キャンペーン > 旅果 > 20020504

第13話:捨身


キャロラインの変化した天使は「杯」を飲み干し、圧倒的な存在へと変わりつつあった。
アリスは打ち倒された。いま打ち込まれた一撃はバセラードの魂を粉々に打ち砕き、彼の口から願い児への哀願が漏れようとしていた。

(赤子よ、己が守り手を助けよ・・・!)

赤子と女性が語りかける。
「やり直しを望むか」
「望みを叶えましょう」

砂漠の中、唇に滴り落ちんとする甘露。
すべての渇望を癒す、安寧の誘惑。

手のひらから滑り落ちる。命。愛。名誉。友。家族。故郷。
いや、そのすべてとさえ引替えにできぬ、夢。

砕け散る宝石を見過ごすことが誰にできよう。
例え、それが過ちであったとしても。


その時、崩れ落ちるバセラードの魂を、射るような視線が捕らえた。
地を踏みしめ、バセラードを仰ぐラーサの瞳が燃え上がる怒りとともに語りかける。

「違う!たとえそうだとしても、違う!」

赤子の泣き声がひときわ膨れ上がり、願い児の瞳が開かれる―――。

「―――!」

バセラードは身を焦がすしこりとともに、哀願の言葉を飲み込んだ。
そして四散せんとする己の魂から、再びオーランスの風を呼び起こす。

焦点を取り戻す視界に、胸を押さえて苦しむ天使が映し出される。キャロラインの面影に悲しみを湛えながら、再び打ちかかってくる。
しかし、運命を示す力はすでに天使から失われていた。
ゆったりと、スローモーションのように、バセラードの剣が右腕を斬り飛ばす。
さらに一撃、左腕に打ち込まれた剣の前に、天使は苦しみながら崩れ落ち、キャロラインに戻ってゆく。
倒れ伏したキャロラインが胸を掻き毟りながら、断末魔の叫びをあげた。
「喰われる!」
ラーサは砕け散った斧の破片でキャロラインに潜んだものに、一撃をあたえようと振り下ろしたが、キャロラインは、は、と最後の一息を残して崩れ去った。


世界は閉じてゆく。

アリスをかかえたバセラードは、ラーサと、ナーシュと目を見交わすと、
「また、会おう」
と口の端を上げた。

世界は閉じてゆく。

虹色の闇の中、赤子の泣き声だけが響き渡る。


  • Fin-


~ 母と子の祈りは交わらず。それゆえの人の歩みか。 ~



■ 26 名前: azatoth :2002/05/05 18:42:00

第13話:?(最終回)

おつかれさまでした。
いやぁ、終了しましたね。

早速OKMさんが見事な絵ログを公開なさっていますが、文字ログの方は苦しみそうです。(-_-;)
凄い話な上に、すごいキャラばかりで、変な落ち。
バセラードの最後の台詞後に見せたニカッとした笑顔が印象的でした。

プレイヤーとしてはバセラードの「まあ、つきあってくれや」に賛同したかったのですが、矢吹ジョーのように燃え尽きてしまいました。(笑)

ビジュアル的なイメージが豊富な連作話でしたが、OKMさんの絵による部分が大きかったと思います。
ありがとうございました。

あと、各キャラの妄想シーンは大変面白かったです。
キャラクターの根っこが良く見えましたね。

■ 27 名前: なゆた :2002/05/05 23:22:36

第13話:捨身(すてみじゃないよ、しゃしん、だよ)

みなさん、たいへん、たーいへん、お疲れ様でしたぁ。

いや、まあ、フルアドリブなわけですが、なんとかまとまったかな、と。

いちおう心情描写抜きの話をアップしておきました。
あれだとオチもなにもないですが(笑)。
小説版としては、ああいうことになります。


マスターのミスがあったので、一部修正してあります。
キャロラインは喰われた瞬間に崩れ去ります。右腕が切り飛ばされた時点で消滅したことからもわかるように、あの空間では存在できませんね。ということで、プレイヤーの記憶も操作しておいてください(笑)。

あと、後から考えて誤解を生むな、と思ったのが、「母と子ではない」という表現です。あれは正確には「母と子の組み合わせではないが、赤子は子で、女性は母である」。
もっと言えば、「あなたになる前の赤子」と「あなたを育てるであろう母」です。

で、時間があればもっとスターミストレスvsナーシュの堀下げをやりたかったのですが、ちとマスタリングがとろかったですな。おかげで、心臓ネタとか、わけがわからんままです(笑)。まあ、次キャンペーン初回、ウェイン&アルフェニートのところで「鏡像」として片づけますけど。


断っておきますが、ナーシュのペンとアルフェニート(にわたるであろう)のペンは別物です。ま、シリーズ物ですが、どういうものかはお楽しみ、ということで。

■ 28 名前: 和泉屋じゃんく。 :2002/05/07 01:41:43


ま、皆様に立てていただいたお陰で、
バセラードも颯爽と一時退場しました。

でも、この幕の物語的意味合いでは、主人公はナーシュですね、分かってますか九郎さん?(笑)。

幕の場面的意味合いとしては主人公を張らしていただき非常に楽しゅうございました。
見事(すぎる)オチもレイクにつけてもらった事ですし(笑)。
夢を再認識し「剥いてコマす」発言の後「崇高な野望」ってなんですか質問じゃ、結論がすぐ出るのがあたりまえでした。
あとは短くきっぱり端的に要旨を伝える技術に0.5秒かけただけですね。
その点であれはAzaさんの質問勝ちです。

バセラードの颯爽っぷりも良かったですが、和泉屋的には某自キャラの得体の知れなさっぷりの方が可愛かったです。
「ファンブルするよ、
 0
 ・・・0、ホラね。」

というわけで呑みに行った時のヨタ話アップしときました(笑)
「或るダラ・ハッパ貴族の優雅な休暇」

■ 29 名前: azatoth :2002/05/06 00:45:22

アダルト版RQ(笑)
というわけで呑みに行った時のヨタ話アップしときました(笑)
見ました。
マスターによる小説版のログも、共に秀逸で、深い満足と共に、ディープで大人なRQというものを再確認させていただきました。
怖いよ~。(笑)

■ 30 名前: なゆた :2002/05/07 01:43:31

Re:「或るダラ・ハッパ貴族の優雅な休暇」
というわけで呑みに行った時のヨタ話アップしときました(笑)
ばかねぇ(笑)。
としか、いいようがないのだが。
いちおう、あとでどの話かわからなくなりそうなのでリンクにしといたよ~。

■ 31 名前: ののの :2002/05/07 22:45:55

ヒウラリウスは、
「或るダラ・ハッパ貴族の優雅な休暇」
もはや亡き者か(藁

つうか、なんでこのスレッドにぶらさがってんねん(笑

■ 32 名前: azatoth :2002/09/18 12:37:34

レイク君と「諦観」
Efendiさんのサイトにある「悟法」についての記述を見ていて思ったのですが、レイクは「諦観」の中で絶望し、自殺的な終わりを遂げたように思います。
啓発的フマクトの最終形態はあんな感じなんだろうなぁ。
Efendiさんの悟法ルール、面白いなぁ。
http://www.asahi-net.or.jp/~ty2m-iwsk/rq/script/magic/mysticism/mysticism.html

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