メールの流れを知る2

ドメイン名は小文字が原則

Tarou@nikkeibp.co.jp「mailserver.nikkeibp.co.jp」と呪文のような文字列が出てきたが,これらはどちらも「ドメイン名」と呼ぶインターネットの基本となるアドレス体系に基づいて表記している。
ここで簡単に整理しておこう。

郵便で使う住所は,「東京都港区白金1-17-3」のように都道府県名,市町村名,番地を順につなげたものだ。
これがドメイン名では,国名組織の種類会社名「.(ドット)」でつなげる。
ただし郵便は大きいエリア区分から順に記述するのに対し,ドメイン名は逆に大きい区分ほど後ろに書く。

このドメイン名の前に,ユーザーの名前と区切り文字として「@(アット・マーク)」を付けたものがメール・アドレスである(図3)。
ホスト名は,ドメイン名の前に区切り文字「.」とサーバー名を付加したものである。
住所と名前をセットにすることで,インターネット上で一意のメール・アドレス,一意のサーバーを特定できる仕掛けだ。

図3●メール・アドレスの読み方
「@」をはさんで,ユーザーの名前とドメイン名をつなげたものがメール・アドレス。
手紙に例えると,ドメイン名は住所に相当する。
図の例は,日本(jp,Japanの略)の,会社組織(co,companyの略)である,nikkeibp(日経BP社)を意味する。

メール・アドレスとホスト名に日本語は使えない。

また,ドメイン名の部分には,小文字だけを使う決まりがある。大文字アルファベットを使っても,自動的に小文字に変換される。
裏を返せば見栄えのために,From 行To行に書いた相手のメール・アドレス中にあるドメイン名の任意の文字を大文字にしても差し支えない。

まず実住所を調べる
さて次はシーン2だ。
シーン2は,メーラーに適切な設定を施し,メールを書き終わった次のタイミングである。
メーラーの送信ボタンを押すことで,あらかじめメーラーに設定してあるメール・サーバーへメールを届ける。

ここで注意が必要なのは,メーラーは,シーン1で設定したホスト名だけでは実際にはメール・サーバーにメールを届けられないこと。
というのは,ホスト名は人間が便宜的に付けた仮想的な住所に過ぎず,実住所はまた別にあるからだ。
ここでいう実住所とは,インターネットを支えるルーター・ネットワークが理解できる「IP(アイピー)アドレス」のこと。
IPアドレスは,「192.168.0.1」のように,数字と「.」を組み合わせて記述される。

そこでシーン2では,仮想的な住所であるドメイン名を実住所であるIPアドレスにまず変換する必要が出てくる。
この役割を担うのが,DNS(ディーエヌエス)と呼ぶ仕組みである。インターネット上にはいくつものDNSサーバーが設置されている。
いずれかのDNSサーバーにホスト名を送信すると,該当するIPアドレスを返信してくれる。
メーラーは,メール・サーバーにアクセスする直前に,DNSサーバーからメール・サーバーIPアドレスを教えてもらうのだ。

対話のように手順を踏む
メール・サーバーのIPアドレスが分かったら,いよいよメールの送信をスタートする。
メーラーとメール・サーバーは,SMTPの手順に従いながらメールのやり取りを開始する。

メーラーからメール・サーバーへメールを運ぶ仕組みは,人間同士の対話に似ている(図4)。
メーラーからメール・サーバーに声をかけて,OKの返事を受け取ったら次の会話に移る。
例えばまず最初にあいさつを交わす場合,メーラーから「こんにちは」と送信すると,メール・サーバーから「こんにちは」と返答を受け取ってから次の「Xさんがメールを送りたいのですが」の会話を始める。

図4●解剖「シーン2:メーラーからメール・サーバーに送信」
送信用のプロトコルのSMTPを用いて,メールを送信する。手順は,人間の会話に近い。

SMTPは具体的に,コマンド文と返信コードを表す数字で会話する。
図中の(5)の「Yさんあてです」は,コマンド文では「RCPT(アールシーピーティー)from:y@nikkeibp.co.jpのように送信する。
RCPTというコマンドは,英語のrecipient(レシピエント:受取人)の略語。後半の「from:...」がコマンドの引数で,あて先のメール・アドレスを挿入する。
返信コードの「はい」は,「250」と表記する。

一斉同報でも送信するのは一通だけ
 郵便ではできないインターネット・メールならではの特徴の一つに,一斉同報機能がある。同じ文面のメールを1回送るだけで,実際には何人にもコピーを送信できる機能だ。

 一斉同報する場合,ヘッダーの「To」行に複数のメール・アドレスを記述しておく。
このメールを送信すると,図中の(5)のRCPTコマンドを人数分だけ繰り返し,その後に(6)の本文の送信に移行する手順を取る。

なお「Cc(シーシー)行」(カーボン・コピー)「Bcc(ビーシーシー)行」(ブラインド・カーボン・コピー)といった専用のヘッダーを活用しても一斉同報できる。
RCPTコマンドを繰り返すという手順に変わりないが,ヘッダーのTo行に受け取った相手のメール・アドレスが記述されない。受信側はそのメールが,自分あてではなくコピーであることが分かる。

CcBccの違いは,相手のメール・アドレスをヘッダーに残しておくか残さないかにある。
Ccの場合は,一斉同報の対象となる全メール・アドレスヘッダー中Cc行に含んだままメールを送信する。
Bccでは,メーラーが(5)のRCPTコマンドを送出し終わった時点でヘッダーからBccの行を削除し,それから(6)の本文の送信を始める。
同報したあて先をあえて知らせたくない場合に有効である。

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最終更新:2007年12月04日 10:50
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