしは核爆弾を爆発させたのでこの街の周囲にいたPCは死亡してください」と宣言した話をどっかで読んだ記憶があるのですが(結局ほかのパーティに退治されたとか)、ストーリーの齟齬をどうするんだというところですね。妙案はない。
なゆた
「本当の世界」を作らずに、すべて同時並行かつ相互補完。直線的な物事の因果を放棄。
セッションはひとつのヒーロークエスト。参加者の食い違う認識はすべて真実。
記憶が改変されれば事実も変わる。グローランサにかかわるすべての人々の残した記録と変わり行く記憶が真実。
グローランサはそのためにあると思っていて、私はそう扱ってます。
グレッグは「すべてが真実だ」ってよく言いませんでしたっけ(嘘)?
mallion
うん、いってた(笑)。そうでした。Your Glorantha Will Vary だった。
" Your Glorantha Will Vary" =「あなたのグローランサはだんだんと俺(グレッグ)のグローランサとは変わっていくけどそれでいいんだ だってそれがTRPGだもん」、すなわち、「(誰にとっても)『俺グローランサ』が正しい」。
「One True World」や公式設定にこだわりすぎる悪夢にとらわれてはいけないということですね。もちろん公式に沿っていればそれだけ共有がラクなのは確かではあるんだけど、グレッグが「ラリオス地方にフーマス(フマクトの元となったと David Dunham がいった神)はいないよ」と言っても「いや、いる!その方がおもしろいもん!」という人はいることにしていいんだ、ということ。
なゆた
「俺グローランサ」より広いニュアンスのつもりで書いてます。
「総体グローランサ」かな。他者のグローランサも俺にとってすべて正しい。
そもそも、同じセッションに参加していても、見えているものが違う。マスターに見えていないことがプレイヤーに見えてることも、プレイヤーに見えていないことがキャラクターに見えていることもありますよね。
テーブルトークをやって残るのは、キャラクターシートの数値と不完全なログ、そして参加者の記憶。これさえも長期間のうちに失われ、歪められていきます。
だから、ひとつの場所、ひとつの時で、複数の異なる事実が同時に存在してよい。
事実は変わってもよい。
違うセッションで行われた二つの事柄を、誰がどちらが真実だと証明できる?
異なる場所、異なる時で行われた同じ事象はひとつの行為と見なすことができる。
簡単なのは固有名詞をすべて伏字にしてしまうこと。
そこには歴史ではなく行為だけが残る。
──つまり、ヒーロクエストだ。
ああ、しまった。書き終わってからもっとシンプルな書き方を思いつきました。
「グローランサで行われる事象はすべてヒーロークエストであり再演である。」
ですね。
mallion
それも一つのかんがえ方ですね。説明が難しそうですが……
その場合、複数の歴史が存在することになりますね。
なゆた
歴史は存在せず因果関係の変動する無数の事象が存在するだけなんですが、なかなか理解してもらうのは難しいですw
ま、俺語りになってしまうので、この辺で。
基本的には書くべきことは上に書き尽くしています。
ただこれだけ読んで伝わるとも思わないので、具体的な事象と処理を引きながら、詳しく展開してみようと思います。
目的は主に
5.プレイヤーに少しだけネタばらしをしたい。ですね。
つづく。 → 蒼き月の囁き/2008-05-05(執筆中)
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